14 / 21
同棲の始まり
悪夢
しおりを挟む
悪い夢だと思った。
死んだと聞かされただけでも気分が悪いのに、ただ生き返ったのではなく、フィンによって生かされているだなんて。
途端に、ルカは顔色を失くす。
何か得体の知れないものが、自分の身体を支配している気がした。
「フザけんなっっ!お前、人の身体を何、勝手に――っっ!!」
思わず、立ち上がってそう叫んだルカを、フィンは不思議そうに眺めた。
「どうして怒るんだ?」
「当たり前だろうがっ!大体、お前、何のために――、何でオレにそんな事したんだ?!」
「ルカが、あんまり綺麗な“赤”だったから。」
「は?何、言ってんだ?意味わかんねぇ・・・。」
「オレも、お前がそんなに怒る理由がわからない。せっかく生き返ったのに、何が不満なんだ?お前はあのまま死にたかったのか?」
首をかしげるフィンを、怒りでワナワナと震えてルカは見ていた。
――何が不満かって、そんな事もわからねぇのかよ?!
別にルカだって、死にたかったのではない。
単純に命を救ってくれただけなら、感謝の気持ちだってある。
けれど、これは普通じゃない。
ルカの命は、一週間前に終わるはずだったのだ。
それを、このフィンという人魚が興味本位で中途半端に蘇らせた。
ルカには、そうとしか思えなかった。
「ようやく状況が飲み込めて来たぜ?要するに、オレが今、生き存えているのは、お前の気まぐれで。お前の気分次第で、オレの命なんか、どうにでもなるって事なんだな?!」
皮肉たっぷりに言ってやれば、フィンも心外そうな顔をして。
「そんなつもりはない。」
「信用できるかよ。どっちにしたって、オレの心臓を握ってるのはお前って事だろ?」
それが真実だからか、フィンは何も言い返そうとはいなかった。
ただ少し、気落ちしたように俯くだけで。
一方、ルカは怒りが収まらず、ただ感情のままに声を荒げるしかない。
「何なんだよ、お前? 何がしたいんだよ?!」
「・・・ルカ。」
不意にフィンの手が、ルカへと伸ばされて。
けれども、ルカはその手をパンと叩き落とした。
「触るな!もう、お前、出てけよ!!」
ギッと強く睨みつければ、フィンも大人しく手を引いて、青い目を伏せる。
「すまない。お前を怒らせるつもりはなかった。ただオレは――。生きているお前が見たかっただけなんだ。確かに、オレは勝手なマネをしたのかもしれない。けど、あの時、お前は死んでいたし、お前の気持ちを聞いてやる事はできなかった。」
「お前、オレのせいだって言いたいのか?!」
低く唸ったルカに、フィンは首を横に振るとその目に真剣な光を宿して。
「そうじゃない。だから、今度はお前が決めろ。」
「・・・は?」
一方的に出された提案に、ルカは怪訝な顔をした。
涼しげな青の瞳が真っ直ぐにルカを映す。
「このまま生きたいのか、それとも死にたいのか。お前が好きな方を選べ。深夜0時、灯台の対岸にある岩場まで来い。そこで答えを聞く。」
「ちょ・・・いきなり、何、言って――」
すると、フィンの腕が伸び、ルカの腕をぐっと強引に引き寄せる。
息が触れ合う程の至近距離。
ルカに抵抗する間も与えない。
「――ルカ。お前が生きたいと言うなら、オレが生かしてやる。オレだけがお前を生かしてやれる事を忘れるな。」
「・・・じゃ、じゃあ、死にたいって言ったら、どうなるんだよ?」
「そうだな。このまま放っておいても七日後には死ぬが、そこまで待つ必要もない。今夜、オレが海へ引きずり込んでやる。」
まるで唄うような声でフィンが言う。
何か恐ろしいものでも見るように、ルカは呆然とフィンを見つめていた。
そうして、フィンは穏やかな笑みを浮かべて、ルカの部屋を去っていく。
「ルカ、お前の好きにすればいい。」
そう一言だけ残して。
死んだと聞かされただけでも気分が悪いのに、ただ生き返ったのではなく、フィンによって生かされているだなんて。
途端に、ルカは顔色を失くす。
何か得体の知れないものが、自分の身体を支配している気がした。
「フザけんなっっ!お前、人の身体を何、勝手に――っっ!!」
思わず、立ち上がってそう叫んだルカを、フィンは不思議そうに眺めた。
「どうして怒るんだ?」
「当たり前だろうがっ!大体、お前、何のために――、何でオレにそんな事したんだ?!」
「ルカが、あんまり綺麗な“赤”だったから。」
「は?何、言ってんだ?意味わかんねぇ・・・。」
「オレも、お前がそんなに怒る理由がわからない。せっかく生き返ったのに、何が不満なんだ?お前はあのまま死にたかったのか?」
首をかしげるフィンを、怒りでワナワナと震えてルカは見ていた。
――何が不満かって、そんな事もわからねぇのかよ?!
別にルカだって、死にたかったのではない。
単純に命を救ってくれただけなら、感謝の気持ちだってある。
けれど、これは普通じゃない。
ルカの命は、一週間前に終わるはずだったのだ。
それを、このフィンという人魚が興味本位で中途半端に蘇らせた。
ルカには、そうとしか思えなかった。
「ようやく状況が飲み込めて来たぜ?要するに、オレが今、生き存えているのは、お前の気まぐれで。お前の気分次第で、オレの命なんか、どうにでもなるって事なんだな?!」
皮肉たっぷりに言ってやれば、フィンも心外そうな顔をして。
「そんなつもりはない。」
「信用できるかよ。どっちにしたって、オレの心臓を握ってるのはお前って事だろ?」
それが真実だからか、フィンは何も言い返そうとはいなかった。
ただ少し、気落ちしたように俯くだけで。
一方、ルカは怒りが収まらず、ただ感情のままに声を荒げるしかない。
「何なんだよ、お前? 何がしたいんだよ?!」
「・・・ルカ。」
不意にフィンの手が、ルカへと伸ばされて。
けれども、ルカはその手をパンと叩き落とした。
「触るな!もう、お前、出てけよ!!」
ギッと強く睨みつければ、フィンも大人しく手を引いて、青い目を伏せる。
「すまない。お前を怒らせるつもりはなかった。ただオレは――。生きているお前が見たかっただけなんだ。確かに、オレは勝手なマネをしたのかもしれない。けど、あの時、お前は死んでいたし、お前の気持ちを聞いてやる事はできなかった。」
「お前、オレのせいだって言いたいのか?!」
低く唸ったルカに、フィンは首を横に振るとその目に真剣な光を宿して。
「そうじゃない。だから、今度はお前が決めろ。」
「・・・は?」
一方的に出された提案に、ルカは怪訝な顔をした。
涼しげな青の瞳が真っ直ぐにルカを映す。
「このまま生きたいのか、それとも死にたいのか。お前が好きな方を選べ。深夜0時、灯台の対岸にある岩場まで来い。そこで答えを聞く。」
「ちょ・・・いきなり、何、言って――」
すると、フィンの腕が伸び、ルカの腕をぐっと強引に引き寄せる。
息が触れ合う程の至近距離。
ルカに抵抗する間も与えない。
「――ルカ。お前が生きたいと言うなら、オレが生かしてやる。オレだけがお前を生かしてやれる事を忘れるな。」
「・・・じゃ、じゃあ、死にたいって言ったら、どうなるんだよ?」
「そうだな。このまま放っておいても七日後には死ぬが、そこまで待つ必要もない。今夜、オレが海へ引きずり込んでやる。」
まるで唄うような声でフィンが言う。
何か恐ろしいものでも見るように、ルカは呆然とフィンを見つめていた。
そうして、フィンは穏やかな笑みを浮かべて、ルカの部屋を去っていく。
「ルカ、お前の好きにすればいい。」
そう一言だけ残して。
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる