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「あたしね、なかちゃんのことが好き。大好き。日本に帰ったらきっともう会えないと思うけど、このまま別れたら後悔すると思う。ねえ、これ以上言わせないでよ」
なかちゃんの正面にまわって、もう一度キスをした。
溶けそうな感じ。
鼻にかかった声を漏らしてしまう。
「……月子さんにお願いがあるんです。あ、あの、絶対に声を出さないでください。周りに聞こえると恥ずかしいので」
なんて神経質なやつ。
でも、それから、我慢の糸がぷつりと切れたみたいに、なかちゃんは別人になった。
相変わらず優しくはしてくれたけど、声を出さないようにするのが大変なくらい。お陰でまた眠る暇がなくなってしまった。
最後の日は、結局遅い時間に水上マーケットを見て、なんといやらしいことに早々にホテルに戻って、また夕方までした。
夕食はルームサービスにして、おままごと遊びみたいに食べさせあったりして、冷静に考えると今夜しかないって、泣きたくなるシチュエーションだけど、悔いの残らないように思い切りベタベタして、いい思い出にしよう。
そう思って先のことはできるだけ考えないようにした。
ホテルをチェックアウトして、タクシーで空港まで行く間は、涙が止まらなかった。
帰ってもまた会いたい、ずっとなかちゃんといっしょにいたい、なんて思いながら、ずっとなかちゃんの手を握り締めていた。
でも、そんなの無理だ。
なかちゃんは、泣きもせずに落ち着いていた。
「月子さんとはどこかで会えるような気がするんですよ」
などと能天気なことを言いながらも、大学の研究室の名前が書かれた名刺をくれた。
でも、あたしのことは何も聞かない。
だから、本当の名前も、連絡先も告げずに別れた。
搭乗してしばらくは涙が止まらなかったけれど、いつまでも泣いているわけにはいかないと思って、気を紛らわすために、新聞を読み始めた。
バンコクで観光客に痩せるお茶と偽って大麻を運ばせていた男が逮捕されたという記事を見つけた。
なかちゃんの正面にまわって、もう一度キスをした。
溶けそうな感じ。
鼻にかかった声を漏らしてしまう。
「……月子さんにお願いがあるんです。あ、あの、絶対に声を出さないでください。周りに聞こえると恥ずかしいので」
なんて神経質なやつ。
でも、それから、我慢の糸がぷつりと切れたみたいに、なかちゃんは別人になった。
相変わらず優しくはしてくれたけど、声を出さないようにするのが大変なくらい。お陰でまた眠る暇がなくなってしまった。
最後の日は、結局遅い時間に水上マーケットを見て、なんといやらしいことに早々にホテルに戻って、また夕方までした。
夕食はルームサービスにして、おままごと遊びみたいに食べさせあったりして、冷静に考えると今夜しかないって、泣きたくなるシチュエーションだけど、悔いの残らないように思い切りベタベタして、いい思い出にしよう。
そう思って先のことはできるだけ考えないようにした。
ホテルをチェックアウトして、タクシーで空港まで行く間は、涙が止まらなかった。
帰ってもまた会いたい、ずっとなかちゃんといっしょにいたい、なんて思いながら、ずっとなかちゃんの手を握り締めていた。
でも、そんなの無理だ。
なかちゃんは、泣きもせずに落ち着いていた。
「月子さんとはどこかで会えるような気がするんですよ」
などと能天気なことを言いながらも、大学の研究室の名前が書かれた名刺をくれた。
でも、あたしのことは何も聞かない。
だから、本当の名前も、連絡先も告げずに別れた。
搭乗してしばらくは涙が止まらなかったけれど、いつまでも泣いているわけにはいかないと思って、気を紛らわすために、新聞を読み始めた。
バンコクで観光客に痩せるお茶と偽って大麻を運ばせていた男が逮捕されたという記事を見つけた。
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