おっさんの俺が美少女になって高校生からやり直したら人生クッソチョロかった件

司真 緋水銀

文字の大きさ
217 / 268
最終節.女子高生(おっさん)の日常と、いともたやすく創造されしNEW WORLD

202.女子高生(おっさん)と約束⑥

しおりを挟む


 ヒマリは怯えていたが、制服をかけると落ち着きを少し取り戻す。高原を改めて確認してみると、どうやら体の殴打痕以外は全てかすり傷で、流れていた血は擦り傷から発生した僅かなものだった。
 学生時代の自分の非力さが恨めしいというか……まぁここで瀕死にしてしまってたらヒマリとの話し合いどころじゃなくなっちゃうので救われたというか……とにかく、気絶して唸(うな)っているだけの様子だった。

──『大丈夫なんですね……? びっくりしましたよ突然襲いかかるから……事情が事情ですけど暴力は駄目ですよ』

「ごめん、ヒマリが襲われてるのかと思ったらつい……」
「………ぁ、ぅん…………大丈夫…………ぁ……ぇーっと……は、はずみくん? だったよね…………」

 阿修凪ちゃんへの返事を自分への返事と捉えたらしいヒマリが恐る恐る答える。ヒマリにとって阿修羅は苗字すらうろ覚えな存在らしく少し哀しくなる。

 しかし、助けてくれたという事実から態度が柔らいだのか……彼女の口からゆっくりと真実は語られる。

----------
-----

「──ゎたし…………高原せんせーにずっとえっちな事いっぱいされてて………」

 隣で語るヒマリの匂いと格好と言葉に、『今はそんな気分になっちゃいけない不謹慎だろ』と思いつつも、男の性は無情にも反応してしまう。
 助けてくれた存在とはいえ、よく知りもしない男子相手に言葉を選ばず情事を晒してしまうのは……ヒマリの人柄や性質がどの世界でも変わらない事実を示していた。

「………いつから?」
「……一年生のときから……せんせーに勉強の相談とかしてたら……最初は太ももを触られて……それからおっぱいを触られるようになって……お股に指をいれられてそれから……」

 かつて噂された『高原にしつこく標的にされてる』女生徒とはどうやらヒマリの事だったようで……それから何度も呼び出されてはえっちな事をされ続けたと言って……ヒマリは体育座りで膝に顔を埋めた。

「そのうち学校だけじゃなくて外でも呼び出されるようになって……高原せんせーのおうちとか……ホテルとか………そこで……」
「も、もういいから……わかったから……」

 俺は再び高原を睨むように見据える、この淫行野郎……ヒマリにそんな事までしてやがったのか。
 やりきれない気持ちが胸の奥に蔓延した──どうして気づいてやれなかったのか、と。その想いは阿修凪ちゃんも同じようで狼狽している様子だった。

 俺は阿修凪ちゃんを慰めるように、自分を落ち着けるように心で語る。

──『………………』

(……たぶんだけど……最悪な事には至ってないよ)

──『…………こんな事されてるのに、どうしてそう言えるんですか……?』

(このオーク野郎、※※※※で※※だから)

──『………………へっ?』

 それは、この時代で高原と相対した際に使用しようとしていた『切り札』。
 阿修羅の時代に偶然知った高原の秘密……それを聞いて阿修凪ちゃんはきょとんとして言葉を失った。卑猥な言葉に照れているのかもしれない。
 差別用語なので詳しくは語れないが、世の男性諸君は男性が『最後まで』至れない事情を推して量ることができるだろう。

 とは言え、単なる推測でしかないし、ヒマリにそれ以上突っ込んだ話を語らせるのは酷すぎるから聞けないし、このオークがセクハラを行っていたのは紛れもない事実だ。同情の余地は微塵も無い。
 ヒマリはどんな行為をされていたのかまで詳細に語ってくれたが……あまり耳に入ってこなかった。

 そして……目を覚ました高原(無論、縛り上げた)を詰問した結果──件の噂についての真相も解明された。

 噂はこのオークが流したものだった。
 理由は一つ──ヒマリとの淫行が表沙汰になった場合の自分へのダメージの緩衝材。
『彼女は誰とでも寝る』と流して噂になればいざという時に言い訳が立つと考えての愚策だったらしい。
 要するに『ヒマリ自身の意志』若しくは『彼女から誘ってきた』と同意と共感を得ようとした──という理由からのようだった。

──『……っ、最低ですね………』

 阿修凪ちゃんは憤(いきどお)る、無理もない。
 この豚野郎にはもう人間を名乗る資格すらない。

「……証拠は収めたからもうどうにでもできる、あとはヒマリがどうしたいか決めて」
「ぅ……ぅひ、波澄ぃ…………こ、こんな事してただで済むと思うなよぉ………ふひひっ」

 この期に及んで、オークは強気な姿勢を崩さない。恐らく陰キャで気弱な生徒の一人と認識されている──舐められているのだろう。
 確かに……ここは学生という身分の世界。俺自身にとっては夢の間でしか認識できない無数あるパラレルワールドとはいえ、この先の阿修羅の人生を考えると無茶はしない方がいいかもしれない──

「もう口を開くなよ●●●野郎……」

──なんて、躊躇(ためら)うわけがなかった。
 別世界の阿修羅(おれ)だって、きっと許してくれるしきっと同じ事をする。なんたって自分なんだからよくわかる。

 露出した粗末なものに、俺は足を置き。

「ふぎっ………!?」
「残念な事に、今の俺はお前と同年代だよ。おっさんがあらぬ誤解を受けてる原因を作り出してるのはお前みたいな中年が蔓延(はびこ)ってるからだ。二度とセクハラオヤジが産まれてきませんように」

 そして、思い切り、踏み抜いた。














しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

処理中です...