5年A組の三学期。

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12 反撃

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体育館に着くと、私たちは散り散りに四ヶ所の場所に隠れた。
ステージの左側の部屋、右側の部屋、体育館倉庫、何もない部屋だ。
私はステージの左側にある部屋に入り込む。
その部屋には私以外にも何人かいた。
ドアをそっと閉める。私は外の声を聞くため、少しだけドアを開けた。
「静かにして。バレちゃう」
小声でしょうまが注意する。
私も人差し指を立てて口元に当てて、静かにするように言った。
私たちは暫く中で待機した。
息を潜める中、その時は来た。
体育館に靴音が響く。そして前田先生(二年の担任)の「並んでー!」という声が聞こえた。
「来た……!」
私は小声で呟く。私たちは息を殺した。
外から聞こえる声に耳を傾ける。
「今日は何をしに来たんですかー?」
「豆まきー!!」「五年生倒しに来たー!」
そして―
「五年生倒すぞー!!おー!!」
「おー!!!!!」

合図の声が響くと同時に、私たちは部屋から飛び出した。

私たちは並ぶ二年生に新聞を投げつける。
それに気づいた二年生は一斉に逃げ出した。
5Aの力をなめてもらっては困る。
五年生を倒すなんて不可能だ。なぜなら、彼らは力に満ちているから―。
私たちは攻撃を避けながら二年に新聞を放る。
暫くしてから入り口の方を見ると、校長先生やその他の先生も乱入していた。
咲希先生の方向に視線を向ける。
咲希先生の周囲にはすばる、りおらが集まっていて、大量に新聞を投げつけていた。
うっすら咲希先生の「宿題倍にするぞ!」という叫びが聞こえてきた。
前田先生の方ではしゅうや他の二年が戦っていて、悲惨な状況になっていた。
やっぱり先生は狙われるもんだ。
時計に目をずらすと、20分が経っていた。
「……そろそろ本気出すか」
私は呟くと落ちている新聞を拾い、その辺の奴らに投げた。
「助けてー!!!!」
げんきの叫ぶ声が聞こえたので見てみると、三人の二年に追われていた。
その瞬間、「二年生帰るよー!!」という前田先生の声がした。
悔いはない。十分に五年生の恐ろしさを見せつけれたと思う。
私たちは落ちている新聞を拾い、咲希先生の持つ袋に入れた。

一度中止になりかけたけど、無事にできてよかった。
心の中で私はそう思ったのだった。
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