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「・・・・そうか、あいつの末の息子が来ていたのか。」
そう口にした老人は微かに笑った。その目には、精気があまり感じられなかった。だが、どこか昔を懐かしむ様な憧憬の眼差しで虚空を見ている。豪奢な部屋の、天蓋つきのベッド。
その老人は今寝たきりの状態である。単純な老化によるものもあるが、彼は長く患っていた。病によるものではない。術による呪いの後遺症だ。
「それで、その者は今どこに?」
老人は傍らに控えていた守護騎士長に問うた。
「は、意識が戻ればまた陛下の命を狙う恐れがありますので、地下牢に捕らえてあります。」
守護騎士長であるブライは毅然とした態度で答える。老人は彼と地下の襲撃者が兄弟の様な関係だと知っている。
「そうか。命を取らずにいたこと、誠に賢明だと言えよう。」
いつものブライからしたら少し甘いと思われるかもしれない。守護騎士長のブライは己にも周りにもいつも厳格に接することで有名だ。よく言えば誠実だが、見る人が違えば冷血漢だと言われても不思議ではない。
王族を狙う暗殺者なぞいつもなら戦いの時点で抹殺している。そんな彼が弟弟子であるアキラの命を取らずにいたことには、ブライの家族に向ける人間味、隠れた優しさが感じられた。
それを老人、アルバート王 ゼウル・フォン・アルバートは微笑ましく思った。
時は十五年前に遡る。
アルバート王国は、軍力において破竹の勢いにのっていた。別にこちらから他国に攻め入ったわけではない。
小国ながらも古い歴史を持ち、魔法の研究豊かなアルバート王国の侵略を企てた諸外国を、とある少数の傭兵団が連戦で破ったのが理由である。それもすべて圧勝だ。
まずは隣国のレオメル帝国だった。大国であるレオメル帝国はかねてよりアルバート王国を狙っていた。それに既に軍事拠点となる都市を幾つかおとしてもいた。好機とみたレオメル帝国は大群を引き連れアルバート王国の王都に進軍してきた。
そこに現れたのが、武神兵団である。彼等はその時十人程であったが、総数五万のレオメル帝国の侵攻軍をアルバート正規軍と共に撃滅した。アルバート王国の正規軍は急な召集で一万しか集めれなかったが、そのほとんどが武神兵団の活躍で大した損耗も無く戦闘を乗り越えた。
数日前に国王に呼ばれ故郷のアルバート王国に帰って来た武神は、その足で王宮まで赴き、情勢を確認して自らの仲間を国の守備につかせると約束し、レオメル迎撃に当たらせた。
武神兵団は各一騎当千、いや、一騎当万と呼んでもいいような戦士達。中でも武神の一番弟子のライオ、二番弟子のカエン、三番弟子のアキラの活躍、いや暴虐な力は敵ばかりでなく、敵のアルバート王国の中でも恐れられ、レオメル侵攻軍は大敗を喫し逃げ帰った。
そんな時、レオメル帝国の侵攻に合わせて不可侵条約を結んでいた隣国のイスパル王国が条約を破棄し、攻め入ってきた。
奇襲に近いその侵攻は敵二万の兵に対し、武神兵団のみで、実質その内の三人ぐらいで退けた。
まるで子供でもあやすようなやり口に激怒したイスパル王国が、本腰を入れて攻め入ろうとした時、武神が一人で大魔法を使いイスパル王国の港を一つ使えなくした。正確には大津波を断続的に起こしてやったのだ。(勿論避難の勧告は出した。)
そこで初めて勝機が全く無いことに気づいたイスパル王国が降伏と再度の相互条約を嘆願してくる。これをアルバート王国は条件付きで受理した。
これにより武神兵団の名は世界各国に拡がり、アルバート王国の守護神と呼ばれた。その後も小さい争乱はあったが、その都度武神兵団が駆けつけ、見事勝利を掴んでくるのだった。常勝無敗の守り神と自国の民から讚美され、周辺諸国からは恐れられた。
それから五年後。彼等は未だ傭兵団として活躍していた。
そう口にした老人は微かに笑った。その目には、精気があまり感じられなかった。だが、どこか昔を懐かしむ様な憧憬の眼差しで虚空を見ている。豪奢な部屋の、天蓋つきのベッド。
その老人は今寝たきりの状態である。単純な老化によるものもあるが、彼は長く患っていた。病によるものではない。術による呪いの後遺症だ。
「それで、その者は今どこに?」
老人は傍らに控えていた守護騎士長に問うた。
「は、意識が戻ればまた陛下の命を狙う恐れがありますので、地下牢に捕らえてあります。」
守護騎士長であるブライは毅然とした態度で答える。老人は彼と地下の襲撃者が兄弟の様な関係だと知っている。
「そうか。命を取らずにいたこと、誠に賢明だと言えよう。」
いつものブライからしたら少し甘いと思われるかもしれない。守護騎士長のブライは己にも周りにもいつも厳格に接することで有名だ。よく言えば誠実だが、見る人が違えば冷血漢だと言われても不思議ではない。
王族を狙う暗殺者なぞいつもなら戦いの時点で抹殺している。そんな彼が弟弟子であるアキラの命を取らずにいたことには、ブライの家族に向ける人間味、隠れた優しさが感じられた。
それを老人、アルバート王 ゼウル・フォン・アルバートは微笑ましく思った。
時は十五年前に遡る。
アルバート王国は、軍力において破竹の勢いにのっていた。別にこちらから他国に攻め入ったわけではない。
小国ながらも古い歴史を持ち、魔法の研究豊かなアルバート王国の侵略を企てた諸外国を、とある少数の傭兵団が連戦で破ったのが理由である。それもすべて圧勝だ。
まずは隣国のレオメル帝国だった。大国であるレオメル帝国はかねてよりアルバート王国を狙っていた。それに既に軍事拠点となる都市を幾つかおとしてもいた。好機とみたレオメル帝国は大群を引き連れアルバート王国の王都に進軍してきた。
そこに現れたのが、武神兵団である。彼等はその時十人程であったが、総数五万のレオメル帝国の侵攻軍をアルバート正規軍と共に撃滅した。アルバート王国の正規軍は急な召集で一万しか集めれなかったが、そのほとんどが武神兵団の活躍で大した損耗も無く戦闘を乗り越えた。
数日前に国王に呼ばれ故郷のアルバート王国に帰って来た武神は、その足で王宮まで赴き、情勢を確認して自らの仲間を国の守備につかせると約束し、レオメル迎撃に当たらせた。
武神兵団は各一騎当千、いや、一騎当万と呼んでもいいような戦士達。中でも武神の一番弟子のライオ、二番弟子のカエン、三番弟子のアキラの活躍、いや暴虐な力は敵ばかりでなく、敵のアルバート王国の中でも恐れられ、レオメル侵攻軍は大敗を喫し逃げ帰った。
そんな時、レオメル帝国の侵攻に合わせて不可侵条約を結んでいた隣国のイスパル王国が条約を破棄し、攻め入ってきた。
奇襲に近いその侵攻は敵二万の兵に対し、武神兵団のみで、実質その内の三人ぐらいで退けた。
まるで子供でもあやすようなやり口に激怒したイスパル王国が、本腰を入れて攻め入ろうとした時、武神が一人で大魔法を使いイスパル王国の港を一つ使えなくした。正確には大津波を断続的に起こしてやったのだ。(勿論避難の勧告は出した。)
そこで初めて勝機が全く無いことに気づいたイスパル王国が降伏と再度の相互条約を嘆願してくる。これをアルバート王国は条件付きで受理した。
これにより武神兵団の名は世界各国に拡がり、アルバート王国の守護神と呼ばれた。その後も小さい争乱はあったが、その都度武神兵団が駆けつけ、見事勝利を掴んでくるのだった。常勝無敗の守り神と自国の民から讚美され、周辺諸国からは恐れられた。
それから五年後。彼等は未だ傭兵団として活躍していた。
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