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Kiss The Girl
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考えながら電車で帰りますと申し出て、駅まで送ってもらった。二人きりで車に乗る勇気はなかった。
頭がぼんやりして何も考えられない。
一体どこから整理したらいいのだろう。部屋を借りること? いや、それより奥さんに行為を見せることを検討するべきか。果たして検討の余地はあるのか……。
荒ぶる気持ちを静めるため駅前のカフェに入った。無意識に選んだので、場違いと気づいたのは入店してからだった。とても深刻な考え事をする空間じゃない。
店内は白とピンクを基調にしたプリンセスのお部屋のような設えで、猫脚のテーブルやイスが置いてある。ロココ調の雰囲気は好きだけど、若い女の子が映える写真目当てに来そうなあまりに可愛らしいカフェだった。
不倫している女がのこのこと来るところじゃない……思いかけて目を疑った。
「え……? うそ」
やけに視線を感じるので店内を見回すと、店のど真ん中に存在自体が営業妨害になりそうな治安悪めの男がいた。できることならば、今一番会いたくない人物と言っても過言ではない。
「えらい浮かん顔して、デートでもすっぽかされました?」
十代か二十代前半の女性客が多い中で、白馬の王子さまっぽくもない小山内くんは完全に浮いていた。お嬢様が通う女子高に迷い込んだヤンキーみたい。みんなが恐る恐る視線を向けているのが伝わってくる。
目が合うと、彼は徐に私の席へと移動してきた。慰安旅行の時は碧川さんしか見ていなかったので彼の私服姿をじっくり見たのは初めてだけど、インテリヤ●ザというかチン●ラ? VERSACEっぽいと言えばいいのか、黒地に金色の模様が入ったシャツのボタンを二つ開け、シルバーの鎖みたいなごついネックレスをつけている。
そして、手にはクリームソーダ。違和感のデパートである。
「別にそんなんじゃないけど……。小山内くんこそ、こんな可愛いお店で何してるの?」
「クリームソーダ飲んでます」
「それは見れば分かるけど……」
「甘党なんです、俺。可愛いでしょ」
会話も感性もずれていて、苦笑いするしかなかった。どうにも通じ合えない人だ。
「いらっしゃいませ~。わぁ! これ大和のGirlfriendか? かわいい。めっちゃかわいい!」
女の子みたいと言っていいのかどうか分からないけれど、白いTシャツに黒いエプロンを着け、黒いベレー帽をかぶった中世的で整った顔立ちの男性店員さんが私を見て言った。驚くなかれ、小山内大和はどうやらこのラブリーなカフェの常連らしい。店員さんに下の名前で呼ばれるって相当だ。
「やろ。てか、これが一緒に住んでる台湾人。パオちゃん」
やけに親しいと思ったら、例の同居人だった。どう表現したらいいのか難しいけれど、想像していた人と違い過ぎて軽く混乱した。
「そうなんだ、この方が」
「はじめましてぇ。陳《チェン》志明《チーメイ》です」
「あ、はじめまして。宝生一葉です」
きらきらという表現がぴったりの笑顔につられ、こちらも自然と頬が緩む。悪そうな奴は大体友達って歌い出しそうな小山内くんと一緒に住んでいるなんて信じられない。
「イチハね。あなたも一緒にShopping行くか?」
「え? ショッピング?」
「こいつの仕事終わるの待ってるんです。買い物ついてきてくれって言うから」
「ああ、そうなんだ。私はショッピング行かないですよ」
「どうして? ワタクシ邪魔か?」
小山内くんとは待ち合わせていたわけではないし、お友達と買い物に行くことなど知るはずもなく。
「ううん。邪魔とかじゃなくて、私たち、会う約束はしてなくて、たまたま会っただけだから」
相手が日本語ベラベラとは言え、身振り手振りを交えなるべくゆっくりと丁寧に話したつもりだ。ここ数年、海外旅行もしていないし、外国の方と話すのはかなり久しぶりだ。
「I ran into her.」
意味を探るように「たまたまな」と繰り返すパオちゃんに小山内くんが英語で補足した。なんて言ったのか分からないけど、単純に感動した。英語ができるなんて、やっぱりインテリヤ●……。(自主規制)
「Ah~Destinedやな」
パオちゃんの言葉に小山内くんは親指を立てて頷いた。
「すごいね、小山内くん、英語話せるんだ」
「話せるってほどちゃいますけど、まあ簡単な単語ぐらいなら」
さっきので簡単な単語なのかと秘かにがっくりきた。
こういう時、もっと英語を勉強しておけばよかったと心底後悔する。グローバル化していく社会を生き抜けそうにない。
「イチハも一緒に行きましょ。ワタクシ、大和よりあなたとShoppingしたい」
「ロックオンされたみたいっすね。この後、なんか予定あるんすか? パオは言い出したら聞きませんよ」
「そうなんだ。じゃあ行こうかな……」
熱烈なお誘いに根負けしたところはある。買い物なんてする気分じゃないと思ったけれど、誰かといた方が気が紛れるかもしれない。先送りにしても何も解決しないけれど、今の私には気分転換が必要だ。天使のような明るいパオちゃんの笑顔も。
「もうすぐ終わるだから、マカロン食べて待ってて」
「そこはタピオカちゃうんかい」
「 珍珠《ヂェンヂゥー》はワタクシが作るの方がおいしいやで」
怪しげな関西弁を使い、私たちのテーブルから放れて行く後ろ姿を目で追った。フリルのエプロンを着けた女性店員さんが多い中でも、彼は浮くことなく誰よりも店の雰囲気に馴染んでいた。
初対面だけど、独特の世界観を持つパオワールドにすっかり引き込まれてしまった。よくよく観察してみると、パオちゃんはお客さんからも人気があるようで、何人かの若い女の子たちはパオちゃんを目当てに来ているらしかった。帰り際にツーショット撮影をねだられたりしていて、さながらアイドルのようだった。
「可愛いね、チェンさん」
「パオでいいっすよ。あいつ、家で豚まんばっかり作りよるから包《パオ》って呼んでんねん」
名前にパオなんて入ってなかったのにと思ったら、あだ名の由来も強烈だった。
「そうなんだ。家で肉まん作れるなんてすごいね」
「向こうでは家で作る人多いみたいっすよ」
昔、一度だけ台湾を旅行したことがあるけれど、観光地を回ってホテルに宿泊しただけなので一般家庭がどんなものなのかまでは知らない。旅行で知れることなんてたかが知れているんだなと思った。
「お待たせいたしましたぁ」
きれいな桃色の唇から白い歯を覗かせ、パオちゃんがマカロンとアイスティーを運んできてくれた。
貝殻をイメージしたようなコロンとしたパステルピンクのお皿に小ぶりのマカロンが二つ乗っている。これは可愛い。映える。
マカロンは見た目によらず甘さ控えめで、私好みの味だった。口の中がぎとぎとして胸焼けするような甘ったるさを想像していたので意外だった。お姫様への憧れだけを切り取ったような夢見る甘い空間で、甘さ控えめのマカロンはアンバランスに思えた。
目の前でクリームソーダのクリームを頬張るやんちゃそうな男と同じくらいに。
「できます? これ」
会話も続かず、急に何を言い出すのかと思ったら彼は口をもごもごと動かし始めた。しばらくすると、口を開けて成果を見せてきた。
「すごいね。さくらんぼの茎、舌で結べるんだ。私はできない。っていうか、やったことないな」
「チュー上手いんちゃうんって思ったでしょ?」
「それって都市伝説なんじゃないの?」
「試してみます?」
「ふふ。今まで試した人には上手いって言われたの?」
相変わらず冗談か本気か分からないけど、彼は真顔で力強く親指を立てた。
未だにテンポはよく分からないし、ズレているところも多いけど、小山内くんはなかなか面白い子だと思う。長い時間かけないとそれが分からないのは勿体ない。黙っていたらかなり威圧的で怖い人にしか見えないから。
「お待たせ~。Let's go!」
三十分ほどすると、パオちゃんが仕事を終えて合流した。細身のデニムに淡いピンクのブラウス、私服も可愛い。褒め言葉か分からないので口にはしないけど、華奢な体型が羨ましい。
車を回してくると小山内くんが言うのでお店の前で待っていると、いかにもな黒くて車高の低い車がやって来た。可愛い軽自動車で来たら面白いかもって思ったけれど、車はイメージ通りで何の意外性もなかった。いかつい車に近づき、恐る恐る後部座席に乗るとパオちゃんも後部座席に乗ってきた。
「なんやねん。タク乗りすんなや」
「なんで? イチハが隣に座ってほしいだったか? 大和はスケベの考えしてるからダメね」
「アホか。してるか、んなもん」
「はぁー。男はスケベだなー」
同意を求めるように首を傾げられたので、笑いながらうんと頷いておいた。二人の絶妙なやり取りが面白い。
車が走り出すと、まさにタクシーみたいに後部座席だけでしゃべり始めた。
「ショッピングって何買うの?」
「あー、えっと肉と米買いたいでも、あなたとCosmetics見たい。大和はCosmeticsの仕事してるのくせに、行きたくない言う」
「そうなの?」
「化粧品売り場のネエちゃんかおばちゃんか知らんけど、苦手なんすよ」
確かに、私もぐいぐいくる人は苦手だ。仕事柄、おすすめしなければいけない気持ちも痛いほどよく解かるのだけど。
化粧品会社の営業が二人とも売り場の店員さんが苦手とか言っているのもどうだろうか。普段はそっち側にいるくせに。
「おすすめのSkin-careあるか? 高いは買えないけど」
「あるよ。プチプラの……じゃなくて安くて良いスキンケア」
プチプラって言うと英語っぽいけど、恐らく和製なので通じないだろう。
「プチプラは安いの意味?」
「うん、そう。プチプライスのことだと思う」
「あぁ、Petit priceでプチプラ! いいね」
どうやらパオちゃんはプチプラが気に入ったようだ。
その後も買い物中に気になるものがあると、これはプチプラかと訊いてきた。パオちゃんが話しかけるとお店の人もみんな笑顔になって、この人懐っこさと笑顔は最強の武器だなと思った。パオちゃんの垢を煎じて飲まねばという気持ちになった。
買い物の後、ご飯も一緒に食べたいと子犬の目でせがまれ……断り切れずにご一緒することにした。小山内くんはともかく、パオちゃんとおしゃべりするのは楽しい。
「二人はいつからカップルか?」
焼肉屋さんに行き、食事が和やかに進むとパオちゃんが訊いた。
「違う、違う。カップルじゃないよ。同じ会社で一緒に仕事してるだけ」
「ええ? カップルじゃない? うそー。でも、大和はイチハ好きでしょー?」
にやにやしながら、まるで小学生かのようにパオちゃんは小山内くんの腕をつんつんしながら冷やかした。思わずビールで噎せかけた。
「お前さぁ、ガチでそういうとこやで。空気読めや、マジで」
「なんでや。言わないと分からないやで。なあ?」
「えっ? まあ、そうだね……」
いきなり話しを振られて、苦笑いするしかなかった。思ってもいなかった展開だ。
「イチハは大和キライか?」
そして、パオちゃんは目をむくほど直球でくるのです。
「別に嫌いってわけじゃないけど……」
本人を目の前にして、告白されたわけでもないのに答えに困ってしまうではないか。
「日本人すぐ『好きけどぉ』『嫌いくないけどぉ』言う。それダメ。どっちか分からない。Yes or Noだけよ」
海外の方から見ると、確かに日本人の返事は曖昧なんだろうと思う。含みを持たせて傷つけないようにしているんだろうけど、結果的には一番傷つけてしまうのかも。
「もうええってお前。なんか勝手にフラれたみたいになってるやんけよ」
「まだキライ言われてないな。大和は下手や。女の子は自分だけLoveくれる男が好きですから、毎日好き好き言うです」
不覚にもパオちゃんの言葉が胸に刺さった。自分だけLoveくれる人、か。残念ながら、私は今、私だけを見てくれない人が好きだ。好きだと言うことも、言ってもらうことも控えなければいけない相手。しがらみなく毎日好き好き言えたら、どんなにいいだろう。
「言うですってタラちゃんかよ。毎日はエグいて」
「言わないと他の男Loveになるだからね」
「ふっ……もう遅いわい」
独り言みたな声で小山内くんが鼻で笑うのが聞こえてしまった。
ご機嫌なパオちゃんとは対照的に私と小山内くんは微妙な空気に包まれた。思い起こせば、『俺と付き合います?』と言われたことはあるけれど、気持ちを聞いたことはない。今の流れからするとそういうことなんだろうか。なんて思うのは自惚れかな。
「ワタクシ、Reverseするかも」
酔いが回ったのか、帰りはパオちゃんが後部座席で横になったので、私は仕方なく助手席に座った。食事中の会話も手伝って、頗る気まずい。
「車で吐いたらしばくで。停めるから吐く前に言えよ」
「好《ハオ》」と力なく答え、パオちゃんは目を閉じた。
「面白いね、パオちゃん」
「うるさいっすよ。こんなん毎日おったら」
「楽しくていいじゃない」
パオちゃんがいないと会話も続かなくて、しばらくはエコカーにはないやけに大きなエンジンの音だけが車内に響いていた。密室での沈黙は、慣れない親戚の家みたいに身の置き所がない。
「……今日はなんでパオの店来たんすか? 家から遠いっすよね」
沈黙をむず痒く感じ始めた頃、小山内くんに訊かれた。ぎくって顔に書いてないか心配になる。まさか、碧川さんの奥さんは小山内くんの言った通りの性癖だったよなんて言うわけにはいかない。
「えっと……まあちょっとね」
「デートっすか」
「ううん、違うよ」
「ケンカでもしたんすか? 元気ないみたいやけど」
「そ、そうかな? そんなことないよ。今日はパオちゃんのお陰ですごく楽しかったし」
「パオちゃんね。まあ、そうやな……」
元気がないと言われて動揺したのか、小山内くんのおの字も出さないという失態を犯した。
「ごめん、深い意味はないよ。二人の掛け合いも面白かったし」
「冗談すよ。俺はパオみたいに人を楽しませたりできんから」
「パオちゃんの性格はもはや才能だよね。私もほしいよ、この才能」
噂をすればじゃないけれど、信号待ちで停まると後部座席から声がした。
「今のって台湾語? 吐きそうなのかな」
日本語でも英語でもなかったし、恐らく母国語だろう。振り返ったけど、パオちゃんは目を閉じたままだった。寝顔もきれいだ。
「多分、寝言やと思う。こいつ寝てもうるさいから」
やれやれと言わんばかりに小山内くんも振り返った。むにゃむにゃ言うパオちゃんに、顔を見合わせて笑った。
助手席と運転席の間から後部座席を同時に振り返ったら、思いがけず距離が近くてお互いに一瞬固まった。空気が変わり、体にびりびりとした緊張が走る。
傾けながら彼の顔が近づいてきてキスされると思った瞬間、反射的に俯いてしまった。
「……ほ、ほんとだね。寝言みたい」
白々しく誤魔化した。
碧川さんは正式な彼氏じゃないし、他の男性とキスをしたって問題はないのにできなかった。
思い切って小山内くんの唇を受け入れたら、どうなっていたんだろう。
厄介な恋に見切りをつけることができたのだろうか。彼を好きになれたのだろうか。私には分からない。ただ、黙って目を閉じるという簡単なことさえできないのが答えではないかとも思う。
「哎呀~Ain't it shame, too bad. You gonna miss the girl.You gotta kiss the girl.」
凍り付いた空気を溶かすような明るい声だった。どうやらパオちゃんは寝たふりをしていたらしい。
「やかましいわ。つーか、起きとったんかい」
恥ずかしそうにツッコむ小山内くんに構わず、パオちゃんは【リトルマーメイド】の挿入歌【Kiss The Girl】を歌い始めた。(もちろん英語バージョン。)衝撃的に歌が上手くて聴き入ってしまった。お陰で変な雰囲気にならずに済んだ。
――でも、それは私が英語の意味を知らなかったからだ。家に帰って和訳を検索してみたら、あれはパオちゃんなりの “煽り” だったんだと気がついた。何度か映画を観たことがあるので歌われている場面を考えたら分かることだったけど、最初から最後までキスしなよって発破をかけている曲だ。
ずっと小山内くんが不機嫌だった理由が分かった気がして、自然と口元が綻んだ。
と同時に、キスをしようと近づいてくる彼の表情を思い出して今さら動揺している自分がいた。
以前、聡子が小山内くんのことを若いのに妙に色気があると言っていた理由が分かった気がする。
薄暗い車内、圧倒的雄感を醸して顔を近づけてくる彼は確かに色気があった。
まさか、後輩史上最も手こずった問題児に色気を感じる日がくるなんて……。
頭がぼんやりして何も考えられない。
一体どこから整理したらいいのだろう。部屋を借りること? いや、それより奥さんに行為を見せることを検討するべきか。果たして検討の余地はあるのか……。
荒ぶる気持ちを静めるため駅前のカフェに入った。無意識に選んだので、場違いと気づいたのは入店してからだった。とても深刻な考え事をする空間じゃない。
店内は白とピンクを基調にしたプリンセスのお部屋のような設えで、猫脚のテーブルやイスが置いてある。ロココ調の雰囲気は好きだけど、若い女の子が映える写真目当てに来そうなあまりに可愛らしいカフェだった。
不倫している女がのこのこと来るところじゃない……思いかけて目を疑った。
「え……? うそ」
やけに視線を感じるので店内を見回すと、店のど真ん中に存在自体が営業妨害になりそうな治安悪めの男がいた。できることならば、今一番会いたくない人物と言っても過言ではない。
「えらい浮かん顔して、デートでもすっぽかされました?」
十代か二十代前半の女性客が多い中で、白馬の王子さまっぽくもない小山内くんは完全に浮いていた。お嬢様が通う女子高に迷い込んだヤンキーみたい。みんなが恐る恐る視線を向けているのが伝わってくる。
目が合うと、彼は徐に私の席へと移動してきた。慰安旅行の時は碧川さんしか見ていなかったので彼の私服姿をじっくり見たのは初めてだけど、インテリヤ●ザというかチン●ラ? VERSACEっぽいと言えばいいのか、黒地に金色の模様が入ったシャツのボタンを二つ開け、シルバーの鎖みたいなごついネックレスをつけている。
そして、手にはクリームソーダ。違和感のデパートである。
「別にそんなんじゃないけど……。小山内くんこそ、こんな可愛いお店で何してるの?」
「クリームソーダ飲んでます」
「それは見れば分かるけど……」
「甘党なんです、俺。可愛いでしょ」
会話も感性もずれていて、苦笑いするしかなかった。どうにも通じ合えない人だ。
「いらっしゃいませ~。わぁ! これ大和のGirlfriendか? かわいい。めっちゃかわいい!」
女の子みたいと言っていいのかどうか分からないけれど、白いTシャツに黒いエプロンを着け、黒いベレー帽をかぶった中世的で整った顔立ちの男性店員さんが私を見て言った。驚くなかれ、小山内大和はどうやらこのラブリーなカフェの常連らしい。店員さんに下の名前で呼ばれるって相当だ。
「やろ。てか、これが一緒に住んでる台湾人。パオちゃん」
やけに親しいと思ったら、例の同居人だった。どう表現したらいいのか難しいけれど、想像していた人と違い過ぎて軽く混乱した。
「そうなんだ、この方が」
「はじめましてぇ。陳《チェン》志明《チーメイ》です」
「あ、はじめまして。宝生一葉です」
きらきらという表現がぴったりの笑顔につられ、こちらも自然と頬が緩む。悪そうな奴は大体友達って歌い出しそうな小山内くんと一緒に住んでいるなんて信じられない。
「イチハね。あなたも一緒にShopping行くか?」
「え? ショッピング?」
「こいつの仕事終わるの待ってるんです。買い物ついてきてくれって言うから」
「ああ、そうなんだ。私はショッピング行かないですよ」
「どうして? ワタクシ邪魔か?」
小山内くんとは待ち合わせていたわけではないし、お友達と買い物に行くことなど知るはずもなく。
「ううん。邪魔とかじゃなくて、私たち、会う約束はしてなくて、たまたま会っただけだから」
相手が日本語ベラベラとは言え、身振り手振りを交えなるべくゆっくりと丁寧に話したつもりだ。ここ数年、海外旅行もしていないし、外国の方と話すのはかなり久しぶりだ。
「I ran into her.」
意味を探るように「たまたまな」と繰り返すパオちゃんに小山内くんが英語で補足した。なんて言ったのか分からないけど、単純に感動した。英語ができるなんて、やっぱりインテリヤ●……。(自主規制)
「Ah~Destinedやな」
パオちゃんの言葉に小山内くんは親指を立てて頷いた。
「すごいね、小山内くん、英語話せるんだ」
「話せるってほどちゃいますけど、まあ簡単な単語ぐらいなら」
さっきので簡単な単語なのかと秘かにがっくりきた。
こういう時、もっと英語を勉強しておけばよかったと心底後悔する。グローバル化していく社会を生き抜けそうにない。
「イチハも一緒に行きましょ。ワタクシ、大和よりあなたとShoppingしたい」
「ロックオンされたみたいっすね。この後、なんか予定あるんすか? パオは言い出したら聞きませんよ」
「そうなんだ。じゃあ行こうかな……」
熱烈なお誘いに根負けしたところはある。買い物なんてする気分じゃないと思ったけれど、誰かといた方が気が紛れるかもしれない。先送りにしても何も解決しないけれど、今の私には気分転換が必要だ。天使のような明るいパオちゃんの笑顔も。
「もうすぐ終わるだから、マカロン食べて待ってて」
「そこはタピオカちゃうんかい」
「 珍珠《ヂェンヂゥー》はワタクシが作るの方がおいしいやで」
怪しげな関西弁を使い、私たちのテーブルから放れて行く後ろ姿を目で追った。フリルのエプロンを着けた女性店員さんが多い中でも、彼は浮くことなく誰よりも店の雰囲気に馴染んでいた。
初対面だけど、独特の世界観を持つパオワールドにすっかり引き込まれてしまった。よくよく観察してみると、パオちゃんはお客さんからも人気があるようで、何人かの若い女の子たちはパオちゃんを目当てに来ているらしかった。帰り際にツーショット撮影をねだられたりしていて、さながらアイドルのようだった。
「可愛いね、チェンさん」
「パオでいいっすよ。あいつ、家で豚まんばっかり作りよるから包《パオ》って呼んでんねん」
名前にパオなんて入ってなかったのにと思ったら、あだ名の由来も強烈だった。
「そうなんだ。家で肉まん作れるなんてすごいね」
「向こうでは家で作る人多いみたいっすよ」
昔、一度だけ台湾を旅行したことがあるけれど、観光地を回ってホテルに宿泊しただけなので一般家庭がどんなものなのかまでは知らない。旅行で知れることなんてたかが知れているんだなと思った。
「お待たせいたしましたぁ」
きれいな桃色の唇から白い歯を覗かせ、パオちゃんがマカロンとアイスティーを運んできてくれた。
貝殻をイメージしたようなコロンとしたパステルピンクのお皿に小ぶりのマカロンが二つ乗っている。これは可愛い。映える。
マカロンは見た目によらず甘さ控えめで、私好みの味だった。口の中がぎとぎとして胸焼けするような甘ったるさを想像していたので意外だった。お姫様への憧れだけを切り取ったような夢見る甘い空間で、甘さ控えめのマカロンはアンバランスに思えた。
目の前でクリームソーダのクリームを頬張るやんちゃそうな男と同じくらいに。
「できます? これ」
会話も続かず、急に何を言い出すのかと思ったら彼は口をもごもごと動かし始めた。しばらくすると、口を開けて成果を見せてきた。
「すごいね。さくらんぼの茎、舌で結べるんだ。私はできない。っていうか、やったことないな」
「チュー上手いんちゃうんって思ったでしょ?」
「それって都市伝説なんじゃないの?」
「試してみます?」
「ふふ。今まで試した人には上手いって言われたの?」
相変わらず冗談か本気か分からないけど、彼は真顔で力強く親指を立てた。
未だにテンポはよく分からないし、ズレているところも多いけど、小山内くんはなかなか面白い子だと思う。長い時間かけないとそれが分からないのは勿体ない。黙っていたらかなり威圧的で怖い人にしか見えないから。
「お待たせ~。Let's go!」
三十分ほどすると、パオちゃんが仕事を終えて合流した。細身のデニムに淡いピンクのブラウス、私服も可愛い。褒め言葉か分からないので口にはしないけど、華奢な体型が羨ましい。
車を回してくると小山内くんが言うのでお店の前で待っていると、いかにもな黒くて車高の低い車がやって来た。可愛い軽自動車で来たら面白いかもって思ったけれど、車はイメージ通りで何の意外性もなかった。いかつい車に近づき、恐る恐る後部座席に乗るとパオちゃんも後部座席に乗ってきた。
「なんやねん。タク乗りすんなや」
「なんで? イチハが隣に座ってほしいだったか? 大和はスケベの考えしてるからダメね」
「アホか。してるか、んなもん」
「はぁー。男はスケベだなー」
同意を求めるように首を傾げられたので、笑いながらうんと頷いておいた。二人の絶妙なやり取りが面白い。
車が走り出すと、まさにタクシーみたいに後部座席だけでしゃべり始めた。
「ショッピングって何買うの?」
「あー、えっと肉と米買いたいでも、あなたとCosmetics見たい。大和はCosmeticsの仕事してるのくせに、行きたくない言う」
「そうなの?」
「化粧品売り場のネエちゃんかおばちゃんか知らんけど、苦手なんすよ」
確かに、私もぐいぐいくる人は苦手だ。仕事柄、おすすめしなければいけない気持ちも痛いほどよく解かるのだけど。
化粧品会社の営業が二人とも売り場の店員さんが苦手とか言っているのもどうだろうか。普段はそっち側にいるくせに。
「おすすめのSkin-careあるか? 高いは買えないけど」
「あるよ。プチプラの……じゃなくて安くて良いスキンケア」
プチプラって言うと英語っぽいけど、恐らく和製なので通じないだろう。
「プチプラは安いの意味?」
「うん、そう。プチプライスのことだと思う」
「あぁ、Petit priceでプチプラ! いいね」
どうやらパオちゃんはプチプラが気に入ったようだ。
その後も買い物中に気になるものがあると、これはプチプラかと訊いてきた。パオちゃんが話しかけるとお店の人もみんな笑顔になって、この人懐っこさと笑顔は最強の武器だなと思った。パオちゃんの垢を煎じて飲まねばという気持ちになった。
買い物の後、ご飯も一緒に食べたいと子犬の目でせがまれ……断り切れずにご一緒することにした。小山内くんはともかく、パオちゃんとおしゃべりするのは楽しい。
「二人はいつからカップルか?」
焼肉屋さんに行き、食事が和やかに進むとパオちゃんが訊いた。
「違う、違う。カップルじゃないよ。同じ会社で一緒に仕事してるだけ」
「ええ? カップルじゃない? うそー。でも、大和はイチハ好きでしょー?」
にやにやしながら、まるで小学生かのようにパオちゃんは小山内くんの腕をつんつんしながら冷やかした。思わずビールで噎せかけた。
「お前さぁ、ガチでそういうとこやで。空気読めや、マジで」
「なんでや。言わないと分からないやで。なあ?」
「えっ? まあ、そうだね……」
いきなり話しを振られて、苦笑いするしかなかった。思ってもいなかった展開だ。
「イチハは大和キライか?」
そして、パオちゃんは目をむくほど直球でくるのです。
「別に嫌いってわけじゃないけど……」
本人を目の前にして、告白されたわけでもないのに答えに困ってしまうではないか。
「日本人すぐ『好きけどぉ』『嫌いくないけどぉ』言う。それダメ。どっちか分からない。Yes or Noだけよ」
海外の方から見ると、確かに日本人の返事は曖昧なんだろうと思う。含みを持たせて傷つけないようにしているんだろうけど、結果的には一番傷つけてしまうのかも。
「もうええってお前。なんか勝手にフラれたみたいになってるやんけよ」
「まだキライ言われてないな。大和は下手や。女の子は自分だけLoveくれる男が好きですから、毎日好き好き言うです」
不覚にもパオちゃんの言葉が胸に刺さった。自分だけLoveくれる人、か。残念ながら、私は今、私だけを見てくれない人が好きだ。好きだと言うことも、言ってもらうことも控えなければいけない相手。しがらみなく毎日好き好き言えたら、どんなにいいだろう。
「言うですってタラちゃんかよ。毎日はエグいて」
「言わないと他の男Loveになるだからね」
「ふっ……もう遅いわい」
独り言みたな声で小山内くんが鼻で笑うのが聞こえてしまった。
ご機嫌なパオちゃんとは対照的に私と小山内くんは微妙な空気に包まれた。思い起こせば、『俺と付き合います?』と言われたことはあるけれど、気持ちを聞いたことはない。今の流れからするとそういうことなんだろうか。なんて思うのは自惚れかな。
「ワタクシ、Reverseするかも」
酔いが回ったのか、帰りはパオちゃんが後部座席で横になったので、私は仕方なく助手席に座った。食事中の会話も手伝って、頗る気まずい。
「車で吐いたらしばくで。停めるから吐く前に言えよ」
「好《ハオ》」と力なく答え、パオちゃんは目を閉じた。
「面白いね、パオちゃん」
「うるさいっすよ。こんなん毎日おったら」
「楽しくていいじゃない」
パオちゃんがいないと会話も続かなくて、しばらくはエコカーにはないやけに大きなエンジンの音だけが車内に響いていた。密室での沈黙は、慣れない親戚の家みたいに身の置き所がない。
「……今日はなんでパオの店来たんすか? 家から遠いっすよね」
沈黙をむず痒く感じ始めた頃、小山内くんに訊かれた。ぎくって顔に書いてないか心配になる。まさか、碧川さんの奥さんは小山内くんの言った通りの性癖だったよなんて言うわけにはいかない。
「えっと……まあちょっとね」
「デートっすか」
「ううん、違うよ」
「ケンカでもしたんすか? 元気ないみたいやけど」
「そ、そうかな? そんなことないよ。今日はパオちゃんのお陰ですごく楽しかったし」
「パオちゃんね。まあ、そうやな……」
元気がないと言われて動揺したのか、小山内くんのおの字も出さないという失態を犯した。
「ごめん、深い意味はないよ。二人の掛け合いも面白かったし」
「冗談すよ。俺はパオみたいに人を楽しませたりできんから」
「パオちゃんの性格はもはや才能だよね。私もほしいよ、この才能」
噂をすればじゃないけれど、信号待ちで停まると後部座席から声がした。
「今のって台湾語? 吐きそうなのかな」
日本語でも英語でもなかったし、恐らく母国語だろう。振り返ったけど、パオちゃんは目を閉じたままだった。寝顔もきれいだ。
「多分、寝言やと思う。こいつ寝てもうるさいから」
やれやれと言わんばかりに小山内くんも振り返った。むにゃむにゃ言うパオちゃんに、顔を見合わせて笑った。
助手席と運転席の間から後部座席を同時に振り返ったら、思いがけず距離が近くてお互いに一瞬固まった。空気が変わり、体にびりびりとした緊張が走る。
傾けながら彼の顔が近づいてきてキスされると思った瞬間、反射的に俯いてしまった。
「……ほ、ほんとだね。寝言みたい」
白々しく誤魔化した。
碧川さんは正式な彼氏じゃないし、他の男性とキスをしたって問題はないのにできなかった。
思い切って小山内くんの唇を受け入れたら、どうなっていたんだろう。
厄介な恋に見切りをつけることができたのだろうか。彼を好きになれたのだろうか。私には分からない。ただ、黙って目を閉じるという簡単なことさえできないのが答えではないかとも思う。
「哎呀~Ain't it shame, too bad. You gonna miss the girl.You gotta kiss the girl.」
凍り付いた空気を溶かすような明るい声だった。どうやらパオちゃんは寝たふりをしていたらしい。
「やかましいわ。つーか、起きとったんかい」
恥ずかしそうにツッコむ小山内くんに構わず、パオちゃんは【リトルマーメイド】の挿入歌【Kiss The Girl】を歌い始めた。(もちろん英語バージョン。)衝撃的に歌が上手くて聴き入ってしまった。お陰で変な雰囲気にならずに済んだ。
――でも、それは私が英語の意味を知らなかったからだ。家に帰って和訳を検索してみたら、あれはパオちゃんなりの “煽り” だったんだと気がついた。何度か映画を観たことがあるので歌われている場面を考えたら分かることだったけど、最初から最後までキスしなよって発破をかけている曲だ。
ずっと小山内くんが不機嫌だった理由が分かった気がして、自然と口元が綻んだ。
と同時に、キスをしようと近づいてくる彼の表情を思い出して今さら動揺している自分がいた。
以前、聡子が小山内くんのことを若いのに妙に色気があると言っていた理由が分かった気がする。
薄暗い車内、圧倒的雄感を醸して顔を近づけてくる彼は確かに色気があった。
まさか、後輩史上最も手こずった問題児に色気を感じる日がくるなんて……。
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仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
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それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
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無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
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