君の声をきかせて

藤原葉月

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第1話 出会い

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私の名前は大月凛星(りせ)。
なにわ東図書館で働く図書館秘書。

でもわたしは耳が不自由で、補聴器をつけながら生活をしている。
音が少ししか聞こえないため主に手話と筆談で会話をしている。
理解ある人は手話を取得して返してくれたり、普段から手話を使っているろう者の人もくるし、小さいお子さんはちゃんと文字で返事をくれる。

世の中悪い人ばかりじゃないな・・・って思い始めた。

そんな私に運命の出会いがあるとはこの時は思わずにいた。

わたしはいつものようにいつものバスに乗りこみ小説を読んでいた。

そしていつものバス停で降りようとしたんだけれどその日に限って満員で・・・・


「(どうしよう。出口から遠くなっちゃった・・・次が降りる駅なのに・・・)」

そう思いつつも前に行こうとするけれど行けずにいて

「(ここで手話話しても分からないよね)」

そう言って私は紙とペンをなんとか取り出した。

その時に重要な落し物をしたことに気が付かず・・・



「あれ?これあの子の落し物?」


その落し物に気がついてくれた彼こそが私の運命の人・・・・

風間和也さんだったのだ。


彼女は紙にぺんでなにかをかき、前に前に進んでいった。

もしかして?

時々手話をしようとして・・・やめているような・・・?

俺はなんだか心配になった。

降りるボタンは押したんやろうか?


すぐに彼女が降りる人だと気づいた彼は彼女について行く形で、
「すんません!すんません」

なんて言いながら彼女においついた

そして
彼女が何を書いていたのか偶然見えて

わたしはろうしゃです。
みみが聞こえません!
次のバス停で降りたいです・・・みちをあけてください

律儀にそんなことがメモに書いてある。


「そういうことか」

ピンポン「つぎは、なにわ東図書館前、なにわ東図書館前お降りの方は・・・・」

アナウンスが流れた

そして・・・

「なにわ東図書館前です。
ご乗車ありがとうございます。今日も一日頑張ってください」
なんて言う運転手さん。


「降りマース!開けてくださーい」

「!?」

私の手を握る彼

えっΣ(゚д゚;)だ、だれ?


初対面の彼は・・・・いや?初対面のはずの彼は・・・私の手を取るとバスの出口まで連れて行ってくれて・・・

その背中を見ることしか出来なくて・・・。


「いつもありがとうございます!(´▽`)」

なんて言ったのかは分からないけれど・・・笑顔を振りまき、運転手に挨拶。
律儀な人だと思った。


「m(*_ _)m」

私も声を出せないけれど、定期を見せて頭を下げて降りた。


「お疲れ様。今日も頑張って」

なんて彼女に手話をした。
いつもの顔なじみの運転手さんだった。


そしてわたしは無事にバス停に降りることが出来た、

バスが走り出すとわたしは、ハッとした。
 まだ彼と手を握ったままだったから。

「【あ、あの?】」

思わず手話で返してしまうと?

「【降りれてよかったな😊】」


とにっこりと笑ってくれた。
しかも手話で返してくれた?

えっΣ(゚д゚;)手話できる人なの?

「【あ、あのさ・・・君に・・・・】」

彼はなにか言おうとしたけれど

「【ごめんなさい!急がなきゃ!ほんとにありがとうございました】」
とわたしはお辞儀をして走っていってしまった

そして

「あー待って君!」

とここで彼は気づく・・・

「聞こえへんのやっけ・・・。しまったなぁ。あの子に見とれてて渡すの忘れてた(´>∀<`)ゝ」

それ大丈夫?
 「・・・これって社員証ってやつか。ここで降りるってことは・・・」


そしてその彼女の名前を見ると

「おおつき・・・凛星?りんせいって名前なんかな・・・ん?でもローマ字はりせ・・・
へぇ?凛星って書いてりせって読むんや。可愛かったもんなぁ」

なんて呟く。



彼の本音だろうか。


「なにわ東図書館・・・・あれ?この図書館って確か・・・」


彼はこの図書館には聞き覚えがあった。

「あっ!颯ちゃんがおるところや」


と思い出したのだ。





そして彼女との再会もそう遠くはなかったのだ。



彼女こそ俺の運命の女性やったんや。




彼女と関わることにより俺の人生が変わっていくなんてこの時は思ってもみなかった。
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