カンブリアン・アクアリウム

みなはらつかさ

文字の大きさ
12 / 34

第十二話 なにをしよう?

しおりを挟む
(う~ん……)

 まりんは、大きなアノマロカリスのぬいぐるみを抱え、自室のベッドであぐらをかいて、ゆらゆらしていた。

(三連休の、貴重なラストデイ。なにをしようか)

 お昼近くになっても、まだ予定が立たないでいた。

 対面では、あくあがアイマスクをして、気持ちよさそうに寝ている。

 朝食を食べた後、速攻二度寝してしまったのだ。

 自堕落だなあ、などと思うまりん。

 まあ、貴重な休日、どう使おうが、あくあの自由なのだが。

 そのとき、不意にアラームが鳴る。あくあのデバイスだ。

「ふぁ~……よく寝た~。おはよー、まりん」

 おはようという時刻ではないが。

「さーて、お昼御飯だー。食べに行こ!」

 やはり、自堕落だなあ。と思う、まりんであった。


 ◆ ◆ ◆


 いつもの五人が、食卓を囲む。波部も、最近は企画課仲間より、こっちに混ざって食事を摂ることが多くなっていた。今日のメニューは、カレイの煮付け。

「困りました。せっかくの休日最後なのに、この時間まで、やりたいことが思いつかなくて」

 悩みを打ち明ける、まりん。

「えー。アタシら、一昨日は飲み会、昨日は服買って、精神的には休めても、肉体的にはいまいち休めてないじゃん。だらだらしようよ~」

 うーんと、伸びをするあくあ。

「一理あるけど……」

 まりんの性分には、合わない。

「先輩方の、今日のご予定は?」

「実は、あたしも考えあぐねてる。ツーリングに出ようか迷っているうちに、こんな時間になってしまった」

 今日一日、雨が降るかも知れないし、降らないかもしれないという、微妙な予報が出ている。

 らいあの姿は、例のお嬢様ワンピース。いたく気に入ったようだ。

「わたしは、あみぐるみ作り」

 奈良先輩らしい趣味だなーと思う、まりん。

「私は、お勉強かな。そろそろ、企画当てたいし」

 真面目さんだ。

「うーん……。織田先輩、また調理器具借りていいですか?」

「かまわないが、調理中に降られたら、困るんじゃないか?」

「あー……」

 内心、頭を抱えるまりん。不安定な天気が恨めしい。いっそ、ザーッときてくれれば、諦めもつくのに。

 方針が決まってないのは、自分と織田先輩だけかと、難儀な表情でカレイをつつく。

 あくあのように、自堕落に過ごすのは自分のスタイルでないが、波部先輩のように、休日に勉強に打ち込むのも、またスタイルではなかった。

「織田先輩、暇を持て余してる者同士、なんかしませんか?」

「なんかというと?」

「それは、これから考えましょう」

 織田先輩の趣味というと、なんだろうか。知ってる限りでは、キャンプ、バイク、あとは奈良先輩から伝え聞いた、ミニサボテンの飼育だが。

 一方自分は、料理と菓子作り。どうにも、噛み合ってない。

「織田先輩、室内でできそうなご趣味、ありませんか? サボテン以外で」

「ふむ。レトロゲームを、たまにたしなむな」

「いいですね! やりましょう!」

 食べるスピードを、アップするまりん。

「ほう、君も好きか」

「いえ、ゲームはほとんどやらないんですけど、いい選択肢だな、と思いまして」

「なるほど。では、あたしもカレイを片付けるとしよう」

 らいあも、食事をスピードアップするのであった。


 ◆ ◆ ◆


 食後、ロビーでデバイスを立ち上げる二人。

 我々の時代のゲームは、皆著作権が切れており、膨大な数の作品が、無料公開されている。

「これをやろう」

 らいあが選んだのは、「PON」。

「えらく、シンプルそうですね」

「なんでも、世界最古のコンピューターゲームらしい。二人でないとプレイできないので、ちょうどよかった」

 ボールをサーブするらいあ。

「その、棒状のラケットを、デバイスのつまみで動かして、跳ね返すんだ。穴に入れられると、ゴールだぞ」

「ほっ」

 言われたとおりに、レシーブするまりん。

 ラリーは続き、いい勝負。シンプル極まりないゲームだけに、初プレイの彼女も、いい勝負ができている。

「あー!」

 まりん、ゴールを許してしまった。

「今度は、こっちのサーブか。いきますよー!」

 二人は、ちょうどいい暇つぶしに、熱中する。

 外では、雨がしとしとと降り始めていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

リボーン&リライフ

廣瀬純七
SF
性別を変えて過去に戻って人生をやり直す男の話

処理中です...