6 / 13
6
しおりを挟む
ねぇ?西田君。
僕はね、いま君に会うためだけに生きたいって思ってるんだよ?
残りの命は、君だけのために使ったっていいって思ってるから。
もちろん、同情とか哀れみではないよ?
本気で君と向き合いたいからなんだ。
君を一人にしておきたくない。
でも・・・・。
世の中うまくいくことと、いかないこってあるんだね。
ある大雨の日だった。
みんなが帰ったあといつもより僕は、具合が悪く、苦しくてその場から動けなくなってしまったんだ。
「ゴホゴホ・・・・もう少しなのに・・・・・」
ガッシャ~ン
机の上のものを落としてしまい、音が響いた。
でも、意識朦朧として、その場から動けない僕は、気づかずにいたんだ・・・・。
東さんが、忘れ物を取りに戻ってきたことに・・・・・。
「・・・・東條さん?そこにいるのは・・・・」
「・・・うっ・・・東さん?」
「あの・・・大丈夫ですか?」
「・・・うん、大丈夫だよ。めまいを起こしただけ・・・。風邪引いてるから・・・。」
「でもなんか、いつもより声に元気がないですよ?」
「な、何いってるの?いつもの僕だよ?」
僕は、苦し紛れに立ちあがり、
「東さんこそ、何かを取りに来たの?もう暗いから、危ないよ?」
「・・・携帯を忘れちゃって・・・。」
「・・・え~っと、これかな・・・・」
僕は、東さんの携帯を彼に渡そうとした・・・
だけど、体が言うことをきかず・・・・・
「東條・・・・さん?」
気がついたら、東さんにもたれ掛かっていて・・・・
「東條さん?」
「・・・・ごめん・・・東さんのこと・・・送ってあげれないや・・・・ゴホゴホ・・・・」
僕は、意識が朦朧としていて・・・・
だけど、東さんは、僕のことを、しっかりと受け止めてくれていた。
「東條さん?しっかりしてください!まさか、ずっと具合が悪いの隠してたんですか?」
「・・・そんなこと・・・ないよ・・・」
「ワンワン!」
ラッキーが、僕の異常に気づいたみたいだ。
「僕には、わかりますよ?東條さんの声が、今日は、弱々しいって・・・・。見えなくてもちゃんと、東條さんの様子が、僕には伝わってきます。
いま、だれか呼びますから、休んでいてください」
「・・・大丈夫・・・。寝てればなおるから・・・。誰も呼ばなくていい・・・
東さんこそ、もう帰らなきゃ・・・・ゴホゴホ・・・・」
「お願いですから、言うことを聞いてください!ラッキー・・・」
「ワンワン」
「いいかい?誰でもいいから、呼んできて・・・この近くにいる、お前の信用する相手を・・・・僕は、ここで、東條さんを見てるから・・・
頼んだよ?」
「ワンワン」
ラッキーは、東さんの言うことを、理解したのか飛び出していった。
「頼んだよ、ラッキー・・・お前だけが頼りだ。」
東さんは、小さく呟いた。
「東さん、変わったね・・・ちゃんと、ラッキー育ててる。
まるで介護犬になったみたい。
よかったね、いいパートナーで・・・・」
「なに言ってるんですか・・・
あなたの声があったからいまの僕がいるんです・・・」
「大丈夫だよ、東さん・・・。僕はいま死ぬ訳じゃないし・・・そんな、泣きそうな顔しないで・・・・」
「悔しいです・・・。僕には、そばにいることしかいまは出来ないから・・・・」
そう言って、僕のために、涙を流してくれた。
優しいね、東さんは・・・・。
僕は、出会ったときから感じていたんだ。
東さんの優しさをきっと、誰かもわかってくれるって。
もしも、可能なら、僕のこの目を、東さんに提供してもかまわない。
そのうち、ドナー登録行かなきゃね。
「僕は、東條さんに感謝してるんです。
目が見えないこの僕を、宏人さんの、無邪気に笑う声が、歌声が・・・僕を、光の世界へと導いてくれました。今度は僕が、宏人さんを救います!」
宏人・・・・
東さんに、名前で呼ばれるのは初めてかもしれない・・・・。
「・・・・ありがとう・・・・東さん・・・・」
僕は、その言葉に安心してしまい、意識をなくした。
そのころ、ラッキーが、呼んできてくれたのは意外な人物だったから・・・・・。
僕はね、いま君に会うためだけに生きたいって思ってるんだよ?
残りの命は、君だけのために使ったっていいって思ってるから。
もちろん、同情とか哀れみではないよ?
本気で君と向き合いたいからなんだ。
君を一人にしておきたくない。
でも・・・・。
世の中うまくいくことと、いかないこってあるんだね。
ある大雨の日だった。
みんなが帰ったあといつもより僕は、具合が悪く、苦しくてその場から動けなくなってしまったんだ。
「ゴホゴホ・・・・もう少しなのに・・・・・」
ガッシャ~ン
机の上のものを落としてしまい、音が響いた。
でも、意識朦朧として、その場から動けない僕は、気づかずにいたんだ・・・・。
東さんが、忘れ物を取りに戻ってきたことに・・・・・。
「・・・・東條さん?そこにいるのは・・・・」
「・・・うっ・・・東さん?」
「あの・・・大丈夫ですか?」
「・・・うん、大丈夫だよ。めまいを起こしただけ・・・。風邪引いてるから・・・。」
「でもなんか、いつもより声に元気がないですよ?」
「な、何いってるの?いつもの僕だよ?」
僕は、苦し紛れに立ちあがり、
「東さんこそ、何かを取りに来たの?もう暗いから、危ないよ?」
「・・・携帯を忘れちゃって・・・。」
「・・・え~っと、これかな・・・・」
僕は、東さんの携帯を彼に渡そうとした・・・
だけど、体が言うことをきかず・・・・・
「東條・・・・さん?」
気がついたら、東さんにもたれ掛かっていて・・・・
「東條さん?」
「・・・・ごめん・・・東さんのこと・・・送ってあげれないや・・・・ゴホゴホ・・・・」
僕は、意識が朦朧としていて・・・・
だけど、東さんは、僕のことを、しっかりと受け止めてくれていた。
「東條さん?しっかりしてください!まさか、ずっと具合が悪いの隠してたんですか?」
「・・・そんなこと・・・ないよ・・・」
「ワンワン!」
ラッキーが、僕の異常に気づいたみたいだ。
「僕には、わかりますよ?東條さんの声が、今日は、弱々しいって・・・・。見えなくてもちゃんと、東條さんの様子が、僕には伝わってきます。
いま、だれか呼びますから、休んでいてください」
「・・・大丈夫・・・。寝てればなおるから・・・。誰も呼ばなくていい・・・
東さんこそ、もう帰らなきゃ・・・・ゴホゴホ・・・・」
「お願いですから、言うことを聞いてください!ラッキー・・・」
「ワンワン」
「いいかい?誰でもいいから、呼んできて・・・この近くにいる、お前の信用する相手を・・・・僕は、ここで、東條さんを見てるから・・・
頼んだよ?」
「ワンワン」
ラッキーは、東さんの言うことを、理解したのか飛び出していった。
「頼んだよ、ラッキー・・・お前だけが頼りだ。」
東さんは、小さく呟いた。
「東さん、変わったね・・・ちゃんと、ラッキー育ててる。
まるで介護犬になったみたい。
よかったね、いいパートナーで・・・・」
「なに言ってるんですか・・・
あなたの声があったからいまの僕がいるんです・・・」
「大丈夫だよ、東さん・・・。僕はいま死ぬ訳じゃないし・・・そんな、泣きそうな顔しないで・・・・」
「悔しいです・・・。僕には、そばにいることしかいまは出来ないから・・・・」
そう言って、僕のために、涙を流してくれた。
優しいね、東さんは・・・・。
僕は、出会ったときから感じていたんだ。
東さんの優しさをきっと、誰かもわかってくれるって。
もしも、可能なら、僕のこの目を、東さんに提供してもかまわない。
そのうち、ドナー登録行かなきゃね。
「僕は、東條さんに感謝してるんです。
目が見えないこの僕を、宏人さんの、無邪気に笑う声が、歌声が・・・僕を、光の世界へと導いてくれました。今度は僕が、宏人さんを救います!」
宏人・・・・
東さんに、名前で呼ばれるのは初めてかもしれない・・・・。
「・・・・ありがとう・・・・東さん・・・・」
僕は、その言葉に安心してしまい、意識をなくした。
そのころ、ラッキーが、呼んできてくれたのは意外な人物だったから・・・・・。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる