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エピローグ
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「事件は解決したけど……。この海が、私たちが受けた被害の爪痕は深いね……」
翌夜。漁師の娘が、ギルドハウスでディナーをビアンカといただいているが、食が進まないといった様子。
あのペンダントを買った友人も、同席しているが、やはり同様。
ビアンカは、バンビーナたちも侍らせているが、彼女らが悲しいと、ビアンカも悲しい。
「悲しい顔をしないでおくれよ……と言っても、どうしようもないだろうね。そこで、だ。オクト」
「ほいよ」
オクトが別のテーブルに、ドチャッと、大量の金属音がする袋を、次々に置いていく。
「あの、これは……?」
地元民ガールズと受付嬢が、そのテーブルに近寄る。
「開けてご覧」
ビアンカもやってきてそう言うと、中には大量の金貨が!
驚いて、息を呑む、地元民五人。
「僕らの、私財の一部だ。この国に貸すよ。陛下を呼んでくれないかい? 契約を交わしたい」
言いながら、手紙をしたためるビアンカ。
「は……はいっ!」
バンビーナの片割れが、書簡を手にして、外にすっ飛んでいく。
◆ ◆ ◆
ビアンカからの書簡を渡すと、さっそく国王がやってきた。
「このたびは、私の監視不行き届きにより……」
一国の王も、プラチナ冒険者には、平身低頭だ。
「前置きはいいよ。契約を結ぼう。たしか、パールが採れるようになるまで、五年だったね? なら、六年後に、返済してもらいに、また来るよ」
「ありがとうございます。しかし、これだけ莫大な額となると、利息ぶんまでお返ししきれるかどうか……」
王の顔は、険しい。
「利息か。ねえ、オクト、サフィー。最上のパールを、三つだけいただくというのはどうだろうね?」
「異議なーし」
サフィー挙手。
「ぼくも」
オクトも続く。
「というわけで、いかがだろう、陛下」
「あの……むしろ逆に、それだけでいいのですか?」
国王の戸惑いに、頷く三姉妹。
「ありがたく存じます!」
深々と、頭を垂れる王。
「過ちを繰り返さず、善政を敷いてくれたまえよ、陛下。では、これにて一件落着! せっかく平和な海が戻ったんだ。ディナーを再開して、あとはしばらくバカンスを楽しもうじゃないか」
ビアンカが、パン、と手を打つ。
ギルド長が証人となり、契約を締結すると、王は城に戻り、今度こそ明るい空気で、食事を楽しむのであった。
なお、このあとビアンカが、五人戦を愉しんだのは、言うまでもない。
◆ ◆ ◆
南国ライフを満喫する三姉妹。
ビアンカは恋人たちを侍らせ、優雅にビーチで、ココナツジュース片手に、日光浴。
サフィーは、食べ歩きして、帰ってきた海の幸たちを満喫。
オクトは、相変わらず、商売に余念がない。
一週間ほど、そうして過ごしていたが。
「行っちゃうんですかぁ……?」
恋人ズが、涙目でビアンカを見上げる。
「ああ、どうか泣かないでおくれよ。僕らは、所詮渡り鳥。どこかで誰かが、きっと困っている。ならば、行かないわけにはいかないんだ」
一人ひとり、キスで涙を拭う。
「六年後に、また絶対来るからさ。元気になった海で育った海の幸の味、楽しみにしてるよ!」
サフィーが手を差し伸べると、次々に、力強く握手していく。
「次は、ここのパールを、よそで売ってみたいね。期待してるよ」
オクトも、握手する。
「それじゃあ、みんな。アッリーヴェデルチ!」
いつまでも手を振る見送りを受けながら、挙手で応える三姉妹。
彼女たちの、あてのない旅は続く。
翌夜。漁師の娘が、ギルドハウスでディナーをビアンカといただいているが、食が進まないといった様子。
あのペンダントを買った友人も、同席しているが、やはり同様。
ビアンカは、バンビーナたちも侍らせているが、彼女らが悲しいと、ビアンカも悲しい。
「悲しい顔をしないでおくれよ……と言っても、どうしようもないだろうね。そこで、だ。オクト」
「ほいよ」
オクトが別のテーブルに、ドチャッと、大量の金属音がする袋を、次々に置いていく。
「あの、これは……?」
地元民ガールズと受付嬢が、そのテーブルに近寄る。
「開けてご覧」
ビアンカもやってきてそう言うと、中には大量の金貨が!
驚いて、息を呑む、地元民五人。
「僕らの、私財の一部だ。この国に貸すよ。陛下を呼んでくれないかい? 契約を交わしたい」
言いながら、手紙をしたためるビアンカ。
「は……はいっ!」
バンビーナの片割れが、書簡を手にして、外にすっ飛んでいく。
◆ ◆ ◆
ビアンカからの書簡を渡すと、さっそく国王がやってきた。
「このたびは、私の監視不行き届きにより……」
一国の王も、プラチナ冒険者には、平身低頭だ。
「前置きはいいよ。契約を結ぼう。たしか、パールが採れるようになるまで、五年だったね? なら、六年後に、返済してもらいに、また来るよ」
「ありがとうございます。しかし、これだけ莫大な額となると、利息ぶんまでお返ししきれるかどうか……」
王の顔は、険しい。
「利息か。ねえ、オクト、サフィー。最上のパールを、三つだけいただくというのはどうだろうね?」
「異議なーし」
サフィー挙手。
「ぼくも」
オクトも続く。
「というわけで、いかがだろう、陛下」
「あの……むしろ逆に、それだけでいいのですか?」
国王の戸惑いに、頷く三姉妹。
「ありがたく存じます!」
深々と、頭を垂れる王。
「過ちを繰り返さず、善政を敷いてくれたまえよ、陛下。では、これにて一件落着! せっかく平和な海が戻ったんだ。ディナーを再開して、あとはしばらくバカンスを楽しもうじゃないか」
ビアンカが、パン、と手を打つ。
ギルド長が証人となり、契約を締結すると、王は城に戻り、今度こそ明るい空気で、食事を楽しむのであった。
なお、このあとビアンカが、五人戦を愉しんだのは、言うまでもない。
◆ ◆ ◆
南国ライフを満喫する三姉妹。
ビアンカは恋人たちを侍らせ、優雅にビーチで、ココナツジュース片手に、日光浴。
サフィーは、食べ歩きして、帰ってきた海の幸たちを満喫。
オクトは、相変わらず、商売に余念がない。
一週間ほど、そうして過ごしていたが。
「行っちゃうんですかぁ……?」
恋人ズが、涙目でビアンカを見上げる。
「ああ、どうか泣かないでおくれよ。僕らは、所詮渡り鳥。どこかで誰かが、きっと困っている。ならば、行かないわけにはいかないんだ」
一人ひとり、キスで涙を拭う。
「六年後に、また絶対来るからさ。元気になった海で育った海の幸の味、楽しみにしてるよ!」
サフィーが手を差し伸べると、次々に、力強く握手していく。
「次は、ここのパールを、よそで売ってみたいね。期待してるよ」
オクトも、握手する。
「それじゃあ、みんな。アッリーヴェデルチ!」
いつまでも手を振る見送りを受けながら、挙手で応える三姉妹。
彼女たちの、あてのない旅は続く。
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