【改稿版】この世界の主人公が役にたたないのでモブの私がなんとかしないといけないようです。

鳳城伊織

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61話 お出かけと、試験開始

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安藤と珍妙丸は道場の床に広がる血液を拭いていた。ツバサの血だ。

「安藤。お主、いくらツバサが死なぬと言っても、これはやり過ぎではないか?」

珍妙丸は、真っ赤に染まった雑巾に顔を顰めた。一応珍妙丸には、ツバサは簡単には死なない能力が有ると説明してある。実際、辺り一面血の海だが、ツバサは生きている。

「あー?でも、あいつがやるって決めた事だ。今更やめれねえよ」

そのツバサはと言うと、道場の隅の方で気絶している。今回の事は、流石に堪えたのだろう。魘されている。

(……園田には、絶対みせらんねぇな。コリャ)

ツバサの希望で、ミライには最初から修行を見せない事に決まった。これは女子には刺激が強すぎる。安藤も、同意見だ。

(たくよー……。すぐに、音を上げると思ったが、なかなかどうして、頑張るじゃねーかよ)

痛みを伴う今回の修行。始めてから既に数日が経つが、ツバサはやめたいとは一度も口にしていない。

安藤は、そっとツバサに近づき見下ろす。

「お前の何処が弱虫だっつーんだ。ばーか」

安藤はポツリと呟いた。





一方その頃、暇を持て余したミライは、校内をあちこちフラフラして、またもや執事と遭遇していた。

「あれ?また、クッキーですか?」

執事はと言うと今回は、いつぞや味見を頼まれたクッキーらしき物を手に持っている。そしてまた、顔に傷が出来ていた。前ほどの怪我では無いが、額に大きな痣がある。

(また?……なんで?)

「……また、こちらの味見をして頂いても、よろしいですか?」

「あー、とりあえず、手当てをしてからにしましょう」

慣れとは恐ろしいもので、ミライは執事を座らせるとテキパキと手当てを始めた。濡らしたハンカチで患部を冷やしてから、軟膏を塗る。

「今回も、自分でやったんですか?」

「いえ………お仕えしている方から、罰を受けました」

執事の言葉にミライは慄く。

(な、なんでそんなパワハラ職場がまかり通るのっ!?労基はどこっ?)

残念だが、この世界に労基は無い。

(お仕えしてる人。……酷い上司が居るのかな?……可哀想)

なんだか執事が哀れになって、頭をよしよしと撫でる。今度は自主的に。

執事は気にした様子もなく、大人しく撫でられたままで、ミライをじーっと見ている。

「そんなに、酷い職場。辞めたほうが良いですよ?最悪、逃げちゃうとか?」

ミライは日本の社畜の末路を思い出して、嫌な気分になる。

(………死んじゃったら意味無いしね)

最悪の結果になる前に、逃げるのも悪くは無い。一つの手段だ。

「…………逃げる」

ぽそりと執事が呟いた。

(そうだよ。逃げても誰も文句なんて言わないよ。こんなの)

だが、執事はクッキーを取り出して

「どうぞ」

と言ったきり黙り込んだ。

「えー?………はあ。いただきます」

やはりクッキーは甘い匂いなのに、苦い。美味しくない。

(ん?)

クッキーを食べるミライを見て、執事の目が不安そうに泳いだ様に見えた。そんなに、クッキーの評価が気になるのだろうか?

(でも、嘘は言えないなぁ)

「あー、その、やっぱり……苦手です。私には、ちょっと、美味しくは感じないですね」

「………そうですか」

特に気にした風もなく、執事は頷いている。

(うーん。この人、ホント謎。………あ、そう言えば……)

ふと、そういえば、この人の名前を知らないなと気づく。こんなに交流が有るのに、ちゃんと自己紹介をした事は、一度も無かった。

「あ、あのー、私、園田ミライです。貴方は?」

「名前はありません。お好きにお呼び下さい」

(名前が無いなんて、そんな事無いでしょ。お前に名乗る名前は無いって事?はあ?………ちょっとムカつく。手当とかしてあげてたのに……)

ミライはイラッとした。だが表情には出さずに、そうなんですねーと答える。

(とりあえず、これまで通り、執事さんって呼ぼう)

好きに呼べと言われたのでそうする。

執事は相変わらず、マイペースだ。用が済んだらしく、さっさとその場を立ち去って行った。







◇◇◇◇◇◇






6月の頭になった。そろそろ試験も近づいたある日、ライアンに声を掛けられて、ミライは思いっきり振り返った。

「あらぁ。めずらしぃねぇ、ミライちゃん。ひとりなんて、どないしたの?」

「ライアンさん!!帰ってたんですか?他の皆は?」

ツバサ達に最近ハブにされてるミライは人に餓えていた。満面の笑みでライアンに尋ねる。

「あらあら。なんや、随分と嬉しそうやねぇ」

それにライアンもニコニコと返す。

「ごめんなぁ。帰ってるんは、私とにゃん子ちゃんだけやと思うんよ?皆、任務先でバラバラになってるさかいねぇ」

「そうですか。………にゃん子も帰ってるんですか?」

「せやねぇ。あ、ほら、噂をすれば何とやらやね。こっち来るわぁ」

ライアンの視線の先には、走ってこっちに来るにゃん子の姿が有った。

「わー!!ミライちゃん。久しぶりやしー!!元気?」

にゃん子も嬉しそうだ。折角なので、3人で、ベンチで駄弁る事になった。

ニコニコしているライアンの顔を見て、ミライはハッとした。

(そう言えばまた、変なお土産渡されるのでは……?)

トラウマである。ぷるぷると震えるミライをライアンは不思議そうに見ている。

「ミライちゃん?……あ、ごめんなぁ。今回はお土産ないねん、楽しみにしててくれたんやったら堪忍やでぇ」 

「え?………へー?あー!!そうなんですね。残念だなぁ。ふーん、そっかぁー」

(よっしゃァァァ!!!!)

内心の喜びがバレないように、ピューピュー口笛を吹いてそう言うミライにライアンは、キョトンとしている。

「あらぁ?ほんなら次回は、目いっぱいええもん買って来るわぁ。楽しみにしててなぁ」

(あああああ‼!!!しまったァァァ!!!!)

頭を抱えるミライをアホやなぁと言う目で、にゃん子は見ている。





◇◇◇◇◇◇



「へぇー、モールがあるんや?うち、行ったことないしー!!」

話をしている流れで、前にマロン達とショッピングモールに出掛けた事を話すと、にゃん子が食いついて来た。

「あらぁ、なら、3人で放課後に行ってみる?」

そうライアンが言うので、その提案に乗る。

放課後にそれぞれ、外出用のリングを貰って、着替えて裏門に集合した。

ライアンは、シンプルな黒のジャケットに白のインナーに、お洒落なダメージジーンズに足元はショートブーツだ。そして何時もは、ハーフツインの髪を一纏めにして、高い位置でポニーテールにしていた。

(へぇ……。なんか雰囲気変わるなぁ)

「ライアンさん。似合いますね。そう言うシンプルなの」

「ふふふ、ありがとねぇ」

ミライはと言うと、地味なブラウスにGパンだ。ブラウスがちょっとよれていて、端からぴょろんと変な紐も出てる。

「ミライちゃんは………ふふふ」

笑って誤魔化された。

(すみませんね。褒めるところが無くて……)

ミライがぐぬぬとなっていると、にゃん子が走って来た。

「お待たせぇー!!早く行くしー」

「あれ?にゃん子、制服なの?」

にゃん子は制服だった。

「んー、だって服買うの勿体ないもん。だから持ってないしー」

「こらぁ、にゃん子ちゃん。女の子やねんから、それでは、あかんよぉ?折角やから、今日は、にゃん子ちゃんの服、見よかぁ?ほら、早よぅ、行こう」

ライアンはそう言うと、スタスタと先に行ってしまった。慌ててミライ達も追いかける。

足の長さの違いか、ついていくのでやっとだ。

(ぐぬぬ)

「うわー、凄いなぁ!!うち、こんな所初めてやしー」

そう言って、にゃん子はテンション高くぴょんぴょん飛び跳ねている。

なんか意外だ。

「あんまり、出掛けたりしないの?」

「んー、……そやね!!基本は家でゲームしてる事が多いしー」

(ほーん。そう言えば、課金してまでゲームやってるんだったな。コイツ)

冷ややかな目で見るミライに、にゃん子は冷や汗をかいている。

「別に良いやんかぁー!?」

ライアンはそんな二人のやり取りを、あらあらと眺めていた。平和である。

その後、服を見に行ったが、にゃん子が、高い高いと、騒ぐので中々買えていない。

「もー、にゃん子ちゃん、ゲームには、お金使うんと違うのぉ?」

ライアンは呆れ顔だ。それから、何かを見つけたようで何処かに行くと、手に何かを持って戻ってきた。髪を結ぶシュシュだ。二つ持っている。赤と黄色。

「これなら、安いし、私とお揃いで買わへん?」

ライアンは、にゃん子に黄色のシュシュを手渡してそう言った。

「え?………お揃い」

にゃん子はそれを見つめて、ポツリと呟いた。

「………買う」

(あれ?ここでも、ハブ?)

ミライは涙ちょちょぎれていた。





にゃん子とライアン。会計を済ませた二人は、ポニーテールにしてお揃いのシュシュをつけている。珍しくフードを取ってご機嫌で歩くにゃん子。それを隣で優しい目でライアンが見つめている。


にゃん子の瞳は赤。ライアンの瞳は黄色(琥珀色)

そして、二人はお互いの色のシュシュを身に着けている。後ろから、眺めていたミライはニヤニヤしていた。

(ほう?なるほど?)

最近少し恋愛経験値が上がったミライは、色々と察した。そして、ほくそ笑んだ。

(にゃん子の弱みゲットぉ。ふふふ)

そして、その日はお開きになった。

寮までの道、ニヤニヤするミライに、にゃん子は、頬を微かに染めて照れ臭そうだ。

「なんや、ミライちゃん。その反応キモいしー、………いや、ホント気持ち悪い」

「マジトーンやめて」

そんな風に楽しい時間を過ごした。







だが、それから数日後、ミライは頭を抱えていた。

隣でツバサも安藤も眉を顰めている。

「おいおい、まさか誰も、帰ってこねぇとはな」

今日が筆記試験だったのだ。そして明日が実技なのにメインキャラが誰も帰ってきていないのだ。ライアンも、また任務に行ったし、ユアン達は一度も帰って来ていない。

にゃん子は居た。

(あいつはどうでもいい)

「佐助に魔法入れて貰えないね」

ツバサは困り顔だ。

そしてミライは安藤にほっぺたをつねられている。

(い、いひゃい)

「おい、もっかい詳しく試験の事、話せや」

「ひゃい、分かりみゃした」

試験の流れは、主人公ツバサがモブをバッタバッタなぎ倒して行く。ちなみに倒し方は全くわからない。作画の都合か、謎エフェクトと効果音、そして倒れているモブ。全て止め絵である。

屍累々……。そこに、トリトンが現れるのだ。アニメ視聴時に、あれ今回はヒロイン達出てこないな?とは思ったが、作画や声優とか、大人の都合だと勝手に思っていた。だが、まさか、本当にメインキャラが誰も居なかったとは。

ミライが話終わると安藤はミライを見ながら、めっちゃ深い溜め息を吐いた。

(あてつけですね。わかります)

「どうすんだよ?モブっても特別クラスの生徒だぞ。普通に強えぞ」

(ですよねー)

「うーん。一応、最近は刀も少しは習っている所だけど、僕、攻撃手段なんて、ほとんど無いよ?」

「だよね……。どうしよう。詰んだ」

ユアンかエリカに佐助に攻撃魔法を入れて貰うのをアテにしていた三人は、途方に暮れる。

「はー、仕方ねぇから、佐助には俺とおっさんで適当に魔法仕込んどく。それに一応は、佐助無しでも……とは考えてたしなぁ………」

「そうだね」

そうは言っても、安藤は頭をボリボリ掻いている。結構参ってるようだ。

「はあー、本当によぉ……上手くいくのかよ?…………はあ」

(ごめん。安藤。生きろ)







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