国助く禍津剣

dada

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 一通り三人は和気あいあいと食事を終え、(主にセイラが上機嫌でディアナもそれに感化されていた。アキラは愛想笑いだけしておいた。)帰路に着くことにした。
 帰りも行きしと同じでアキラが先頭、真ん中にセイラ、後方はディアナの配置で森の中を駆けていく。もう少しで森を抜けるというところに来て、セイラがアキラに話し掛けた。
 「アキラさん。あのお墓が誰の物かとか、私達に聞かないんですね。」
 彼女のアキラに対する話し方は、ずいぶんと親しげなものになっていた。
「・・・別に、興味がありませんので。」
 素っ気なく返すアキラ。
 「そう、・・・・あのお墓は、アルバート王国の守護神と呼ばれた人のお墓なんです。」
 「へえ。」
 「その人は十年前に亡くなった。私も十年前は幼かったけど、幼い私の遊び相手をよくしていただいたこと覚えています。父が彼とは親友だったの。」
 「・・・・・・そうですか。」
 アキラは知らぬまに奥歯を噛み締めていたことに気付いた。先頭なので誰も見ていないが、その眉間には深い皺が刻まれている。
 「その御方はこの国を大切に思い、国のために尽くしていただいたのだけど、私達王家は大変な過ちを犯してしまった。」
 彼女の声には自責の念が滲む。
 「その御方の名は武神クーロン。アルバート王国の守護神にして最強の傭兵団武神兵団の団長だった方です。」
 「・・・・・・・・そう、ですか。」
 アキラはそれしか言わなかった。そのあとは暫し無言で走り続けていた一行だが、森の出口でまたセイラが口を開く。
「でも分かっていただきたいのは、私達王家も、武神様が亡くなったことをひどく悔やんでいるということ。武神様の御家族やお仲間にはこれからも償いをもって接したいと思っているということです。」
 そう言いながら最後にアキラの正面に回って瞳を見つめ、言葉を切った。
 
 「自分は用事がありますのでここで別れたいと思います。」
 森の出口でアキラはそう言った。近くの町で宿をとろうとディアナが提案したときであった。
 「もう日も暮れかけておりますし、私達に何かお礼をさせていただけませんか?せめて一晩の宿をご提供させていただきます。」
 セイラがそう言ってきたが、アキラは首を横に振った。
 「いえ、今回の事は気にしないで下さい。それよりも朝方グリフォンに襲われた時、近くにもう一人敵の気配がありました。恐らくそれがグリフォンを操ってけしかけたのではないかと自分は思います。」
 「あのように強力な幻獣を従える術者か・・・・・それは警戒した方がいいな。」
 ディアナが鋭い視線でそう言った。
 「それではこれで。」
 と言い、アキラはその場をあとにした。ディアナは見返りを求めないアキラに不審な目を向けている。
 彼が見えなくなったのを確認してディアナが口を開く。
 「何者なんでしょうね、奴は。」
 セイラはにっこりと微笑み、
 「さあ、少なくとも信用に足る御方だと私は思います。」
 「ですが、怪しいのも事実ですよ。姫様の身分を知った後でも金銭なども要求してこないし、それにグリフォンを一瞬で殲滅した奴の実力、只者でないことは明らかです。」
 「ふふっ、大丈夫。あの御方は真っ直ぐな御方。いいえ、あの方達はいつも真っ直ぐで誰かのためにその力を使う。それは間違いありません。」
 そう断言するセイラの言葉には、ディアナにとって意味がわからない部分があるが、今はその事について問うのをやめた。
 「姫様、もう日が沈みます。早く宿をとって今夜はそこで休みます。明日は王宮まで帰りますので、朝も早いですよ。流石に姫様の外出許可は、私の家の領地を訪問するという建て前でなっておりますので。明日中には王宮に戻らないと疑われてしまいます。」
 「わかっています。今回は無理を言って貴女にご迷惑をお掛けしましたね。」
 「いいえ、私も先の英雄の墓前に供養できましたこと、武人として誇りに思います。」
 そう労い合い、二人は近くの町の宿屋へと向かった。
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