たまゆら ――婚外カノジョの掟

あまの あき

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予想外の飲み会

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「もしかして……帰りたくないとか? あれ? 俺誘われてる?」
 碧川夫妻を目で追うのに必死で、小山内くんの背中に隠れていたことをすっかり忘れていた私は、彼の言葉で我に返った。
「ごめんなさい! 違うの。そういうんじゃなくて……あの、さっき絶交した友達がいた気がして、それで思わず隠れちゃって……」
 何の言い訳も考えていなかったから、焦ってわけの分からないことを口走っていた。絶交した友達避けるって、中学生じゃん。小山内くんも訝しい顔をしている。
「なんや。俺に気あるんかと思った」
「まさかまさか。心配しないで。それは絶対ないから大丈夫」
「『絶対ない』って」
 五歳も上の職場の先輩に好かれたって嬉しくもないだろうと遠慮したつもりだったのに、小山内くんは失礼だと言わんばかりに鼻で笑った。
「あ。ごめん、そんなつもりじゃ……」
「いや、まあ、絶対ないのは分かってますんで」
 何となく気まずい空気になって、その場で解散した。せっかく小山内くんのことを少しは理解できそうだと思ったのに、自分からまた壁をつくるようなことをしてしまった。
 碧川さんと奥さんが一緒にいるところを見ただけで、こんなにも動揺してしまう自分が情けない。
 いい加減、ぜんぶ忘れて前に進みたいのに。
 巻き込み事故みたいなことしちゃって、小山内くんにも悪いことしたな。
 色んなことが気になって夜更けまで寝付けなかった。睡眠不足はお肌の大敵なのに。
「お、おはよう」
 翌朝、気まずく小山内くんに声をかけた。
「うっす」
 無視されたらどうしようと思ったけど、平常運転の彼を見てホッと胸を撫で下ろした。

「ねえねえ、一葉。お願いっ! 明日の夜、合コン来てくれない? どうしても一人足りないの!」
「わたしも合コン嫌いだけど、聡子にどうしてもって言われて、半ば強制的に参加することになっちゃったのよ。一葉も一緒に行きましょ」
 お昼休み、聡子と來未からどうしても合コンに来てほしいと誘われた。いつもならお断りするけど、今のタイミングに意味があるのかもと思い参加することを決めた。
 もしかしたら、運命の人が見つかるかもしれない――という細い糸のような希望を持って。
 お相手は都市銀行に勤めているエリートなんだそう。恋人に求める条件は高学歴、高収入よりも一緒にいて心地いい人なんだけれど。
 聡子が仲良くしている第二営業部の女の子二人とも合流し、待ち合わせ場所のイタリア料理店に向かった。
 前から一度来てみたかったお店。シェフがイタリア人らしく、本場の味が楽しめるそうだ。内装もおしゃれで、女性客やカップルが多い。平日の夜なのに、予約をしていないと入れないほどの人気ぶりなんだとか。
 向かい合って座った男性陣も五人。全員仕立ての良さそうなスーツを着ていて、聡子曰くの「顔面偏差値が高い」もそれなりにクリアしているのかなと思う。私はそこまで面食いでもないし、エリート好きでもないので、初対面の段階ではときめかなかった。
 食事が進むと何度か席替えがあって、一応全員と話す時間はあった。心が狭いのかもしれないけど、食事の仕方に品がなかったり、話題が自分の自慢ばかりだったり、この後二人で抜けようなんていきなり誘ってきたりする人には、潮が引くみたいに興味が薄れてしまい……。また今度会ってじっくりお話してみたいなと思える人はいなかった。
 目の前にいる人の好きになれないポイントばかり目について、人を振るいにかけてしまうから合コンは好きじゃない。無意識に碧川さんと比べている自分も。
 乗り気ではなかったけど、場の空気で全員とLINEを交換することになった。聡子ははしゃいでいたけれど、來未は苦笑気味だったので、恐らく私と同じ気持ちなんだろうと思う。
 積極的に参加していたわけでもないから、まだ顔と名前が一致していない。LINEでメッセージをもらってもピンとこないだろうな。まあ、イマイチ盛り上がっていなかった私にはメッセージなんてこないだろうけど。
 宝生調べでは、コミュ力とテンションが低い人はモテない。すなわち、私なのですが。
 ただ、予想に反して三人から連絡があった。社交辞令なのは分かりきっていたので、可もなく不可もなくの返信だけしておいた。
 翌日確認したら、聡子や來未にも同じ内容を送っていたし、二人もこの後抜けようと同じ人に誘われていたことが分かった。第二営業部の二人も憤慨していた。全員が同じ会社だと紹介してあるのに、全員に同じことをするなんてあっぱれと言えばあっぱれだ。節操がないというか、数撃ちゃ当たる精神というか。合コンを成功させたいという執念だけは認めようと思った。
「アタシは会う約束したけど」
 しれっと言ってのける聡子はさらに上をいく猛者だと思った。
 どこへ行っても碧川さんに似た人を探してしまう未練たらしい女にも、その潔さを分けてほしいよ。

 チームでのミーティングが長引いた夜のことだった。誰かが飲みに行きましょうと言い出したのをきっかけに、いつの間にかチーム全員で行くことになった。リーダーである碧川さんを含めて六人。新入社員がいるから通常より人数は多いけど、それでも私にとっては多いとは言えない。もっと人数が多ければ気にならないけれど、この人数だと視界に入るし席順だって気になるところ。隣や向かいは全力で避けたい。
 同じ部署の同じチーム。少し前までは歓喜していたことが、今となっては辛苦だ。
 急に決まったことだし、会社近くの居酒屋へ行くことになった。お店に連絡すると、個室はないけど座敷の六人席は空いているとのことだった。満席だったらいいのにと思ったけれど、平日だしまだウイルス流行前ほど客足は戻っていないらしい。
 お店に着くと、先輩の石崎さんが碧川さんに奥に座るよう案内していたけど、碧川さんは上座とか気にする人ではない。無礼講でいいよと言った途端、小山内くんが一番手前の席にどんと腰を下ろした。
「ちょっと小山内くん」
「え? 下っ端ってここに座るんじゃないんすか?」
 一応、下座を意識していたのは驚きだけど、だからといっていの一番に座るなんて。
「いいねぇ、小山内くんはなかなか面白くて」
 くすくす笑いながら、碧川さんが小山内くんの向かいに座った。碧川さんの席が決まったところで、ここぞとばかりに離れた席に行こうと狙った私は、石崎さんにこっそり腕を掴まれ耳打ちされた。
「宝生ちゃんは小山内の隣ね」
「ええ! なんでですか?」
 そんなところに座ったら、碧川さんの視界に入ってしまう。
「だってみんな怖がってるもん。宝生ちゃんは仲良いでしょ。よろしく」
 ポンと肩を叩かれた。これも先輩命令? 仲良くなんかないのに! どうしよう……最悪の展開だ。
 内心では白目を剥きながら、小山内くんの隣にそっと腰を下ろした。
「じゃあ、生ビールの人~!」
 こういう時、しゃきしゃき注文を訊いたりする人間になりたいのだけど、気づいたらいつも自分じゃない誰かが仕切ってくれている。心構えがなってないんだよな、私は。
「ビールが五と……あれ? 小山内くんは何飲むの?」
 今日は慰安旅行で同部屋だった加藤さんが仕切ってくれているのだけど、小山内くんは生ビールを注文しないようだ。
「俺はオレンジジュースで」
 そこにいた全員が一斉に小山内くんを見た。
「あんたまさかその顔でお酒飲めないの?」
 私の向かいに座った石崎さんが吃驚の声を上げた。
「いや。飲めんことはないんすけど、俺酔うとキス魔なるらしいんで」
 再び全員が固まって、小山内くんを凝視した。
「だったら、隣の宝生さんは危ないね」
 にこにこしながら、碧川さんが言った。思いがけず目が合って、胸がどくんと大きな音を立てた。他の人は写真の背景ぼかしみたいにぼやけてしまい、何も聞こえなくなった。
 みんな小山内くんの発言にわーわー反応していて、私も参加しているフリはしたけれど、視界の片隅から意識を逸らすことができずにいた。
 右目の隅に映る優しい笑顔、右耳に流れてくる穏やかな声、右の鼻に微かに感じる柔軟剤の匂い……どれも好きだった。彼のすべてが今でもホクロみたいに私の体中に残っている。生まれつきそこにあったように自然に。
 気まずくて思いの外、お酒が進んだらしい。解散するころには酔いが回っていた。久々に足元がふらついている。転んだら嫌なので、お店の外にある待合のイスに腰かけた。裏路地にあるお店なので、タクシーを拾うにしても大通りまでは歩かなければいけない。
「宝生ちゃん、大丈夫?」
「大丈夫です。少し休憩したらタクシー拾いますから、お疲れ様でし……た?」
 先に帰ってくださいとみなさんを見送るつもりだったのに、なぜだか小山内くんが私の隣にドカッと座った。
「酔っ払い一人じゃ危ないでしょ」
「へえ。いいとこあるじゃない、小山内。けど、あんたの方が危なかったりして」
 小山内くんの言葉を聞き、石崎さんがからかうように言った。
「大丈夫っすよ。俺ゲイなんで」
 またその場が凍り付いた。この人はこの数時間に何度度肝を抜くカミングアウトをするつもりなのだろう。
「そ、そうなんだ。小山内ってゲイなんだ。じゃあ、宝生ちゃん任せても安心ね」
 今の時代だから露骨に差別的なことを言う人はいなかったけれど、衝撃が走ったことは間違いなかった。
 私だって偏見はないけど、それなりに驚きはあった。
 この間、背中に隠れた時に妙に気まずくなったのは、万が一私が彼に気が合ったら困るからだったのかも。
 そりゃそうだよね。絶対に恋愛対象になり得ない人から好かれたら困っちゃうよね。
「じゃあ、小山内くん頼んだよ」
 さほど飲んでいないのに顔が赤い碧川さんが言った。この場合仕方ないのは百も承知だけど、できることなら「おれが送るよ」と言われたかった願望に一人落胆する。
「ういーっす」
 とんでもなく失礼な返事だったけど、注意する力は残っていなかった。
 あぁ、大丈夫とは言ったものの気持ち悪くなってきた。湿気の多い暑い夜が気分の悪さを加速させている。いつ治まるかも分からないのに、小山内くんを待たせるのは申し訳ない。
「ねえ、小山内くん。もういいよ、先に帰って。私もう少し休むから」
「こんなとこに一人で座ってたらさらわれますよ」
「大丈夫だよ。今までそんな目に遭ったことないし……」
「そんな目に遭ってからじゃ遅い」
 そう言うと彼は私に背中を向けてしゃがんだ。
「どーぞ」
 どうやら背中に乗れということらしい。
「え? いいよ、そんなの」
「外に座ってても暑いし、はよタク乗って帰りましょ」
「で、でも……」
「はよせな、肩に担ぎますよ」
「担がれるのはちょっと……」
 今逆さまに担がれたりしたら吐いてしまいそうなので、お言葉に甘えることに。
 男の人におんぶされるなんて、いつ以来だろう。
 がっしりとした背中に掴まる。私は細身でもないし結構重いはずなのに、彼はよたよたすることもなく普通に歩いている。見た目通り(?)力があるんだなと思った。
「重いでしょ? ごめんね」
「肉の塊って感じ」
「もう、ひどーい」
「やっぱ乳デカいんやなと思って」
「ねえ、その露骨な表現どうにかならない? いくらゲイでもセクハラじゃない?」
 いや、待てよ。もし小山内くんの心が女性ならセクハラではない? 來未や聡子に胸のことを言われてもセクハラだとは思わないもんね。ということは、見た目で男性と判断している私がセクハラ? でも、トランスジェンダーだとは言ってなかったし。勉強不足で失礼があったらどうしよう。
「ガチで信じたんや」
「……は? 嘘なの?」
 おんぶしてもらっている身ではあるけど、後頭部をぶん殴ってやろうかと思った。
「いちいち冷やかされたりすんの、めんどいから」
「だからって……」
「宝生さんも困るでしょ? 俺と変な噂立てられても」
「まあ、それはそうだけど……」
 確かに、昨日何かあったの? なんて詮索されるのは私も好きじゃない。碧川さんの手前、新入社員の男の子と噂になるのも避けたい。
「それに、もし俺がほんまにゲイで、碧川さんのこと好きやったらどないするんすか」
「え……?」
 血の気が引く言葉に二の句が継げなかった。
「碧川さんとデキてんでしょ?」
「……っ!」
 今日は突拍子もないことばかり言うけど、突然の小山内砲《・・・・》には面食らった。酔いも醒めるほどの衝撃。
「な、何言ってるのよ。デキてるわけないでしょ? み、碧川さんは既婚者なんだよ。そんなこと言ったら失礼だよ」
 内心ではパニックになりながら、どうにかこうにか否定した。もう関係は終わっているし、噓を吐いたわけでもないのに冷や汗が噴き出した。
「俺、見たんすよ。慰安旅行ん時。碧川さんが宝生さんの部屋入るとこ」
 まさか決定的瞬間を見られていたなんて。
「あ、あ、あれは碧川さんの部屋が私の部屋のちょうど真下だったから、階数間違えて入ってきただけだよ」
「碧川さん、真下の部屋やっけ? まあ、どっちにしても長かったっすけどね」
 おんぶされているので表情を窺い知ることはできないけれど、小山内くんが首を捻ったのは分かった。
「……小山内くん、見張ってたの?」
「そら、強姦でもされたら助けに行かなあかんと思って」
 見た目に寄らず(?)正義感があるのは良いことだけど、仮にも上司のことを強姦するような人だと思っているのだろうか。それを思うと少し悲しい。
 碧川さんはそんな人ではない。私の気持ちを知ってからも、強引に迫ってくるようなことは一度もなかった。こういうエピソードを披露できないのはもどかしい。
「そりゃ、酔っ払って部下の部屋に間違えて入っちゃったのは迂闊だったのかもしれないけど、碧川さんは部下を強姦するような人じゃないよ」
「ふーん」
 納得できないとでも言いたげに、小山内くんは返事をした。
 私は恋愛感情抜きに碧川さんは良い上司だと思うし、尊敬もしている。他にもいくつかチームはあるけれど、碧川さんのチームで良かったと思っている。でも、人の感じ方なんて個人差があるし、私が好きな人が全員から好かれているとは限らない。
 小山内くんが碧川さんをどう思おうと、彼の自由だ。好みを押し付けることはできない。
「まあ、合意の上なんやったらいいけど。自分の立場を利用してとかじゃないなら」
「だから、私と碧川さんはほんとにそんなんじゃないんだって。碧川さんに失礼だから変なこと言うの止めて」
 合意というか寧ろ私から強引に迫ったようなものなのに、男性の上司と女の部下という関係性だったらどうしても男性側が悪く思われてしまう。
 いつも女性が被害者とは限らないのに。
「もういいよ、下ろして。ありがとう」
 碧川さんが不埒な奴だと言われた気がした。だんだん切なくなってきて、後輩におんぶされている気分じゃなくなってしまった。
 頭はいくらかしゃんとしたけど、まだ足元がふらつくのでタクシーを拾った。
 運転手さんも物静かな人のようで、車内にはカーステレオの音だけが響いていた。年齢も性別も違う見ず知らずの人たちと相席した時のような気まずい沈黙だった。
 無理やり話題を探す元気もなく、適度な揺れを感じながら流れる景色を見ていたらいつの間にか眠っていた。
 気づいた時には、小山内くんに抱えられて車を降りるところだった。
「あ、ごめん……」
 中途半端に寝たせいか、体がだるくて足に力が入らない。
 彼の体に思い切り甘える形で歩き出した。
 急に何もかもが虚しく思えた。
 ワイシャツをまくった袖から覗く逞しい腕にも、SAUVAGEっぽい野性的でセクシーな香りにも、見上げた時に見える眼鏡にも、すべてに違和感を覚えてしまう。
 これが碧川さんだったらいいのに――厚みのある体にしがみつきながら、私は違う男性《ひと》を思い浮かべていた。



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