フラグを折ったら溺愛されました

咲宮

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四章

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 今日はいよいよナターシャが演目を披露する当日である。朝早くから最後の練習を済ませて、今は両親に話をしに行ってる頃だろうか。

 私は私で、セドに伝えに向かった。

「失礼します」

「……フィナ、早いな」

「朝早くにすみません、起こしてしまいましたか」

「いや、起床はとっくに済ませていたよ」

「それなら安心しました」

 まだ身支度の終えてない姿に申し訳なさを感じながらも、朝一のセドの姿は初めて見ることもあり少し緊張してしまった。

「それで、どうしたんだ?」

「実はお誘いにきたんです」

「誘い?」

「ギルバートさんのご息女であるナターシャさんに、実はここ数日で舞踊を軽く教えまして」

「教えたのか、フィナが」

「はい。まだ学生で未熟者ではありますが、最善を尽くさせていただきました。呑み込みの良い、とても才能ある子でしたよ」

 そしてこうなった経緯と、これから行う発表会について説明をした。

「なるほどな。それはギルバートも喜ぶだろう」

「そう願っています。それで、よろしければセドも一緒に見守りに行きませんか」

「小さな少女が努力を続けた結果か、とても興味深いな。同行させてもらおうか」

「はい」

 ナターシャにもセドを呼ぶことには了承を得ている。本人曰く、両親の前でやる時点で緊張するからその対象が一人増えようと変わらないのだとか。

「では、また伺いますね」

 準備が必要そうなセドを残して一度部屋に戻ろうとすると、腕を引かれた。

「わっ」

「朝早くからフィナの顔が見れるのはいいな」

「セ、セド。近いですよ」

「駄目か?」

 違う、距離が近いのもあるのだがガウンがはだけているのだ。鍛えられた体が隙間から見えて、とても意識してしまう。

「セド、見えてます……」

 いたたまれなくなって、顔を両手で塞いでしまう。

「………ふっ」

 私の行動に笑みを溢しながら、片手を腰に回した。

「まだまだフィナは初々しいな」

「からかわないでください……!」
 
 楽しそうにしているのが声からわかる。

「……それにしてもフィナ?どうして教えてくれなかったんだ」

「え、何を……あ、その。ギルバートさんに流れてはいけないと思って」

「わからなくはないが……隠し事をされては寂しくなるな」

「は、配慮が足りず申し訳なかったです」

「夫婦になるんだ。なるべく隠し事はしないでくれ?」

「わ、わかりました。わかりましたから……は、離れて」

 どんどん近づいてくるセドに顔が赤くなってしまう。

「あぁ。離れるからフィナは手をどけてくれるか」

「……うぅ」

 あまり赤面を見せたくはないが、仕方なく両手をどけた。

「フィナ、謝罪だけでは寂しいな」

「え……私からはもう、無理です……」

「なら……俺からで良い」

「ま、っ」

 確認を完璧に終えるよりも前に、セドは優しく口づけをした。少しずつ深くなっていき、息をするのが難しくなるものの、しばらく続いたのであった。
 




 

 刺激の強かった朝であることに間違いない。
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