カンブリアン・アクアリウム

みなはらつかさ

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第二十七話 土産話

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「それじゃあ、行ってきます!」

 家族のデバイスに、挨拶を送信するまりん。

 晩御飯も、レンチンして食べられるようにしておいた。

 寮のみんなへの、お土産の手作りクッキーも持った。

 あとは、寮に帰るだけだ。

 あっという間の二週間だったなあと、感慨にふける。

 しっかり戸締まりを確認すると、府中駅に向かうのであった。


 ◆ ◆ ◆


「ただいま戻りましたー」

「おー、おかえり」

 寮長さんに、ご挨拶される。

「実家は、くつろげたかい?」

「はい! 家族と触れ合って、料理とお菓子も作りまくりで、完全リフレッシュですよ!」

 靴を脱いで、下足入れにしまう。

 そして、食堂へ。

「みなさーん、クッキー焼いてきましたー。お一つずつどうぞー」

 後半組と、すでに帰ってきている前半組に、クッキーを配る。

「残りのクッキー、どこ置きましょう?」

 寮長に相談する。

「んー? 冷蔵庫入れとき。料理長には、あたしから言っとく」

 共用伝言板に、「冷蔵庫にクッキーあります。一人一つどうぞ」と書き残し、ロビーに戻る彼女。

 部屋でシムズの続きをやっていると、あくあが帰ってきたようだ。

「おかえりー!」

「ただいまー! イタリア、楽しかったー!」

 うーんと、伸びをするあくあ。

「あ、冷蔵庫に私が焼いたクッキーあるよ。お一つどうぞ」

「お。いただきまーす」

 冷蔵庫に向かう彼女。

 しばらく二人で談笑していると、奏も帰ってきた。

 彼女にもクッキーを勧め、三人で談笑する。

 さらに、里愛、らいあと帰ってきて、それぞれにクッキーを勧め、談笑の輪が広がる。

 らいあはらいあで、サボテンの面倒を見てくれた同僚に、感謝のお土産を渡す。

「じゃー、五人そろったところで……。アタシ、イタリア行ってきましたー!」

 先輩トリオから、「おおー」と声が上がる。

「ピサの斜塔って、もう危険で登れないんですね。ギリギリの傾きっぷりを、見て楽しむ場所になってました」

 写真をデバイスで見せると、確かに倒れる寸前としか思えない塔が映っている。

「で、これがコロッセオでしょ。真実の口、トレビの泉、パンテオン……」

 次々に、写真をスライドさせていく、あくあ。

「で、ですねえ! サッカースタジアム行脚したんですけど、どの試合も、ほんと良くて!」

 うっとりする彼女。あくあは、Jリーグ、ヨーロッパ、南米すべて好む、雑食サッカーファンである。

「料理も、すごく美味しかったですよ~。アタシからは、こんなところです」

「じゃあ、次はあたしだな。フェリーで北海道まで渡り、愛車で北海道巡りをしていた」

 北海道には梅雨がない。自前のバイクで走るなら、うってつけだろう。

 北海道の写真を見せるらいあ。釧路や摩周湖、屈斜路湖、阿寒湖など、道東の写真が多い。あと、ウニ丼。

「さすがに、西側までは回りきれなかった。函館まで、行きたかったんだがな」

 残念さを隠さず、がっくり肩を落とす。

「フェリーを使うと、どうしても道東スタートになってしまう。今度は、青函トンネルから行こうか。ただ、雨がな……」

 見せるべきものを見せ終わると、デバイスを閉じる彼女。

「次、わたし~。モルディブ行ってました~。見てー、水中写真~」

 種々様々な、南海写真を見せる奏。鮮やかな熱帯魚や珊瑚が、群れをなしている。

「おー、マンタ!」

 マンタの威容に、感嘆の声を上げるあくあ。

「海上の写真もあるけど、少なめかな。わたしは、こんなところで」

「私は、ペルー行ってました。マチュピチュ見てきましたよ、マチュピチュ! あと、地上絵も見ましたし、クスコもきれいでした! 食べ物も、意外と美味しかったですね~」

 里愛も、写真を見せる。いずれも、絶景だ。

「雁州さんは?」

 まりんに尋ねる、奏。

「いや~……ずーっと家で、料理とお菓子作ってました。二ヶ月ぶりに使える、まともなキッチンが、嬉しすぎて、嬉しすぎて……」

 一人だけ旅行していないのが恥ずかしいのか、人差し指をちょんちょんとつつき合わせながら、うつむく。

「雁州さんらしくて、いいと思うよ!」

「うんうん!」

 そんなまりんを、「らしい」と持ち上げる一同。

「えへへ……。そうですか?」

「うん! やっぱまりんは、料理してるときが一番輝いてる!」

 あくあのダメ押しに、「照れるな~」と、デレデレモードになるまりん。

 かくして、土産話大会は、いい感じで終わったのであった。
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