墓守の主食は命(タマ)と肉 〜死ぬ未来を約束された令嬢は藁にも縋る思いで未来を変えたい〜

果汁未完

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第一章

刺身の時間

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「何なんだ…!この、化け物……!!」

「もう駄目だ、俺たちはここで死ぬんだ……」

貧民街の路地裏で男達が震えている。
それもその筈。

「踊り食いって最高だなぁッ……はぁあ痺れるぅ……♡」

盗賊達の得物を使って足や腕を切り落としながら、俺とスライムは血肉を食らっていた。

死体なんて目じゃない。なんて新鮮で美味な肉なのだろう。
その血はまるでワインの如く俺の喉を潤す。切り取ってすぐの肉は血液を送り出す機能を数秒だけ保ったまま、舌の上でトクトクと脈を打つ。
今食べている部位、ふくらはぎは男が若いからか食感はブリッブリッとした歯応えの厚切りタンのようだ。
焼いたら硬くなりそうだから煮ると楽しめるかなぁと思いながら生で頂く。
食われている張本人は最初こそ痛みで悶絶していたが、あまりの痛みと凄惨な状況で気絶してしまった。

「あははははっ!今思い出しただけで笑っちまうよあの顔ぉ!」

まるで酒が入ったような高揚感。身体に力が湧き上がるのを感じた。

今なら悪い貴族に無理矢理娶られそうなお姫様を巨大な城から救出出来る気がする。

それと同時に塩胡椒を振ればもっと美味になるんじゃないかと思った。これから力を付けていけば幾らでも調理出来る時間もスペースも確保出来るだろう。
今日は刺身で!

食った後の骨はかさばらない様にトランクケースに砕いてから置いたり積み木のように重ねて入れていく。
服は臭うのでスライムに一旦臭いや汚れの元を取り除いてもらってトランクケースに入れた。

ホーリースライムは血や油を好んで食べるので、現在は盗賊から漏れる血液を身体で受け止めて吸収しているようだ。

「スライム~、俺のいた国にはな、"立つ鳥後は濁さず"って諺があるんだ。移動する時はしっかり綺麗にしてから、その場を後にするって意味なんだ。しっかり証拠残さずに食ってやろうな!」

スライムは片粘液を上に上げてふるりりんと震えた。

「スライム、一緒に来てくれてありがと!」

同じ食卓を囲む仲間と食事を楽しみ、太陽が傾き出す頃に雑音は無くなっていた。

一番最初に戦意を喪失した盗賊は最後まで抵抗せず震えるだけだったので約束通り残した。

最後の一人に手をかける。絶命した後は濃厚な香りが無くなり、肉の新鮮さと旨味だけが残った。お残しは食に対しての冒涜だ、例え質が落ちても最後まで頂いた。

「さぁて、お楽しみと行きますか♡」

刃物の柄で頭蓋骨を叩き割り、空いた穴に親指を突っ込んで開ける。

死んでからあまり時間は経っていないからか、しっかりと形を保っている。

「美味そう~♡」

やはりここだけは別格だ。
刃物で切り分けるとパンケーキに閉じ込められた蜂蜜の如く脳汁が溢れ出す。


咥内へ一口入れた瞬間理解した。

身体が軽くなりまるで羽根が生えている様な感覚。

甘美で濃厚な味で腐った自分の脳が目まぐるしく唸り、回りに廻る。

腐りかけたドーパミンが溢れ出し興奮が治らない。

舌がデロリと露出して俺のキリッとした顔を破顔させる。
俺のハートを掴んで離さない、盗賊は大変な物を盗んで行きましたッ!!

目を蕩けさせながらガブリと大きく口を開けると次の頭部を開封して貪る。

幸せな味が口いっぱいに広がって、幸せでいっぱいだ。

「死にたく無い、死にたくない……」

手を砕かれ仲間が食われる様を見た隣の彼は、戦意を完全に喪失し非常に怯えていた。

俺は刃物をヒラリと動かして盗賊と向き合う。

「ひっ、やめ」

「さぁて、盗賊B君。君のアジト教えてくれない?抵抗しなけりゃ殺さないであげるからさ」

「ハィ、ハ、ハイ……」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ついた先は冒険者ギルドの裏だった。

「嘘ついてたら食べちゃうからな~」
「本当だっ!!」

騙された所で俺に物理的攻撃が通用する訳じゃない。だが、折角の餌場を壊すのは嫌なので、うっすら扉を開けて覗いてみる。

うじゃうじゃいるわぁ♡

「よし、じゃあ中入って指示した奴にこう報告するんだ。

襲った奴が思ったより金持ちで他の奴らは金を持ち逃げしてどっかに行っちまった、ってな。やらなきゃすぐわかるから、お前の匂い辿って昼夜問わず襲いに行くからよろしく」

そう言って俺はトランクケースを片手に裏路地を通って遠回りで宿に帰る事にした。

一気に食べたら勿体ないからなぁ。
俺今お腹いっぱいだし。


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