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第4節 巻き起こる様々な試練と それをいともたやすく乗り越える女子高生(おっさん)の日常

126.女子高生(おっさん)の修学旅行~③日目『ルーツ2』

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 声をかけられ、コクウさんは驚愕の表情でその主の方に素早く向き直した。

「……何者だ?」

 焦りを悟られてはいけないという表れなのか、表情を諌め、まるで動じていないと主張するかのように……コクウさんが平静に動く影に尋ねた。
 しかし、(恐らく)百戦錬磨のコクウさんが気配を察知できていなかったのは明らかで、それも踏まえて……このような場所にいるこの謎の幼女が、なにか幻想世界の住人なのではないかと……おっさんだけがそう感じるのは無理からぬ事だった。

「怖い顔をするでない、男前が一層引き立って興奮するではないか……わしの名は【糸練(しねり)キヨ】。怪しい者じゃあらせんわい」

 幼稚園年少の姿形でありながら、だいぶ古風な名前がおっさんの『ある予感』を更に波立たせる。
 いや、今となっては子供に敢えて古風な名前をつけるのは珍しくもないんだけど……『流暢に喋る幼女(のじゃロリ)』『おっさんの事を知っているような振る舞い』──そして、【娚人(にゃんちゅ)】という伝承の地。
 これらを総合して推察するに、『あの幼女は普通の人間ではない』という答えを導き出せたのはごく自然の事だった。

「『何者か?』と。答えてやっても良いが……二人きりの方が都合が善いのではないか? のぅ、アシュナよ」
「……………………うん、ごめんコクウさん。二人で話してもいいかな?」
「お嬢、それはできません。あの子供はなにか得体が知れません、このような暗がりでは………っ」
「お願い」

 初めて真剣に目を合わせて……俺はコクウさんにお願いする。何故か頬を赤くして戸惑った様子だったが……事情があると理解したのか感情を飲み込んだ様子で納得してくれた。

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〈AM1:00 【転生九萬宮 跡地】〉

「──さて、話すと言うても何から話せば良いのやら……もう、わしが何者かは察しがついておるのじゃろう?」

【のじゃロリ】改め【キヨちゃん】に案内され、俺達は海岸脇にあった洞窟へと足を踏み入れる。更に深い闇に呑み込まれるかと躊躇したが……不思議な事に灯りが無いにも関わらず、鍾乳洞のような洞窟は外より明るかった。

「……もしかして……神様ですか?」
「かかか、別世界の未来から来たお主からすればそう思いたくなるのも無理はないじゃろうな。なにせタイムリープなんて超常的な現象すら、人々が『あるかもしれない』と本気で信じておる世界──まぁその答えは当たらずとも遠からずとだけ言っておくとしようかの」

 やはり、キヨちゃんはライトノベル系転生話についてまわる──【ボーナスの神様】なんだ……と、疑念は確信へと変わった。
 タイムリープしてから半年以上経過してのまさかの邂逅には(今更?)感を隠せない。何故にこのタイミングで導かれるように、そして、企てるようにして接触を図ったのか……それはキヨちゃんの口から告げられた。

「──経過観察じゃよ。お主が今生を楽しんでおるかの確認じゃ……ついでにもう一つ言わねばならんことがある。お主がアシュナでいられる時間は限られとる。タイムリミットは【高校卒業】するまでじゃ」
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