ボク、女の子に生まれ変わったけど、元気です!

みなはらつかさ

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第二十話 九月十七日(土) ヤマト街を巡ろう! ―後編―

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 お茶屋さんを立ち、次に通りかかったのは和菓子屋。

「へえ、丸っこくて可愛いっすねえ。なんか、ゲームに出てくるスライムみたいっす」

「それ、水まんじゅうっていうんだよ。……ですよね、先生?」

「え、ええ。ほんとに詳しいのね」

 ボクの前世知識に、舌を巻く彼女。

「これも食ってみてーなー」

「さすがに、お茶以上おごるのは、他の生徒に対して、えこひいきになっちゃうから、自分のお小遣いでお願いね」

「りょーかいっすー。このスライムくん、食べちゃうっすよー」

 というわけで、ククシャロコンビは水まんじゅう。バーシは花形の練りきり、ボクは前世から一度食べてみたかった、栗羊羹を注文。先生は、お土産として何か一箱と、自分用に茶饅頭を買ったようです。

「なんです、それ?」

 箱の中身を尋ねる。

「おせんべいっていってね、ポリポリしてておいしいのよ。……って、トマルナーさんには説明不要かな?」

「あはは。はい。知ってます、それも」

 肩をすくめる先生。

 ともかくも、和風なイートインで、いただきます宣言して、一同ぱくっ!

 うわあ、羊羹ってこんなに甘いんだあ! ほっぺが落ちそう~。

「もっと、お小遣い持ってくれば良かったな~。私もお土産買いたかったわ」

「まあ、また今度ね。お店とお菓子は逃げないから」

 ちょっと残念そうなバーシを、慰める先生。

 サービスで出された緑茶をいただき、ごちそうさま。おいしかった~!

 というわけで和菓子屋を出て、ヤマト街を練り歩くボクたち。

「わ! きれー!」

 バーシが反応したのは、呉服屋さん。

「和服っていってね、洋服とはちょっと違うのよ。さすがの私も、持ってないんだけど」

「そうなんですか……って、たっか! ……あ」

 うっかり大声で叫んでしまい、口に手を当てるバーシ。

「……高いですね」

「そうね。絹で作ってるし、手織りだから」

「はー……。でも、ほんときれいですねえ」

 金地に牡丹をあしらった柄に、見惚れる幼馴染み。

「うちでも売れないかなあ、これ」

「どうかしらね? 私は商売のことは、よくわからないから」

 ククやシャロンも、興味深そうに他の着物を眺めている。

 ボクはというと、今ひとつ。やっぱり、女性ものって、いまいち興味湧かないんだよね。だからって、紋付き袴なんてもっと興味ないけど。和服にも、ユニセクシャルがあればいいのに。

「他に、回りたいところはあるかしら?」

「あ! お豆腐と、お醤油が欲しいです!」

 もともと、それのために来たようなものだ。

「じゃあ、お豆腐屋さんと調味料のお店に行きましょうね」

 というわけで、先生の案内で、夢にまで見たお豆腐屋さんへ!

「こんにちはー」

「お、ネコザキ先生。生徒さん?」

「はい。教え子たちです。で、ですね。こちらのトマルナーさんが、お豆腐とお醤油に興味津々で」

「へえ! ルンドンべアっ子にも豆腐好きがいるたあ、嬉しいね。一個サービスしちゃうよ!」

 お水に浸ったお豆腐を、三ついただきました。二つ買うつもりだったのに、得しちゃった。

「これ、こぼさないように気をつけないとですね」

「豆腐には旅をさせるなっていってね。鮮度が勝負だから、早めに食べてくんな!」

「はい!」

 というわけで、次は調味料のお店。

「あら、いらっしゃい。生徒さん?」

 さっきもやったやりとりで、お醤油一升と、せっかくだから、味噌も買っていく。お父さんから、少し多めにお金もらっておいてよかったな。さすがに、昆布まで手が届かないけど。

「あとは、もうないかしら?」

「ボクも、和食のレシピ詳しいわけじゃないので、このぐらいにしておきます」

「じゃあ、戻りましょうか。トマルナーさん、お醤油とお味噌、重いでしょうから、そのまま送っていきましょうか?」

「いえ、鍛えてるので、このぐらいなら」

「そう? まあ、無理しないでね」

 というわけで、駐車場へ。ヤマト文化トークに花咲かせながら、学校に到着~。

「じゃあみんな、気をつけてね」

 「はーい」とお辞儀し、おなじみの公園に向かい、さらに二手に分かれるのでした。

「アユム、それほんとに重くない? どれか持とうか?」

「へーきへーき……って言いたいけど、お豆腐お願いできる? ちょっと、こぼしちゃいそうで」

「りょーかーい!」

 バーシと仲良く、帰途につくのでした。
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