ボク、女の子に生まれ変わったけど、元気です!

みなはらつかさ

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第五話 九月五日(月) 激戦を終えて

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 ボクはまだ子供なので、五時になったら、お仕事上がり! ここから先になると、本格的に酔っ払ったお客さんなんかが増えて、五時前の忙しさの比じゃなくなるそうで。

 そんな状態を、二人で切り盛りするお父さんとお母さん、すごいなあ。

「ただいまー」

 裏口から、ハーちゃんが帰ってきました。

「おかえり」

 脱衣所に向かい、エプロンほか、今日の洗い物を洗濯機に入れる。

「ハーちゃん、なんか洗うものある?」

「んー。お風呂入る。ちょっと、脱衣所から出てて」

「りょーかーい。なんなら、一緒にお風呂入らない?」

 う~んと伸びをして、提案。

「おねーちゃんと? やだよ、恥ずかしい……」

 あらま。ハーちゃんも、そんなお年頃ですか。じゃあ、別々に入りましょうかね。

 というわけで、洗濯は一旦おあずけ。

 ちょっと汗臭いけど、今日のテレビニュースを視聴。

 ちなみに、このラドネスブルグ……というか、世界的にそうらしいんだけど、ボクの前世時代より、若干文明が古いみたい。

 テレビが板状の横長じゃなくて、箱状の寸詰まりだし、パソコンはとても高価で、それでいて性能がスマホなんかより相当悪いらしくて。

 スマホといえば、携帯電話そのものが、冗談みたいな大きさだったり。

 こっちで電話といえば、基本的にダイヤルの付いた置き電話。それも、受話器が長~いの。そうじゃないと、ボクら会話できないんだもん。

 ボクは生まれた時からこんなだったから慣れてるけど、前世のボクにとっては、すっごいカルチャーショックなのかもね。

 とりあえず、今日のニュースは、ここルンドンベア市を騒がせる謎の不審者。やだなあ。

 ボクが前世と同じく男で、さらに元気だったら、こんなのにも立ち向かえるのかな?

 今となっては、わからないことだけど。

 ハーちゃんも、バーシも、ククたちも、気をつけて欲しいねー。もちろんボクも、気をつけないと。

 それにしても、ニュースって基本明るい話題ないよね。悲しいねえ。

 テレビを見て時間を潰していると、ハーちゃんがお風呂から上がったので、交代。

 やっとこ、ゆったりと入浴。

 ふわあ~……。やっぱり湯船に浸かるのは落ち着くねえ~……。ラドネスブルグは、前世日本と同じく、湯船とシャワーのハイブリッド文化です。

 なんだか、気持ち良過ぎて寝ちゃいそうになるけど、しっかりしないと! 湯船で溺れるニュース、ときどき聞くからね。

 一日の垢をしっかりと流し、さっぱりと湯上がり。洗濯機かけたら、牛乳飲も!

「いいお湯でした~」

 お風呂上がりに、キッチンに直行。牛乳をコップ一杯注ぎ、腰に手を当てて、ごっくん! くはぁ~! 効くぅ~!

 ホワイトボードに、赤ペンで「17:50~洗濯中」と記入する。

「そういえば、おばあちゃんは?」

 今更ながら、おばあちゃんの不在に気づき、リビングで読書中のおじいちゃんに尋ねる。

「ああ、ストルバックさんちに遊びにいってるよ。いつも通りなら、そろそろ帰ってくるんじゃないかな?」

 と、呑気な返事。うちとバーシの家、家族ぐるみのお付き合いだからね。

 そうだ。バーシとちょっと、話でもしようかな。

 電話のダイヤルを、くるくる……くるくる……。呼び出し音。

「はい、ストルバックです」

「あ、その声バーシ? おばあちゃん、そっちに行ってるらしいけど」

「うちのおばあちゃんと、茶話してるよー。それだけ?」

「ううん。なんか、バーシと話がしたくて」

 そんなわけで、女子同士の取止めもない長電話開始。会って話したほうが安いんだろうけど、湯上がりでくつろいでるしねー。

「あ、そうだアユム。オカルト特集見てる?」

「テレビ?」

「そそ。今、ちょうどいいとこ!」

 テレビをつけてチャンネルを回し、電話口に戻る。

「つけたけど」

「西のほうに廃教会があるじゃない? そこ、出る・・んだって!」

 どうしてこう、幽霊だのの話を楽しそうに語れるのか。まあ、それゆえに、ボクの前世を頭から信じてくれた、無二の友でもあるんだけど。

「でさ、今度探検とかしてみない!? いい心霊写真撮れそう!」

 悪趣味だなあ……。

 とはいえ、あんまり付き合いが悪いのもね。

「いいよ。でもさ、せっかくだからククとシャロンも誘わない?」

「大賛成! ナイスアイデア! じゃあ、計画は追って伝えるから!」

 増やそう、被害者の会。二人は、バーシと友達になったのが運の尽きだと思ってね。

 ま、そんな恐ろしい結果にもならないでしょ。

 あとは、バーシと他愛もない雑談。そうしていると、おばあちゃんも帰ってきたので、ちょうどいいからと、話を終えるのでした。
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