神殺し革命

薊野義弘

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神の楽園

第2話「至福の時」

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ーNOONー

リーンゴーン……リーンゴーン……

正午になり、それを街中に知らせる街の中心の塔の鐘がなる。

この音はいつ聴いても心に響く音色で飽きる事がない。

街の住民にとってもこの音は心安らぐものだった。

それと同時に、正午はあらゆる仕事の休憩時間に当たるため、誰にとっても至福の時間なのである。

レオナードもそれを楽しみにする者の1人である。

鐘が鳴った瞬間、心が晴れる感覚に包まれた。

「お!正午になったか。」

アドと共に鍛治の仕事をしていたレオナード達は無意識に鐘のある方角へ目がいく。

「いや……仕事に夢中になってると、時間が経つのは早いですね。」

レオナードは手をぐいーっと伸ばして背伸びをする。

「まぁ、鍛治の仕事も面白えからな。じゃ、ちょっくら飯食ってくるわ。アドも一緒にどうだ?」

「そうですね、行きましょうか。」

レオナードは柱のフックに掛けてある紺のコートを着込む。

アドも上着を着て、レオナードと店を出るのだった。

「さて、今日はどこに食事しに行きましょうか?」

「そうだな……なら、前俺が見つけた美味いとこあんだけど、どうだ?」

「どこでも構いませんよ。」

アドはニコッと優しい笑顔を見せる。

“じゃあ、決まったな“と、その店に向かうのだった。

その店に向かう途中、≪ババリーの羽≫と看板に書いてある郵便屋の前を通った時、その店の店主らしき少々洒落た格好の眼鏡を掛けた中年の女性に声を掛けられる。

「ああ、レオナードじゃない。待って、丁度さっきあんた宛に手紙が届いたのよ。」

「あ、ボノーラじゃねえか!で……どこの誰からだ?」

レオナードがそう聞き返すと、店主はずれた眼鏡を直しつつ、手紙を確認する。

「えーと……あら、ウォンロ共和国のイェスリアね。隣の国から届いてるわ。名前は……ジンファって書いてあるわよ?知り合い?」

ウォンロ共和国のイェスリアはユレイジアの姉妹都市である。

レオナードは“ジンファ“と言う名前を聞いた瞬間、身体が無意識にピクッと反応する。

「……ああ、知り合いだ。その手紙ここで受け取っても良いか?」
 
「構わないよ、ここにサインをお願いね。」

店主はレオナードに羽ペンとインクを渡した。

「おう。」

レオナードは筆記体でサラサラッとサインを書き、手紙を受け取った。

その手紙をコートの内ポケットにしまい、再びその店に向かうのだった。

「レオナードくん、さっきの手紙の相手は友人ですか?」

「まぁ、懐かしい友達だよ。近いうちに会いに行くつもりだ。」

そう話しているうちに、目的地に着いた。

建物のあらゆる場所に様々な種類の木を使っていて、色とりどりで非常にお洒落だ。

“なるほど、レオナードくんが気にいるのも納得がいく“と、アドも感心するのだった。

店に入ると、若いウエイトレスが出迎える。

「いらっしゃいませ、何名様ですか?」

「2人だよ。」

「かしこまりました、お席へご案内します。」

と2人を誘導し、窓側の居心地の良さそうな席へ案内してくれた。

2人は席に腰掛け、上着を椅子に掛ける。

椅子に座ると、すぐにウエイトレスがやってくる。

「今、メニューを出しますね。」

と、テーブルに手をかざし、スーッと横にスライドさせる。

すると、テーブルに文字が浮かび、料理の名前が浮かび上がる。

「ほう……美味しそうなものばかりですね。」

「……お、新メニューまであるな。この“スイーツワイン“てなんだ?」

「え、レオナードくん……それお酒じゃないですか?」

アドがそう言うと、ウエイトレスはその飲み物の説明を始めた。

「いいえ、これは“ワイン“とありますが、お酒ではないんです。製造過程で完全にお酒になる前にそこに砂糖やレモン果汁、ヨーグルトなどを加えた飲み物です。ですが、これは15歳以上の方ではないと味が分からないみたいです。あ、もちろん15歳未満の方が飲んでも問題はありませんが……」

どうやらこれはワインに似た飲み物らしい。

とても美味しそうだったため、レオナードは飲む事にした。

「なら、俺そのスイーツワインと、チーズクルトンサラダ、雄牛のデミグラスシチューで頼むよ。」

「なら私はベリーティーと……二枚貝のスープ、星海茸のソテー、あとパンでお願いします。」

「かしこまりました、少々お待ち下さいませ。」

と、ウエイトレスは笑顔で厨房へ向かうのだった。

「この店店員少ないですね……あの子はまだ12歳くらいでしょうし……魔法も使ってましたね。」

アドはこの店に関心を持ちながらも厨房からさっきのウエイトレスが出てくるのを待っていた。

レオナードはそのアドの表情から何かを見抜いた。

「お前もしかしてさっきの子に一目惚れしたの?」

そう聞くと、明らかに動揺していた。

「え……えっ!?な、何…をっ……言ってんですか!?さっき会ったばかりですよ!?」

「なーに言ってんだよ……さっきだって顔真っ赤にしてあの子の顔チラチラ見てたくせに……可愛かったもんなぁ?」

「レオナードくん!!」

アドは更に顔を真っ赤にして取り乱していた。

恐らく図星を突かれて恥ずかしかったのだろう。

そして今の大声で周りの客が“何だ何だ?“こっちに注目した。

「全く……レオナードくんのせいですよ……」

静かにしてしばらくすると、ウエイトレスが料理を運んできた。

それはさっき2人が頼んだものだった。

「おっ!早いな。」

「お待たせしました!スイーツワインにベリーティー、チーズクルトンサラダと雄牛のデミグラスシチューをお持ちしました!すぐに残りの料理もお持ちいたしますので、もう少々お待ち下さい。」

そう言って再び厨房へ向かうのだった。

もうしばらくして残りの料理が運ばれ、2人は絶品の料理に、舌鼓を打つのだった。

食事中のレオナードは、とても行儀が良く、このような店に慣れているようだった。

それに加え、真っ白なセーター、紺色のコートに逆さ反りの月の耳飾りと、非常にお洒落な服装をしているため、この店に見合っている。

この少年が凄腕の鍛冶屋なんて初対面の者にはとても思えないだろう。

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