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第5節 女子高生(おっさん)の日常と、いとも愛しい夏休み

170.女子高生(おっさん)とギャルと委員長と地下ドルと養護教諭とネズミの国

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〈東京ディィゥ●ゥィィヌィーランド〉

「ついたーっ! 遊ぶぞーっ!!」

 炎天下──夏休み──密集地……そんな条件下でこれほどまでにおっさんを惹きつけない観光地はこの場所をおいて他にないだろう。
 著作権の鬼──〈東京デェェィィゥ●ゥィィヌィーランド〉。
 大人の問題により二重にも改変を重ねているが、まぁ皆大好きネズミの楽園と想像してくれれば問題ない──問題なのは、猛暑日にここを遊ぶ場所と捉えている愚か者達と……何故におっさんがここに降り立ったのかという疑問である。

「はわぁ……やっぱU●Jとはちゃうな~……なんや開放的ゆうか……あっ、あれがシン●レラ城!? プゥィーさんのぬいぐるみやぁ! あっ、あっちにドナ●ドも」
「キラカ、あんまり固有名を連呼しないで……色々問題があって大変だから……」

 解答は単純明快──『わからない』だ。

 まず状況説明をすると、連れ添っているのはギャルの【ミクミク】と委員長の【鏑木煌花】、他校の【吉良綺羅星】ちゃん──そして引率兼、迎えに来てくれてここまで送ってくれた運転手(アッシー)の【桃色桜花】先生……そしておっさんの計5名。
 この関係の薄そうな4名を、何故におっさんが仲を取り保つかのように引き連れ……更には行きたくない場所ランキング上位である『T●L』に炎天下の中、舞い降りたのか……自分自身も全く理解できていないのだ。

「ほらぁ、みんなはしゃぐのはいいけど……ちゃんと水分補給は定期的にするのよ?」
「はーい、師匠どうかしました? なんか難しそうな顔してますけど……」
「うん、ちょっと色々と謎で……あ、ちなみに……よく『千葉は東京の名前借りすぎ』って言われてるけど千葉に住んでる人が率先して頼んでるわけじゃないからそんな事言われても……って感じだよね。私達的には別に『千葉デェェィゥ●ゥゥヌィーランド』でも一向に構わないんだけどそう思わない?」
「突然変な事言って熱中症ですか師匠!? 大丈夫ですか!?」

 混乱のあまり、思わず千葉に対するヘイトに反論してしまったけど……それよりも問題は──今日ここに至ることになった原因の究明である。

「やばーブチ上げー! めっちゃ可愛い服あるし土産売場だけで1日ヨユーで過ごせんだけど!」
「ミクちゃん来たときないの? 意外なんだけど」
「実は初ディィゥゥ●ィィゥヌィーなんだよねー、吉良パイセンも?」
「あたしも仕事忙しかったし……あんまし興味無かったんだけど……師匠からの誘いだから是非行かねばってことで」
「ウチと一緒やね、今日は誘ってくれとおおきにアシュナ」
「ええ、アシュナちゃん。今日は宜しくね」

 ちょっと待って、おっさんから誘った事になってるんだけど一つも身に覚えが無いんだけど。
 もしかして遂に呆(ぼ)けが始まった? 中年の自覚はあるけどまさか精神年齢はもう既に初老の域?

「それにしてもアシュナっち、誘いの電話んとき様子おかしかったけど……体調ダイジョブ?」
「え、うん……大丈夫だけど……変だった?」
「せやで、めっちゃ小さい声でおどおど話すし……具合でも悪いんかなって心配してたんや」
「……おどおど?」
「ええ、無理しないでちゃんと言うのよ?医薬品ならいっぱい持ってきてるからね?」
「師匠~、まずなに乗りますっ? オススメ教えてくださいよ~」

 なるほど、全て理解した。
 まるで幽霊や悪魔の類が乗り映り、知らない内におっさんの身体で好き放題やっていたかのようなこの現状──犯人は俺の中にいる。

──『………ごめんなさい……一度、来てみたかったんです~……』

 事の発端は──この前の『肝だめし幽霊騒動』。
 怖がらせてしまったお詫びとして翌日、家族と過ごす一日だったために【阿修凪】ちゃんに身体の制御権を譲ったのだ。
 意外にも簡単に、おっさんの意思一つで入れ替わりできたのは良かったのだが……久々にシャバに出た阿修凪ちゃんにはプライベートな時間が必要だろう──とおっさんは阿修凪ちゃんのナカで18時間ほど眠っていたのだった。

──『寝すぎですし、わ……私のナカって卑猥な言い方もだめですしっ』
(ん? 中の何が卑猥なのか詳しくおじさんに教えてほしいんだけど?)
──『ぅぅ……おじさんの意地悪……』
(阿修凪ちゃんがミク達を誘ってたんだ……言ってくれれば今日も交代したのに、ていうか今からでも代わって。おっさんに真夏のT●Lはきつすぎるから)
──『……えーと、私、満足したので、おじさん、楽しんでください』
(まだお土産コーナーだけど!? なにその歯切れの悪い答え方!? もしかして来たはいいけど陽キャ御用達のT●Lに恐れを為したとかじゃないよね!?)
──『………あ、ちなみに、皆さん全員が初ディィゥゥ●ィィゥヌィーだそうなんで……おじさん、宜しくお願いします』

 質問には答えず、投げっぱなしの阿修凪ちゃんにお仕置きと言わんばかりに強制交代しようとしたら──できなかった。どうやら彼女が心から拒絶してる場合はできないらしい。どんだけT●L怖がってんの!?

 と、いうわけで──ミクミク達に腕にしがみつかれて逃げ場のないおっさんも初ディィゥゥ●ィゥヌィーと洒落込むのだった。


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