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第3節 女子高生(おっさん)の日常といともたやすく行われるアオハル
64.女子高生(おっさん)のデート⑤『鳳凰の過去』※語り 鳳凰天馬
しおりを挟む〈大型ショッピングモール 通路〉
「初めてキミを見た時、俺は衝撃を受けた。キミの美幌という点にも勿論だが……通学路でキミが友人達と登校していた時だ」
鳳凰の長い話はいよいよ最終局面に突入したようで、この学校での話になった。
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※
登校していたキミを見て、初めは息を呑むほどの美幌に驚いたが……すぐに俺は自分を諌(いさ)めた。
あれほどの美幌をもっていても──いや、だからこそ男の前では猫を被るだろうに違いない、と。
しかし、キミは違った。
俺は学校への道を尋ねるためにキミ達に声をかけたんだ。キミの友人達が髪を整えたり、表情を創る仕草をする中……キミはしかめっ面でスカートの中に手を突っ込んでいた。
「失礼、『君不問(きみとわず)高校』への道を尋ねたいのだが……」
「え? すぐそこですよ。それじゃ……あー、ケツかゆい……」
「アシュナっ! 人前で直にお尻かいたらダメだよ見えちゃうよっ!?」
尻が痒(かゆ)くてしょうがなかったのか、キミは俺に一瞥(いちべつ)もくれず、尻をかきながら去っていったんだ。
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「俺はその日からキミの事が頭から離れなくなっていた。青天の霹靂だ──探し求めていた理想の女性かもしれない、と」
いや、なんでだよ。
自分で言うのもあれだけど……それ、ただの恥知らずで無愛想な女子高生だよ?
転校してくる前に既に出会ってたのを全然覚えてなかったのはケツが痒くてしょうがなかったからだろう。
「皇めらぎとの縁談はすぐに断り、隠れてずっとキミの事を見ていた。そして見る度に、それは確信へと変わっていった──2ヶ月前くらいだろうか……俺は許可を得てキミのクラスの授業風景をドアの外から見ていた。キミは突然、挙手をして教師に告げたんだ。『すみませんっ! 小便が限界ですっ! 漏れますっ!』と。そして皆が顔を紅くしている中、トイレを済ませたキミは周囲を気にせず『はー、いっぱいでましたぁ』と告げて満足そうな顔をして何事もなかったかのように着席した」
うん、覚えてないけどそんな事もあったようななかったような。
「他にも、友人とクロスワードをやっていたキミは『チ』で始まり『コ』で終わる三文字の言葉という穴埋めに大声で『チ○コだよねこれ、間違いなくチ○コだけどどう思う? 食べるもの? 時折食べることもあるから間違いなくチ○コだよ。どう思う? ねぇねぇ』と、男性器の名称を連呼していた。男子が周囲にいるにも関わらずだ」
うん、たぶんそれはヒナヒナ達にプチセクハラをしていた時だと思うけど……改めて人から聞かされるとひどい女子高生だ。
というか、ショッピングモールでそんな暴露大会は勘弁してほしかった。現に、隣に座っている中年達が頬を染めながらチラチラ俺を見ている。
〈次回 デート完結〉
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