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第5節 女子高生(おっさん)の日常と、いとも愛しい夏休み
162.女子高生(おっさん)と皇めらぎと百合の時間
しおりを挟む〈皇家〉
「──ようこそおいで下さいましたわアシュナ。さぁ、どうぞお入りになって」
初めて招かれためらぎのお家──てっきりお嬢様言葉だからお城みたいのを想像してたけど……存外、普通の邸宅だった。いや、一般市民からしてみればお金持ちの家には違いないんだけどね。
中に入り、開いてるドアからリビングを覗いてみてもごく普通の内装だし至って健全だ。メイドさんがお出迎えしてくれて金箔の料理が運ばれてきてペペロンチーノ男爵みたいな親父さんがフランス語で挨拶してくるかもと身構えていた俺は異世界ものと悪役令嬢ものの読みすぎかもしれない。
「私(わたくし)の部屋はこちらですわ……さぁ、お入りになって……?」
まるで、これから一線を、一戦を越えるような覚悟を持った切なげな表情をしてめらぎはドアノブを捻(ひね)る。歴戦の経験値を得たおっさんもこれには心臓の高鳴りを抑えられない。
拝啓、父さん母さん──今日、俺は彼女の初めてを失わせ、私(アシュナ)の初めてもまた、失うかもしれません。
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〈めらぎの部屋〉
──かと思ったら、全く別のギャグオチに迸(はし)るフラグかと思いましたか? 残念、本当にそのままえっちな展開でした。
「アシュナ……はぁ……はぁ………」
ピンク色の舌を絡ませあい、まるで融合するように密着する俺とめらぎ。これまでもキス友の名を欲しいまま、会う度に陰で熱い口づけを交わしていたが……今日のはダンチで激しい。
「アシュナ……お願いが……お願いがありますの……」
憂いを含んだような表情をして、懇願するように、吐息と同時に思わず漏れたかのようにか細い声で彼女はそう言った。あまりにも愛しさを感じるので内容を聞く前に了承しそうになる──めらぎはおっさんの首に手を回したまま、後ろに……ベッドへ倒れ込んだ。
「本当の……本当に貴女の中にある欲望を……欲望のままに晒け出してくださいませ………上品にしなくて良いですから……貴女のしたいこと、どんな要望でもわたくしは受け止めますわ……」
「めらぎ……」
「……以前、あなたの中に何かを感じると言いましたよね?ずっと一緒に過ごしているうちに……それをより確かに感じるようになりました。事情は何も聞きません……ただ、わたくしが感じたあるがままの貴方をぶつけて下さい……」
めらぎの、まるで美少女の中におっさんがいると真実を見透かすような──そんな言い方に思わず本当の事を口にしてしまいそうになる。しかし、再びの口づけにより塞がれる。
つまりはおっさんの、おっさんによる、おっさんのための性癖をそのまま剥き出しにしていい──と、本来の自分を放出していい、と彼女はそう言っているのだ。
我慢できるはずかなく、もう、そんな必要もなかった。
拝啓、父さん母さん……夏休みの記録(おもいで)、18禁につき丸々一話分カットされてしまうかもしれません。
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