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シートベルト着用のサインが消えると、キャビンアテンダントが飲み物を配り始めた。
ハイネケンと乾き物をつまみながら、あたしはシンヤと話をしていた。
シンヤは仕事でバンコクと日本を行ったりきたりしているらしい。
「で、月子はバンコクに何しに行くの?」
月子だって。
呼び捨て。
でもイケメンだから許す。
「あ、あたしはふつーに観光。たったの五日間だけど」
「そうか、じゃあ荷物とかって、たいしたことないよね」
こっそり逃げてきたのだ。
みやげ物なんて買って帰れない。
「うん。まったく機内持ち込みでオッケーなくらい」
「あのさ、日本じゃ売ってないタイの痩せるお茶っていうのが、すごい人気で、会社の女の子に頼まれて持って帰るのが大変なんだけど、ちょっと持って帰ってくれる?」
C席の公家顔が、銀縁眼鏡の向こうからイケメンをえらく冷たい目で見ている。
嫉妬してるのか?
「え、そんなのお安い御用」
「どこに泊まるの?」
「カオサンで適当に探す」
カオサンというのは、バックパッカー用の安宿が密集している地域のことで、ガイドブックにはとりあえずそこを目指せと書いてある。
「じゃあさ、着いてからここに電話して。タイ用のケータイだから」
シンヤは電話番号が書かれた紙切れをあたしに渡し、ちょっと、と言ってあたしと公家顔の男の隙間をすり抜けて、席を立った。
ハイネケンと乾き物をつまみながら、あたしはシンヤと話をしていた。
シンヤは仕事でバンコクと日本を行ったりきたりしているらしい。
「で、月子はバンコクに何しに行くの?」
月子だって。
呼び捨て。
でもイケメンだから許す。
「あ、あたしはふつーに観光。たったの五日間だけど」
「そうか、じゃあ荷物とかって、たいしたことないよね」
こっそり逃げてきたのだ。
みやげ物なんて買って帰れない。
「うん。まったく機内持ち込みでオッケーなくらい」
「あのさ、日本じゃ売ってないタイの痩せるお茶っていうのが、すごい人気で、会社の女の子に頼まれて持って帰るのが大変なんだけど、ちょっと持って帰ってくれる?」
C席の公家顔が、銀縁眼鏡の向こうからイケメンをえらく冷たい目で見ている。
嫉妬してるのか?
「え、そんなのお安い御用」
「どこに泊まるの?」
「カオサンで適当に探す」
カオサンというのは、バックパッカー用の安宿が密集している地域のことで、ガイドブックにはとりあえずそこを目指せと書いてある。
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