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塔の中は石造りだ。そこら辺は外観と同じである。中央部分は頂上までの吹き抜けになっており、円筒状の塔をぐるっと囲むように螺旋階段が延々と続いている。
「・・・まじか、・・これ登るの?」
いきなり弱音を吐いたのはソフィーだ。先程までの威張り散らした態度はどこへやら、今は螺旋階段を恨みがましくじとっと睨んでいる。
「だ、大丈夫ですよ!多分、あっという間です」
ソフィーの横で何とか元気付けようとするアイリス。
「ほら、さっさと行くぞ。」
アキラはソフィーをほっぽって先を行こうとするが、
「・・・決めた。皆中央に集まって。」
ソフィーは決心した顔でそう言った。
「え?でも、アキラさん、もう行っちゃいますよ?」
ソフィーの言動を不思議に思い、付いていかなくていいのかとアイリスはソフィーに問う。
が、彼女は何やら集中しているようで聞こえていない。
「ふーん、じゃあ、お言葉に甘えようかな。皆さん、真ん中に行きましょう。」
事情を理解しているのか、エレインはさっさと一階の中央部分に歩いていく。他の者も皆顔を見合わせながらも彼女にならった。
「いい?いくよ!」
ソフィーが掛け声を放ち、魔法を発動した。
突如彼女らの足場が氷に覆われ、氷柱となってぐんぐんと上に伸びていく。戸惑うウィルやレイアだが、ソフィーは得意気だ。
何よりもアキラを追い越して、彼が必死に登っていく様を上から視るのが楽しみだとソフィーはほくそえんでいた。
「む?あれ?」
しかし、いつになってもアキラの姿が見えない。氷柱は更に伸びていきあっという間に頂上部分に到達しそうだ。
「あ、アキラいた。」
エレインの呟きでそちらを振り替えるソフィー。
「何と、信じられん。」
これはウィルだ。アキラは螺旋階段の円一周分をおよそ五歩ぐらいで蹴飛ばしながら登っていた。
翔び跳ねながら曲芸のように高速で登っていく彼の顔には疲労は一切見えない。頂上までに辛うじて彼を追い越した氷柱の面々は彼の横を通過していくときに突風が吹き荒れていたのを感じていた。
「本当に、武神兵団の方達は皆さん常軌を逸した方々ばかりですね。」
そんな微妙で率直な感想を口にしてしまうウィル。皆今は塔の頂上に無事到着して荷物を整えている。
「・・変だ。魔物を全然見なかった。」
アキラは皆に登っているときに感じた自らの違和感を告げた。
「死骸も無かった。戦闘による破壊の痕も無い。だが途中、書庫のような物は見付けた。」
「て、あんた。あんなペースで走りながら探索までしてたのかよ。・・・まあいいや、それで何か見つかったの?」
エレインが呆れながらアキラに問い掛ける。
「ああ、昔の術士の記録だな。・・・名前は、メフィスト・F・GFというらしい。文字は古い記録の物は読めない文字で書かれているが、割と最近の物は俺たちと同じ言語で書かれている。」
数冊ある書物をパラパラと捲りながらアキラが言った。
「・・ふうん、成る程。昔の記録は千年前ぐらいかな、古代文字で書かれてる。時代が進んでいくにつれて現代の周辺諸国で使われている原語に変えていったみたいね。」
エレインがアキラから本を受け取り読み始めた。
「エレイン殿、読めるのですか?」
レイアが驚いている。それもそうだ、国のお抱えの考古学者でもない限り、こんなものを理解できるものは居ないだろう。それも一介の傭兵団なんかには。
「ん?読めるよ?だって私転生者だもん。前世は違う国の学者だったからね。こういうの、何て言うんだっけ。」
あっけらかんととんでもないことを言うエレイン。
「ハイエイシェントヒューマンって団長が言ってた。」
「あ、そうそう。まあ、前世の記憶はあやふやなんだけどね。ただ、術の知識なんかは全部受け継いでるんだ。」
ソフィーとエレインは普通に話している。武神兵団の中では皆知っている事実のようだ。
「それで、昔のは何て書いてある?最近の物は十年前ぐらいに悲願が叶いそうだという事しか書かれていない。」
アキラがエレインに先を促す。
「待って、・・・ふうん。この人、ロラン王国の人みたいだね。何かかなりの罪を犯して国を追われたって。あと、元の身分も国の、かなりの中枢にあったみたい。」
そう言い終えて彼女はロラン王国の姫であるアイリス、護衛のウィルとレイアの男女を見た。アイリスは驚愕の表情で声も出ないぐらい驚いていたが、あとの二人は落ち着いたものだ。眉一つ動かさない。
「貴殿方の国の術士がこの塔に居たと、知っていたんですか?」
アキラはウィルに問い掛けた。言い方が少々きつくなっているのは少なからず不信感の現れだ。
「・・・はい。この塔は大昔の我が国の術士が建てたものです。間違いありません。」
ウィルは努めて平静な声で答えた。その表情からは感情が窺えない。
「じゃあ、村を襲った魔物にも心当たりは有りますか?この塔に魔物が飛び去っていくのを見たものがいるのですが。確かこの塔には多数の魔物がいて、それらが塔から出ていけなくて殺し合いをしていると聞いていました。」
アキラは表面上は冷静に質問しているが、彼の両手はいつでも両腰の刀を抜けるようになっていた。
アキラの問いに答えようとウィルが口を開きかけたとき、
「久し振りだ。我が塔に客人が来るのは本当に久し振りである。」
横合いから声をかけられた。不思議な声だ。老人の様でもあるし、若者のようでもある。声はけっして大きくないがよくとおる、耳に残る声だ。
「誰だ、お前?どっから出てきた?」
既にアキラは声のした方に短刀を向けている。人の、生き物の気配はさっきまで無かった筈だ。自分が気配を詠み違えたならこれはかなりの手練れだ。警戒感がいやでも一気に上がる。
「なに、そんなに恐れなくてもいい。」
今度は彼の後ろから声がした。咄嗟に皆そちらを見るが、誰の姿も無い。
「私はこの塔の支配者、名はメフィスト。」
今度は頭上から声がした。アキラは目を閉じ集中した。オドの流れを探る。高度な偽装がされているが、この人物は最初から動いていないように感じる。
「そこか。」
アキラはそう言って何気ない動作で右手の短刀を横に薙いだ。軽い仕草だが、その手にはそれなりの魔力が込められている。
「っ!」
今まで虚空であった空間から、アキラの斬撃を受け止める金属音がする。
「ほう、驚いた。こんな若者が、よもやこれ程の魔力を秘めているとは。」
何もない所からそんな声がして、その人物は現れた。黄金に輝くブロンドの長髪。陶磁器の様に純白な肌、整いすぎたむしろ神がかるような美貌。瞳は紅く、爛々と燃えているようである。見た目では二十代の青年に見える。そして最も特徴的なのが、アイリスやウィルやレイアと同じ、尖った耳。
「エルフか、お前はロラン王国の人間だな?」
アキラは刃を突き付け問い掛ける。この人物からはかなり危険な匂いを嗅ぎとっていた。
「如何にも。私はロラン王国のメフィスト・フォン・グリーンフィールド。」
「は?グリーンフィールドって王族?」
素で疑問を口にするソフィー。
「そうだな、今からおよそ千二百年前のことになるか。私が国をおわれたのはな。」
メフィストは遠い昔を思い出すように告げた。その時、彼目掛けて突如疾風の矢が放たれた。
「・・・まじか、・・これ登るの?」
いきなり弱音を吐いたのはソフィーだ。先程までの威張り散らした態度はどこへやら、今は螺旋階段を恨みがましくじとっと睨んでいる。
「だ、大丈夫ですよ!多分、あっという間です」
ソフィーの横で何とか元気付けようとするアイリス。
「ほら、さっさと行くぞ。」
アキラはソフィーをほっぽって先を行こうとするが、
「・・・決めた。皆中央に集まって。」
ソフィーは決心した顔でそう言った。
「え?でも、アキラさん、もう行っちゃいますよ?」
ソフィーの言動を不思議に思い、付いていかなくていいのかとアイリスはソフィーに問う。
が、彼女は何やら集中しているようで聞こえていない。
「ふーん、じゃあ、お言葉に甘えようかな。皆さん、真ん中に行きましょう。」
事情を理解しているのか、エレインはさっさと一階の中央部分に歩いていく。他の者も皆顔を見合わせながらも彼女にならった。
「いい?いくよ!」
ソフィーが掛け声を放ち、魔法を発動した。
突如彼女らの足場が氷に覆われ、氷柱となってぐんぐんと上に伸びていく。戸惑うウィルやレイアだが、ソフィーは得意気だ。
何よりもアキラを追い越して、彼が必死に登っていく様を上から視るのが楽しみだとソフィーはほくそえんでいた。
「む?あれ?」
しかし、いつになってもアキラの姿が見えない。氷柱は更に伸びていきあっという間に頂上部分に到達しそうだ。
「あ、アキラいた。」
エレインの呟きでそちらを振り替えるソフィー。
「何と、信じられん。」
これはウィルだ。アキラは螺旋階段の円一周分をおよそ五歩ぐらいで蹴飛ばしながら登っていた。
翔び跳ねながら曲芸のように高速で登っていく彼の顔には疲労は一切見えない。頂上までに辛うじて彼を追い越した氷柱の面々は彼の横を通過していくときに突風が吹き荒れていたのを感じていた。
「本当に、武神兵団の方達は皆さん常軌を逸した方々ばかりですね。」
そんな微妙で率直な感想を口にしてしまうウィル。皆今は塔の頂上に無事到着して荷物を整えている。
「・・変だ。魔物を全然見なかった。」
アキラは皆に登っているときに感じた自らの違和感を告げた。
「死骸も無かった。戦闘による破壊の痕も無い。だが途中、書庫のような物は見付けた。」
「て、あんた。あんなペースで走りながら探索までしてたのかよ。・・・まあいいや、それで何か見つかったの?」
エレインが呆れながらアキラに問い掛ける。
「ああ、昔の術士の記録だな。・・・名前は、メフィスト・F・GFというらしい。文字は古い記録の物は読めない文字で書かれているが、割と最近の物は俺たちと同じ言語で書かれている。」
数冊ある書物をパラパラと捲りながらアキラが言った。
「・・ふうん、成る程。昔の記録は千年前ぐらいかな、古代文字で書かれてる。時代が進んでいくにつれて現代の周辺諸国で使われている原語に変えていったみたいね。」
エレインがアキラから本を受け取り読み始めた。
「エレイン殿、読めるのですか?」
レイアが驚いている。それもそうだ、国のお抱えの考古学者でもない限り、こんなものを理解できるものは居ないだろう。それも一介の傭兵団なんかには。
「ん?読めるよ?だって私転生者だもん。前世は違う国の学者だったからね。こういうの、何て言うんだっけ。」
あっけらかんととんでもないことを言うエレイン。
「ハイエイシェントヒューマンって団長が言ってた。」
「あ、そうそう。まあ、前世の記憶はあやふやなんだけどね。ただ、術の知識なんかは全部受け継いでるんだ。」
ソフィーとエレインは普通に話している。武神兵団の中では皆知っている事実のようだ。
「それで、昔のは何て書いてある?最近の物は十年前ぐらいに悲願が叶いそうだという事しか書かれていない。」
アキラがエレインに先を促す。
「待って、・・・ふうん。この人、ロラン王国の人みたいだね。何かかなりの罪を犯して国を追われたって。あと、元の身分も国の、かなりの中枢にあったみたい。」
そう言い終えて彼女はロラン王国の姫であるアイリス、護衛のウィルとレイアの男女を見た。アイリスは驚愕の表情で声も出ないぐらい驚いていたが、あとの二人は落ち着いたものだ。眉一つ動かさない。
「貴殿方の国の術士がこの塔に居たと、知っていたんですか?」
アキラはウィルに問い掛けた。言い方が少々きつくなっているのは少なからず不信感の現れだ。
「・・・はい。この塔は大昔の我が国の術士が建てたものです。間違いありません。」
ウィルは努めて平静な声で答えた。その表情からは感情が窺えない。
「じゃあ、村を襲った魔物にも心当たりは有りますか?この塔に魔物が飛び去っていくのを見たものがいるのですが。確かこの塔には多数の魔物がいて、それらが塔から出ていけなくて殺し合いをしていると聞いていました。」
アキラは表面上は冷静に質問しているが、彼の両手はいつでも両腰の刀を抜けるようになっていた。
アキラの問いに答えようとウィルが口を開きかけたとき、
「久し振りだ。我が塔に客人が来るのは本当に久し振りである。」
横合いから声をかけられた。不思議な声だ。老人の様でもあるし、若者のようでもある。声はけっして大きくないがよくとおる、耳に残る声だ。
「誰だ、お前?どっから出てきた?」
既にアキラは声のした方に短刀を向けている。人の、生き物の気配はさっきまで無かった筈だ。自分が気配を詠み違えたならこれはかなりの手練れだ。警戒感がいやでも一気に上がる。
「なに、そんなに恐れなくてもいい。」
今度は彼の後ろから声がした。咄嗟に皆そちらを見るが、誰の姿も無い。
「私はこの塔の支配者、名はメフィスト。」
今度は頭上から声がした。アキラは目を閉じ集中した。オドの流れを探る。高度な偽装がされているが、この人物は最初から動いていないように感じる。
「そこか。」
アキラはそう言って何気ない動作で右手の短刀を横に薙いだ。軽い仕草だが、その手にはそれなりの魔力が込められている。
「っ!」
今まで虚空であった空間から、アキラの斬撃を受け止める金属音がする。
「ほう、驚いた。こんな若者が、よもやこれ程の魔力を秘めているとは。」
何もない所からそんな声がして、その人物は現れた。黄金に輝くブロンドの長髪。陶磁器の様に純白な肌、整いすぎたむしろ神がかるような美貌。瞳は紅く、爛々と燃えているようである。見た目では二十代の青年に見える。そして最も特徴的なのが、アイリスやウィルやレイアと同じ、尖った耳。
「エルフか、お前はロラン王国の人間だな?」
アキラは刃を突き付け問い掛ける。この人物からはかなり危険な匂いを嗅ぎとっていた。
「如何にも。私はロラン王国のメフィスト・フォン・グリーンフィールド。」
「は?グリーンフィールドって王族?」
素で疑問を口にするソフィー。
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