乙女ゲームのヒロインは執事の溺愛ルートから抜け出せない

神那 凛

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episode.85

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翌日私はベッドの中にいた。医師が私の身体を診てくれている。そんなに体調は悪くないのにスチュアートは大袈裟なのだ。

「そうですね、大体わかりました。心配しなくて大丈夫ですよ、なぜなら……」

医師が身体の状態を伝えてくれたのだが、私は驚いてベッドから起き上がってしまった。

「あの、わざわざありがとうございました」

「いえいえ、ではまた来ますので旦那様にも宜しくお伝え下さい」

医師は会釈をして部屋から出ていった。それを見て私はすぐにスチュアートがいる執務室に向かう。

あまり走ってはいけないのについ小走りで急いでしまう。そして執務室の前に着き勢いよくドアを開けるとスチュアートが何か書類に記入している所だった。

「ん?もう診察は済んだの?それにそんなに急いで体調はどうなのかな」

部屋に入るとすぐにスチュアートも立ち上がってこちらに歩いて来てくれた。私はそのまま見上げるように瞳を見つめた。なんだかわからない顔をしていたと思う。

「あのね、赤ちゃん、出来たみたいで……」

私の言葉が終わる前にスチュアートに身体を抱きしられてしまった。

「本当ですか?」

そのままスチュアートの胸の中に抱かれていると鼓動が大きくなってきている気がした。

「うん、体調が悪いのも初期症状みたいで……えっスチュアート泣いてるの?」

「……そうみたいですね、何故だか涙が出ています。すごく嬉しくてなんて言っていいのかわかりません」

スチュアートは私の頭に顔を埋めてきた。私も嬉しいがスチュアートの方がもっと嬉しそうだ。

最初の頃はハッピーエンドにならないと妊娠なんてしないと思っていたけどそうじゃなかったのかもしれない。この世界に転生してスチュアートと付き合えた事がすでにハッピーエンドだった。

みんな自分が主人公の世界で生きているんだからそもそも攻略対象者なんて存在しないのかもしれない。

これはヒロイン転生したけど攻略対象者を選ばず執事と結ばれた私のお話。
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