絆物語

藤原葉月

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大切な人との別れ

第53話

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「ここなら安全です」

ヒロも、自国で民たちの移動を指導していた。
「ヒロ、カナはどうした」
「すいません。カナはもうこの世に居ないことが判明しました」

「えっ?」

「魂が操れて僕の前に現れ」

【この女の魂は完全に死んだ。もう、戻ることは無い 】

「・・・・・!?」
「旅はまだ続きます」

「ヒロ・・」

「アーサー、わかってくれ。これは使命なんだ。」

「使命なら守ってくれなきゃ困るよ、ヒロ」

「・・・・えっ?」

「お前はこの村の長になったんだ。ぜったい終わらせて帰ってこいよ?それまでここは、俺たちに任せろ!」


「・・・はい。また必ず会いましょう」



お互いが硬い約束を交わしいたその頃・・・・



「なぁ?ヨシ。お前弓矢、上手くなったよな」

「・・・まぁ、父さんに教わっていたし・・・・」
「あとさ、この矢は・・・・」
レイナに貰った矢を触ろうとしたので
「あっ!これはダメだ」

「えっ?」
「こ、これは父の形見で大事に扱わないと・・・💦」

「へぇー?」

「(何を下手な嘘ついてるんだろ・・・)」
なぜか焦る顔を見た友人は、

「(さてはこれは嘘だな?ヨシにとってその1本の矢が大切なんだな)」


そう、ヨシにとっては大切な人とを繋ぐ1本であることを友人は少し勘づいたのだった。

長くいればわかる。

「ヨシ、こっちだ」

「あぁ」

連れていこうとした時・・・

「あっ」

「えっ?レイナ?」

ちょうど考えていた人が現れ、

「えっ?なに?ヨシ・・・その美人さんと知り合い?」

「いや、えーっと・・・・」

「あ、あの・・・ヨシ少し話がしたいのだけれど・・・・」

「・・・・」


2人の親密な関係を察した友人。
「へぇー?そういうこと」

「あ、あのお借りしても良いですか?」

「どうぞどうぞ」

「借りるってものじゃないし」

「いいから、行ってこいよ!」

と背中を押された。

「・・・・・」

「・・・・・」

なぜか(いつも通り?)2人きりにされて・・・・

「・・・・・」

「ヨシ・・・・」

「レイナ、なぜ・・・」

ここに来たんだ!と、つづけようとしたら、

「ヨシ、お前に渡すものがある。それと、話しておきたいことがある」

「えっ?」


そして、話を聞くと


「アルフとあの時の娘が結婚?」

「それは招待状だ」

「・・・・・」

アルフは2人が会ってるのを見て、
「良かった。レイナ様、ヨシと会えたんだ」

と、静かに見守っていた。



「ヨシ、勝手に誤解をしたのはヨシだ」
「誤解って、僕は・・・」


「暫く会えなくなるから・・・・・」


と、切なそうにヨシを見つめるレイナ。

「・・・・・」

「それに、さっきの人はわたしが敵国のものと知らないでしょう?」

「・・・・・」

「・・・・」

「戦争より怖い・・・・」


「えぇ、そうね。これは、戦争よりも怖い戦いね・・・・」


「・・・・なぁ?レイナ・・・」
ヨシは気になっていたことを聞いた。
「顔色が優れないようだけど、大丈夫か?」

「・・・・少し寝不足なだけだ・・・」

と言いふらついた。
「レイナ?」

「・・・・ごめん、ヨシ・・・・行かなきゃ・・・」

「レイナ・・・なぜ・・・」

ヨシはレイナを抱きしめたまま、
「なぜ、無理をする」

「・・・・大丈夫・・・」

「レイナ・・・、いつか」

「えっ?」

「いつか平和な時が訪れた時は・・・・・」

ヨシがレイナに何かを伝えようとした時だった。

「!?」

2人は邪気をかんじた。


「邪気!?」

「ヨシ!魔物が現れた!!」

「・・・・すまない、行かなければ・・・・」

「いいのよ。私も行かなければならないし・・・・」


(ヨシ、今何を言おうとしたの?)


「また、会えるよな?」

と、ヨシはいつもと違う言葉を発した。

「えぇ、きっと・・・・」

そして2人は別れた。


ヨシが友人のもとへ向かうと、

「ヨシ、さっきのあの美人何者?」
「えっ?」
「もしかしてお前の彼女か?」


「・・・・・そうかもな・・・・」


「そうかもなって!そうなんだろ?」

「・・・・・」

「いいのか?愛する彼女と別れてさ」

「いつかどこかでまた会えるはずだ」

ヨシは、そう信じている。




「レイナ様」

「アルフ?どうしてここに?」

「わたしは貴方様の使いの者ですよ?無理をなさっているのではないかと心配で」

「あら、新婚が何を言ってるの?」

「貴方様が、あの力をお使いになるのではないかと心配してるんです!」

「・・・アルフ・・・」

「何年もあなたを見てきたからわかります」

「・・・・」

「貴方様がいつかあの力を使ってしまうと・・・。誰かのために・・・。
いいえ、ヨシのために・・・・・」




アルフは真剣な顔でレイナに言った。

「・・・・・」

そしてその頃、

「・・・・・」

ジュンは、ゴウの前に行き、

「ジュン、どうした」
「兄さん!」
「どうした?そんな顔をして・・・・」

「なぜ、隠しているんですか?」

「えっ?Σ(゚д゚;)な、何を」

「じー( ⚭-⚭)」

「!?(こいつまさか勘づいて・・・)」

「リリカさんとどこまでいったんや」

ガクっ

「な、なんだよ、それ」
「昔っから喧嘩ばーっかりしとったもんな?」

にやりとするジュン。
「さっきはそんな素振りぜんぜん見せずに2人だけの世界やったし?」

「・・・・・」

「なんだよ、おまえじつは僻んでるのかよ」

「兄さん、リリカさんに使わせちゃダメやからな」

「えっ?」
「生命の法・・・・」

「!?」
(こいつやっぱり勘づいて・・・・)

「あ、当たり前だろ?」

「兄さんは、突っ走るとこあるから。突っ走って1人で何でもやろうとしてるし」

「!?」

「突っ走って何でも1人でやろうとしてるのは、ゴウの方だよ!」

「隠し事とかするのも昔から上手いしなぁ・・・」

「隠し事なんてしてねぇよ」


「ふーん?ならええけど?おやすみ」

「・・・・・・」

(ジュンのやつ、リリカと同じこと言うなんて・・・・・)



だが、その夜のことだった。


「・・・・・・ハァハァ」

「ゴウ?何やってるんだ?」

夜中に1人で何かをやっているのをマサに見つかり、


「マサさん・・・・」

「どうした?顔色悪いぞ?」


「・・・・ちょっと力、使いすぎた・・・・・」


グラりと体が傾き、

「ゴウ!!」

マサは抱きとめた。

「えっ?熱い?ゴウ!しっかりしろ!!」


「ハァハァ」
意識を失い、

「ゴウ!」



ゴウは倒れてしまったのだった。






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