おっさんの俺が美少女になって高校生からやり直したら人生クッソチョロかった件

第５節 女子高生(おっさん)の日常と、いとも愛しい夏休み

171.女子高生(おっさん)とギャルと委員長と地下ドルと養護教諭とネズミの国②

〈東京ディィゥゥ●ィゥゥヌィーリゾート〉

──阿修凪ちゃん。
──『………………』
──無視するなら、ありったけのおち●ちんをかき集めて脳内を埋め尽くすけど。
──『ごめんなさいっ…………怒ってます……？』
──まぁ、過ぎた事はもういいよ。それより……なんか余計なことはみんなに言ってないよね？ 
──『と、言いますと……？』
──おっさんアシュナとの設定の食い違い。そこらへんが尾を引くと後々に正体バレしたり面倒になるのが漫画とかでよくあるパターンだから。なんか新設定とか盛ったりしてない？
──『…………………大丈夫だと思います。そもそもおじさんと神様(※キヨちゃん)以外の人と会話するのが久しぶりすぎて……混乱して誘うのが精一杯でしたから』
──それを大丈夫とする根拠が知りたいけど……そもそもこの面子はどういう組み合わせで選んだの？
──『えっと、境遇が似てたこともあって鏑木さんとは一年生のとき何度か話したことがあって……と言っても事務的なことですけど……それでリハビリのつもりで電話したら『遊びに行こう』って約束になって……』
──ふむ、それでT●Lに？ 
──『いえ、その時はまだ……でも、『友達とT●Lに行ってみたい』とは密かに思ってたんで勇気を出してメールを送ったら……三久さんに誤送信してて……そしたら鬼のように電話がかかってきて……』
──あぁ……よりによって行動力の鬼ギャルミクさんに
……
──『怖かったですけど無視もよくないので通話ボタンを押したら……私が何も言う暇もなく一方的に喋られて……「他にも誰か誘おう」って話になり──』

「ねぇねぇ、アシュナっちはキャラクターで誰が一番好きー？」

　阿修凪ちゃんと脳内会話で事情を聞いていると、現実世界でも誰かが話し掛けてきた。話し方から察するに行動力の鬼ギャルだろう、が──先日も述べた通り、一方と会話しながらもう一方に返答するという高度な技術を持ち合わせてはいないので、おっさんの視界には人混みと吐きそうな色合いのパーク内風景しか映らない──おっさんは聖徳太子ではないのだ。

　必然、慎重な会話など出来るはずもなく──おっさんは迂闊に答えてしまう。
　前世で嫌になるほどテレビに出ていた故におっさんの記憶に颯爽と浮かび上がってきた……この時代にはまだいないキャラが。

「えー、あー、うん。あれかなー、『ア●と雪の女王』の雪だるまかなー」
「………『ア●と雪の女王』……？　吉良パイセン知ってる？」
「ううん……？　え、それって最新のやつですか師匠？」

　気付いた時にはすでに遅し。
　特にディゥゥ●ィゥヌィーキャラに思い入れがない故に、適当に答えてしまった。無難にアヒル野郎とか犬畜生とかニートの熊とかにしておけばよかった。
　とにかく、笑いながら適当に誤魔化してみよう。

「あははっ！　違う違うっ！　『ア●ルに指突っ込んだら超きもちーよ』って言っただけっ！」
「アシュナっち！？　ここテーマパークだかんね！？」

　誤魔化す作業に必死でついつい大声で性癖を披露してしまい──周囲の喧騒はいっそう増したが……すぐに収まった。
　何を隠そう──実はおっさんはサングラスをかけ、布マスクをして変装しているのだ。アシュナだと知れていたら大混乱が起きていただろう。危ない危ない。

──『回避できてません！　みんなには変な癖(へき)持ちだって誤解されたじゃないですかっ！』
「びっくりしましたよ師匠……でも、師匠ですからね。今更慣れっこですし……その話、今度二人きりでゆっくり実践しません……？」
「あら、それなら私も是非参加したいわ」
「ふわぁ、大人な会話やな～……ウチもちょっとだけ興味あるかも……」

　ほら、通常営業だから大丈夫。

──『………どんな慕われ方してるんですか……おじさんの方がよっぽど、私のキャラ設定を滅茶苦茶にしてますからね？』