8 / 13
神の楽園
第2話「至福の時」
しおりを挟む
ーNOONー
リーンゴーン……リーンゴーン……
正午になり、それを街中に知らせる街の中心の塔の鐘がなる。
この音はいつ聴いても心に響く音色で飽きる事がない。
街の住民にとってもこの音は心安らぐものだった。
それと同時に、正午はあらゆる仕事の休憩時間に当たるため、誰にとっても至福の時間なのである。
レオナードもそれを楽しみにする者の1人である。
鐘が鳴った瞬間、心が晴れる感覚に包まれた。
「お!正午になったか。」
アドと共に鍛治の仕事をしていたレオナード達は無意識に鐘のある方角へ目がいく。
「いや……仕事に夢中になってると、時間が経つのは早いですね。」
レオナードは手をぐいーっと伸ばして背伸びをする。
「まぁ、鍛治の仕事も面白えからな。じゃ、ちょっくら飯食ってくるわ。アドも一緒にどうだ?」
「そうですね、行きましょうか。」
レオナードは柱のフックに掛けてある紺のコートを着込む。
アドも上着を着て、レオナードと店を出るのだった。
「さて、今日はどこに食事しに行きましょうか?」
「そうだな……なら、前俺が見つけた美味いとこあんだけど、どうだ?」
「どこでも構いませんよ。」
アドはニコッと優しい笑顔を見せる。
“じゃあ、決まったな“と、その店に向かうのだった。
その店に向かう途中、≪ババリーの羽≫と看板に書いてある郵便屋の前を通った時、その店の店主らしき少々洒落た格好の眼鏡を掛けた中年の女性に声を掛けられる。
「ああ、レオナードじゃない。待って、丁度さっきあんた宛に手紙が届いたのよ。」
「あ、ボノーラじゃねえか!で……どこの誰からだ?」
レオナードがそう聞き返すと、店主はずれた眼鏡を直しつつ、手紙を確認する。
「えーと……あら、ウォンロ共和国のイェスリアね。隣の国から届いてるわ。名前は……ジンファって書いてあるわよ?知り合い?」
ウォンロ共和国のイェスリアはユレイジアの姉妹都市である。
レオナードは“ジンファ“と言う名前を聞いた瞬間、身体が無意識にピクッと反応する。
「……ああ、知り合いだ。その手紙ここで受け取っても良いか?」
「構わないよ、ここにサインをお願いね。」
店主はレオナードに羽ペンとインクを渡した。
「おう。」
レオナードは筆記体でサラサラッとサインを書き、手紙を受け取った。
その手紙をコートの内ポケットにしまい、再びその店に向かうのだった。
「レオナードくん、さっきの手紙の相手は友人ですか?」
「まぁ、懐かしい友達だよ。近いうちに会いに行くつもりだ。」
そう話しているうちに、目的地に着いた。
建物のあらゆる場所に様々な種類の木を使っていて、色とりどりで非常にお洒落だ。
“なるほど、レオナードくんが気にいるのも納得がいく“と、アドも感心するのだった。
店に入ると、若いウエイトレスが出迎える。
「いらっしゃいませ、何名様ですか?」
「2人だよ。」
「かしこまりました、お席へご案内します。」
と2人を誘導し、窓側の居心地の良さそうな席へ案内してくれた。
2人は席に腰掛け、上着を椅子に掛ける。
椅子に座ると、すぐにウエイトレスがやってくる。
「今、メニューを出しますね。」
と、テーブルに手をかざし、スーッと横にスライドさせる。
すると、テーブルに文字が浮かび、料理の名前が浮かび上がる。
「ほう……美味しそうなものばかりですね。」
「……お、新メニューまであるな。この“スイーツワイン“てなんだ?」
「え、レオナードくん……それお酒じゃないですか?」
アドがそう言うと、ウエイトレスはその飲み物の説明を始めた。
「いいえ、これは“ワイン“とありますが、お酒ではないんです。製造過程で完全にお酒になる前にそこに砂糖やレモン果汁、ヨーグルトなどを加えた飲み物です。ですが、これは15歳以上の方ではないと味が分からないみたいです。あ、もちろん15歳未満の方が飲んでも問題はありませんが……」
どうやらこれはワインに似た飲み物らしい。
とても美味しそうだったため、レオナードは飲む事にした。
「なら、俺そのスイーツワインと、チーズクルトンサラダ、雄牛のデミグラスシチューで頼むよ。」
「なら私はベリーティーと……二枚貝のスープ、星海茸のソテー、あとパンでお願いします。」
「かしこまりました、少々お待ち下さいませ。」
と、ウエイトレスは笑顔で厨房へ向かうのだった。
「この店店員少ないですね……あの子はまだ12歳くらいでしょうし……魔法も使ってましたね。」
アドはこの店に関心を持ちながらも厨房からさっきのウエイトレスが出てくるのを待っていた。
レオナードはそのアドの表情から何かを見抜いた。
「お前もしかしてさっきの子に一目惚れしたの?」
そう聞くと、明らかに動揺していた。
「え……えっ!?な、何…をっ……言ってんですか!?さっき会ったばかりですよ!?」
「なーに言ってんだよ……さっきだって顔真っ赤にしてあの子の顔チラチラ見てたくせに……可愛かったもんなぁ?」
「レオナードくん!!」
アドは更に顔を真っ赤にして取り乱していた。
恐らく図星を突かれて恥ずかしかったのだろう。
そして今の大声で周りの客が“何だ何だ?“こっちに注目した。
「全く……レオナードくんのせいですよ……」
静かにしてしばらくすると、ウエイトレスが料理を運んできた。
それはさっき2人が頼んだものだった。
「おっ!早いな。」
「お待たせしました!スイーツワインにベリーティー、チーズクルトンサラダと雄牛のデミグラスシチューをお持ちしました!すぐに残りの料理もお持ちいたしますので、もう少々お待ち下さい。」
そう言って再び厨房へ向かうのだった。
もうしばらくして残りの料理が運ばれ、2人は絶品の料理に、舌鼓を打つのだった。
食事中のレオナードは、とても行儀が良く、このような店に慣れているようだった。
それに加え、真っ白なセーター、紺色のコートに逆さ反りの月の耳飾りと、非常にお洒落な服装をしているため、この店に見合っている。
この少年が凄腕の鍛冶屋なんて初対面の者にはとても思えないだろう。
リーンゴーン……リーンゴーン……
正午になり、それを街中に知らせる街の中心の塔の鐘がなる。
この音はいつ聴いても心に響く音色で飽きる事がない。
街の住民にとってもこの音は心安らぐものだった。
それと同時に、正午はあらゆる仕事の休憩時間に当たるため、誰にとっても至福の時間なのである。
レオナードもそれを楽しみにする者の1人である。
鐘が鳴った瞬間、心が晴れる感覚に包まれた。
「お!正午になったか。」
アドと共に鍛治の仕事をしていたレオナード達は無意識に鐘のある方角へ目がいく。
「いや……仕事に夢中になってると、時間が経つのは早いですね。」
レオナードは手をぐいーっと伸ばして背伸びをする。
「まぁ、鍛治の仕事も面白えからな。じゃ、ちょっくら飯食ってくるわ。アドも一緒にどうだ?」
「そうですね、行きましょうか。」
レオナードは柱のフックに掛けてある紺のコートを着込む。
アドも上着を着て、レオナードと店を出るのだった。
「さて、今日はどこに食事しに行きましょうか?」
「そうだな……なら、前俺が見つけた美味いとこあんだけど、どうだ?」
「どこでも構いませんよ。」
アドはニコッと優しい笑顔を見せる。
“じゃあ、決まったな“と、その店に向かうのだった。
その店に向かう途中、≪ババリーの羽≫と看板に書いてある郵便屋の前を通った時、その店の店主らしき少々洒落た格好の眼鏡を掛けた中年の女性に声を掛けられる。
「ああ、レオナードじゃない。待って、丁度さっきあんた宛に手紙が届いたのよ。」
「あ、ボノーラじゃねえか!で……どこの誰からだ?」
レオナードがそう聞き返すと、店主はずれた眼鏡を直しつつ、手紙を確認する。
「えーと……あら、ウォンロ共和国のイェスリアね。隣の国から届いてるわ。名前は……ジンファって書いてあるわよ?知り合い?」
ウォンロ共和国のイェスリアはユレイジアの姉妹都市である。
レオナードは“ジンファ“と言う名前を聞いた瞬間、身体が無意識にピクッと反応する。
「……ああ、知り合いだ。その手紙ここで受け取っても良いか?」
「構わないよ、ここにサインをお願いね。」
店主はレオナードに羽ペンとインクを渡した。
「おう。」
レオナードは筆記体でサラサラッとサインを書き、手紙を受け取った。
その手紙をコートの内ポケットにしまい、再びその店に向かうのだった。
「レオナードくん、さっきの手紙の相手は友人ですか?」
「まぁ、懐かしい友達だよ。近いうちに会いに行くつもりだ。」
そう話しているうちに、目的地に着いた。
建物のあらゆる場所に様々な種類の木を使っていて、色とりどりで非常にお洒落だ。
“なるほど、レオナードくんが気にいるのも納得がいく“と、アドも感心するのだった。
店に入ると、若いウエイトレスが出迎える。
「いらっしゃいませ、何名様ですか?」
「2人だよ。」
「かしこまりました、お席へご案内します。」
と2人を誘導し、窓側の居心地の良さそうな席へ案内してくれた。
2人は席に腰掛け、上着を椅子に掛ける。
椅子に座ると、すぐにウエイトレスがやってくる。
「今、メニューを出しますね。」
と、テーブルに手をかざし、スーッと横にスライドさせる。
すると、テーブルに文字が浮かび、料理の名前が浮かび上がる。
「ほう……美味しそうなものばかりですね。」
「……お、新メニューまであるな。この“スイーツワイン“てなんだ?」
「え、レオナードくん……それお酒じゃないですか?」
アドがそう言うと、ウエイトレスはその飲み物の説明を始めた。
「いいえ、これは“ワイン“とありますが、お酒ではないんです。製造過程で完全にお酒になる前にそこに砂糖やレモン果汁、ヨーグルトなどを加えた飲み物です。ですが、これは15歳以上の方ではないと味が分からないみたいです。あ、もちろん15歳未満の方が飲んでも問題はありませんが……」
どうやらこれはワインに似た飲み物らしい。
とても美味しそうだったため、レオナードは飲む事にした。
「なら、俺そのスイーツワインと、チーズクルトンサラダ、雄牛のデミグラスシチューで頼むよ。」
「なら私はベリーティーと……二枚貝のスープ、星海茸のソテー、あとパンでお願いします。」
「かしこまりました、少々お待ち下さいませ。」
と、ウエイトレスは笑顔で厨房へ向かうのだった。
「この店店員少ないですね……あの子はまだ12歳くらいでしょうし……魔法も使ってましたね。」
アドはこの店に関心を持ちながらも厨房からさっきのウエイトレスが出てくるのを待っていた。
レオナードはそのアドの表情から何かを見抜いた。
「お前もしかしてさっきの子に一目惚れしたの?」
そう聞くと、明らかに動揺していた。
「え……えっ!?な、何…をっ……言ってんですか!?さっき会ったばかりですよ!?」
「なーに言ってんだよ……さっきだって顔真っ赤にしてあの子の顔チラチラ見てたくせに……可愛かったもんなぁ?」
「レオナードくん!!」
アドは更に顔を真っ赤にして取り乱していた。
恐らく図星を突かれて恥ずかしかったのだろう。
そして今の大声で周りの客が“何だ何だ?“こっちに注目した。
「全く……レオナードくんのせいですよ……」
静かにしてしばらくすると、ウエイトレスが料理を運んできた。
それはさっき2人が頼んだものだった。
「おっ!早いな。」
「お待たせしました!スイーツワインにベリーティー、チーズクルトンサラダと雄牛のデミグラスシチューをお持ちしました!すぐに残りの料理もお持ちいたしますので、もう少々お待ち下さい。」
そう言って再び厨房へ向かうのだった。
もうしばらくして残りの料理が運ばれ、2人は絶品の料理に、舌鼓を打つのだった。
食事中のレオナードは、とても行儀が良く、このような店に慣れているようだった。
それに加え、真っ白なセーター、紺色のコートに逆さ反りの月の耳飾りと、非常にお洒落な服装をしているため、この店に見合っている。
この少年が凄腕の鍛冶屋なんて初対面の者にはとても思えないだろう。
0
あなたにおすすめの小説
ため息ひとつ――王宮に散る花びらのように
柴田はつみ
恋愛
「離縁を、お願いしたいのです」
笑顔で、震えずに、エレナはそう言った。
夫は言葉を失った。泣いてくれれば、怒ってくれれば、まだ受け止め方があった。しかしあの静けさは、エレナがもう十分に泣き終わった後の顔だと、ヴィクトルにはわかった。
幼なじみと結ばれた三年間。すれ違いは静かに始まり、深紅のドレスの令嬢によって加速した。ため息を飲み込み、完璧な微笑みを保ち続けた公爵夫人が、最後に選んだのは――。
王宮に散る花びらのような、夫婦の崩壊と再生の物語。
いつか優しく終わらせてあげるために。
イチイ アキラ
恋愛
初夜の最中。王子は死んだ。
犯人は誰なのか。
妃となった妹を虐げていた姉か。それとも……。
12話くらいからが本編です。そこに至るまでもじっくりお楽しみください。
結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。
短編)どうぞ、勝手に滅んでください。
黑野羊
恋愛
二度も捨てられた聖女です。真実の愛を見つけたので、国は救いません。
あらすじ)
大陸中央にあるルオーゴ王国で、国を守る結界を維持してきた聖女ロザリア。
政略のため王太子と婚約していた彼女は、突如『真の聖女』が現れたとして婚約を破棄され、聖女の座を追われてしまう。さらに、代わりに婚姻しろと命じられた聖騎士からも拒絶され、実家にも見捨てられたロザリアは、『最果ての修道院』へと追放された。
けれど彼女はそこで、地位や栄光、贅沢などとはほど遠い、無条件に寄り添ってくれる『真実の愛』と穏やかな日々を手にいれる。
やがて聖女を失った王国は、崩壊へ向かっていき――。
ーーー
※カクヨム、なろうにも掲載しています
あなたが後悔しても、私の愛はもう戻りません
藤原遊
恋愛
婚約者のアルベルトは、優しい人だった。
ただ――いつも、私より優先する存在がいただけで。
「君は分かってくれると思っていた」
その一言で、リーシェは気づいてしまう。
私は、最初から選ばれていなかったのだと。
これは、奪われた恋を取り戻す物語ではない。
後悔する彼と、もう戻らないと決めた私、
そして“私を選ぶ人”に出会うまでの、静かな恋の終わりと始まりの物語。
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる