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痴漢退治9
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ソラを着替えさせた後、なぜか私とソラは正座をさせられていました。
「キララさん、ソラ君! 年頃の男女が着せ替えっこなんかしちゃダメでしょう!」
おっぱいお化けによるお説教です。
顔を真っ赤にして怒っています。
「ご、ごめんなさい」
ソラが縮こまって謝ります。
でも、ソラは悪くありません。
そして、私も悪くありません。
「ソラ、謝ることないわよ。着せ替えっこなんて、いつもやっていることでしょ」
「もう! キララさん!」
ちなみに、私は身体に布を巻き付けた姿のままです。
ちょっと、肌寒くなってきました。
私はお説教を遮って、そのことを主張することにします。
「あの……」
「反省した?」
「ノーパンは寒いので、そろそろ服を着たいです」
「!? は、早く着て!」
自分からお説教を始めておいて、この言い草です。
おっぱいお化けは自分勝手です。
でも、肌寒いので、文句は言わずに、着替えを優先することにします。
*****
「えっと、キララちゃん……ソレは?」
ソレというのは、私が着た衣装のことでしょう。
私はポーズを決めながら答えます。
「愛と正義のマジカル☆キララです♪」
完璧に近いポーズが決まりました。
ステッキを持ってきていないのが残念です。
そういえば、勢いに乗って魔女っ子(代理)としての二つ名を名乗ってしまいました。
これでは正体がバレてしまいます。
…………
まあ、今さらでしょう。
部活の皆さんにはお花見のときに魔女っ子衣装を披露しています。
あのときと衣装は違いますが、私が魔女っ子(代理)であることは、薄々察しているはずです。
でも、念のためにお願いしておくことにします。
「私の正体は秘密にしておいてください」
「……うん、わかった。そんな、恥ず……いえ、可愛い衣装を着ているなんて知られたら、変な人が寄ってくるかも知れないものね」
秘密にしておいて欲しかったのは衣装ではなく魔女っ子であることなのですが、たぶん大丈夫でしょう。
痴漢の被害にあったことを真剣に心配する部活の皆さんなら、言いふらすようなことはしないはずです。
なにはともあれ、これで私とソラの着替えは終わりました。
残るはソラのお化粧です。
私は自分の鞄から化粧道具を取り出します。
女の子、あるいは、男の娘のお化粧には時間がかかります。
お化粧が終わる頃には、普段、部活が終わるくらいの時間になるでしょう。
時間帯としては通勤ラッシュのタイミングです。
つまり、電車に乗れば問題の痴漢が出る可能性があるということです。
「ソラのお化粧が終わったら、おとり捜査をしつつ今日は帰りますね。痴漢が出なかったら、明日の朝も同じようにしようと思います」
「ええ!?」
私がソラのお化粧をしながら、この後の予定を言うと、なぜか驚いた声が上がりました。
思わず、手を止めて振り返ります。
「その服で電車に乗るつもり!?」
「? そのつもりもなにも、そのために着替えたのですけど」
「そ、それはそうだけど……」
どうしたというのでしょう。
なぜ驚いているのか、理由がわかりません。
もしかして、正体がバレることを心配してくれているのでしょうか。
でも、心配はいりません。
私には『地上波で現れる不自然に多い湯気』があります。
正体がバレそうになったら、アレを散布して逃げようと思います。
満員電車で散布したら大惨事になりそうな気もしますが、魔女っ子の正体がバレるよりはマシです。
魔女っ子の正体は、なによりも優先されるのです。
正体がバレるのは、仲間が増えるときか、最終回のときだけなのです。
それが世界の真理なのです。
「大丈夫です。魔女っ子の正体はバレないものですから」
私は心配する部長に、世界の真理を教えて上げます。
すると、部長は困ったような顔をして言ってきました。
「うーん、そういうことじゃないんだけど……まあ、キララちゃんがかまわないなら、いいか。それに、その服なら痴漢が寄ってきそうだから、おとり役としては充分だしね」
「あの、おとり役はソラなんですけど」
「ソラ君も可愛いわよ」
おかしいです。
いつの間にか、私もおとり役になっています。
私には疑似魔法があるので痴漢くらいは撃退できますが、もともとはか弱い女子におとり役をさせるのを避けたいからと、ソラ子の出番になったはずです。
普段は私もか弱い女子です。
これはやはり、魔女っ子としての正体がバレているのでしょう。
秘密を守ってくれるという言葉を信じるしかありません。
そんな会話をしながら手を進めていると、お化粧が終わりました。
「はい、できあがり」
「できたの?」
「ええ、とっておきの美少女にしてあげたわよ」
ソラ子の再誕です。
「キララさん、ソラ君! 年頃の男女が着せ替えっこなんかしちゃダメでしょう!」
おっぱいお化けによるお説教です。
顔を真っ赤にして怒っています。
「ご、ごめんなさい」
ソラが縮こまって謝ります。
でも、ソラは悪くありません。
そして、私も悪くありません。
「ソラ、謝ることないわよ。着せ替えっこなんて、いつもやっていることでしょ」
「もう! キララさん!」
ちなみに、私は身体に布を巻き付けた姿のままです。
ちょっと、肌寒くなってきました。
私はお説教を遮って、そのことを主張することにします。
「あの……」
「反省した?」
「ノーパンは寒いので、そろそろ服を着たいです」
「!? は、早く着て!」
自分からお説教を始めておいて、この言い草です。
おっぱいお化けは自分勝手です。
でも、肌寒いので、文句は言わずに、着替えを優先することにします。
*****
「えっと、キララちゃん……ソレは?」
ソレというのは、私が着た衣装のことでしょう。
私はポーズを決めながら答えます。
「愛と正義のマジカル☆キララです♪」
完璧に近いポーズが決まりました。
ステッキを持ってきていないのが残念です。
そういえば、勢いに乗って魔女っ子(代理)としての二つ名を名乗ってしまいました。
これでは正体がバレてしまいます。
…………
まあ、今さらでしょう。
部活の皆さんにはお花見のときに魔女っ子衣装を披露しています。
あのときと衣装は違いますが、私が魔女っ子(代理)であることは、薄々察しているはずです。
でも、念のためにお願いしておくことにします。
「私の正体は秘密にしておいてください」
「……うん、わかった。そんな、恥ず……いえ、可愛い衣装を着ているなんて知られたら、変な人が寄ってくるかも知れないものね」
秘密にしておいて欲しかったのは衣装ではなく魔女っ子であることなのですが、たぶん大丈夫でしょう。
痴漢の被害にあったことを真剣に心配する部活の皆さんなら、言いふらすようなことはしないはずです。
なにはともあれ、これで私とソラの着替えは終わりました。
残るはソラのお化粧です。
私は自分の鞄から化粧道具を取り出します。
女の子、あるいは、男の娘のお化粧には時間がかかります。
お化粧が終わる頃には、普段、部活が終わるくらいの時間になるでしょう。
時間帯としては通勤ラッシュのタイミングです。
つまり、電車に乗れば問題の痴漢が出る可能性があるということです。
「ソラのお化粧が終わったら、おとり捜査をしつつ今日は帰りますね。痴漢が出なかったら、明日の朝も同じようにしようと思います」
「ええ!?」
私がソラのお化粧をしながら、この後の予定を言うと、なぜか驚いた声が上がりました。
思わず、手を止めて振り返ります。
「その服で電車に乗るつもり!?」
「? そのつもりもなにも、そのために着替えたのですけど」
「そ、それはそうだけど……」
どうしたというのでしょう。
なぜ驚いているのか、理由がわかりません。
もしかして、正体がバレることを心配してくれているのでしょうか。
でも、心配はいりません。
私には『地上波で現れる不自然に多い湯気』があります。
正体がバレそうになったら、アレを散布して逃げようと思います。
満員電車で散布したら大惨事になりそうな気もしますが、魔女っ子の正体がバレるよりはマシです。
魔女っ子の正体は、なによりも優先されるのです。
正体がバレるのは、仲間が増えるときか、最終回のときだけなのです。
それが世界の真理なのです。
「大丈夫です。魔女っ子の正体はバレないものですから」
私は心配する部長に、世界の真理を教えて上げます。
すると、部長は困ったような顔をして言ってきました。
「うーん、そういうことじゃないんだけど……まあ、キララちゃんがかまわないなら、いいか。それに、その服なら痴漢が寄ってきそうだから、おとり役としては充分だしね」
「あの、おとり役はソラなんですけど」
「ソラ君も可愛いわよ」
おかしいです。
いつの間にか、私もおとり役になっています。
私には疑似魔法があるので痴漢くらいは撃退できますが、もともとはか弱い女子におとり役をさせるのを避けたいからと、ソラ子の出番になったはずです。
普段は私もか弱い女子です。
これはやはり、魔女っ子としての正体がバレているのでしょう。
秘密を守ってくれるという言葉を信じるしかありません。
そんな会話をしながら手を進めていると、お化粧が終わりました。
「はい、できあがり」
「できたの?」
「ええ、とっておきの美少女にしてあげたわよ」
ソラ子の再誕です。
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