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18話 メッセージ
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【side:千景】
年明け、実家へ久しぶりに帰省した。
兄貴の家族も来ていたので、一歳半の甥っ子の拓真とも久しぶりに会う。
「拓真、大きくなったなー!覚えてるか?ちーにぃちゃんだぞー」
一歳半の拓真はまだしゃべれないけど、俺のことは覚えていたらしく、奥さんの千里さんの腕の中から両手を伸ばしている。
拓真が可愛くて、自然と笑顔になってしまう。
小さな拓真を抱っこすると……
「ちー」
「え?!俺の名前しゃべれんの?!可愛いー!」
すぐ隣にいた兄貴の尚人にも、
「顔がデレデレだぞー」と、言われた。
「いや、これは仕方ないだろ!くそー。拓真、マジ可愛いいなー!」
今日は、母親が住んでいる実家へ皆んなで集まった。
うちの両親は幼い頃に離婚しているから、父親の方へは別日に行くことになっている。
それぞれの家に行けるくらいには良い関係を築けている。
◇
──久しぶりの家族の再会。
夕食も食べ終わり、奥さんの千里さんが、拓真を寝かしつけに部屋を出た。
兄貴と一緒にソファに座りながらビールを飲んでいたときに「まだ飲むの?」と、母に聞かれた。
「兄貴、どうする?まだ飲む?」
「そうだなー、もう少し飲むか」
「俺たち、まだ起きてるわー」
「はいはい、じゃあ軽く片付けておいてね」
そう言って母親は部屋を出た。
何となく付いているテレビの音の中、久しぶりに兄貴と酒を飲む。
特に会話も無く、缶の飲み口に口を付けながらただボーっとしていた。
程よく酔いが回り、最近の出来事と、昔の記憶が交互に短くフラッシュバックする。
──その全ては、ツキでいっぱいだった。
「……なぁ兄貴」
「ん?どした?」
「……俺、都希くんに会ったわ……」
少し間を開けてから「……いつ?」と、聞かれた。
「あいつ、元気にしてた?」
「うん。変わってなかったよ」
「そっか……」
兄貴の顔を見なくても、その返事の声色から表情が分かってしまう。
けど、兄貴が今、都希くんに対してどんな気持ちでいるのかは分からない。
「もし、また会うことがあったら宜しく言っといてよ」
「……わかった」
兄貴からは、過去を懐かしむような声がした。
(「兄貴がよろしくって言ってたよ……」なんて、言えるはずも無い。……だって、俺が弟だってことすら言えてないんだから……)
「わかった」何て言ったくせに、本当のことを言えない現実に胸がザワついた。
……それ以上、兄貴とは都希くんの話をしなかった。
◇
久しぶりに、実家の自分のベッドで眠る。
ツキに……無性に会いたくなった。
スマホを手に取り、アプリを開くとすぐに出て来る『ツキ』の名前をタップする。
今までのメッセージのやり取りを眺めた。
(全部、返事みじかっ)
素っ気ないツキからの返信が、今更ながら笑えた。
0時も回り、遅い時間だと分かっていたけど、新年の挨拶をまだ送っていなかったことをダシに《今年もよろしく》とだけ送った。
すると、すぐに既読が付いた。
予想外のことに驚いていると、可愛い祈願新年のスタンプの後に、同じように《よろしく》と返信が来た。
たったそれだけのことなのに、酔いが回っているせいなのか、唐突に涙が溢れそうになった。
《次はいつ会える?》
そう送ると《今日》と返事が来た。
《夜そっち行く》
《分かった》
すぐに会う約束が出来たことが幸せで、早く時間が過ぎ去って、明るくなって、すぐに暗くなって欲しくなった。
──ツキに会える。
それだけで、胸が焼けるように熱くなった。
◇
朝になり、「俺が拓真見てるからたまにはデートしてこいよ!」と兄貴達に声を掛けて甥っ子の拓真と家で遊んだ。
(都希くんの子どもだったら絶対に溺愛しちゃうな……まあ、産めないけど)
そんな不可能な妄想をしてしまうくらい、夜が楽しみで仕方なかった。
◇
お昼寝の時間、拓真は兄貴達がいないことを寂しがって愚図ってしまい、母親に手伝ってもらいながら、なんとか寝かしつけた。
(俺って無力だ。ちびっこ一人でこんなに大変なのに、ツキは保育園で働いてるのすげーな)
拓真の寝顔を見ながら、ツキのことばかり考えてしまっていた。
《拓真ねたよー》
兄貴にメッセージを送る。
《ありがとな》
すぐに返事が来た。
◇
「俺、用事出来たから帰るよ!」
「随分急ね。またゴールデンウィークにでも顔見せなさいね」と言われた。
「はいはい、気が向いたらね」
帰り際、「千景くん、拓真と遊んでくれてありがと!」
「千景、またな」
兄貴と千里さんに声をかけてもらい、兄貴に抱っこされながら拓真も手を振ってくれた。
あの頃と変わらない兄貴の笑顔が見える。
拓真とバイバイのタッチをしてから「じゃ、またな」と言って玄関のドアを閉め、大好きな人の元へと急いだ。
年明け、実家へ久しぶりに帰省した。
兄貴の家族も来ていたので、一歳半の甥っ子の拓真とも久しぶりに会う。
「拓真、大きくなったなー!覚えてるか?ちーにぃちゃんだぞー」
一歳半の拓真はまだしゃべれないけど、俺のことは覚えていたらしく、奥さんの千里さんの腕の中から両手を伸ばしている。
拓真が可愛くて、自然と笑顔になってしまう。
小さな拓真を抱っこすると……
「ちー」
「え?!俺の名前しゃべれんの?!可愛いー!」
すぐ隣にいた兄貴の尚人にも、
「顔がデレデレだぞー」と、言われた。
「いや、これは仕方ないだろ!くそー。拓真、マジ可愛いいなー!」
今日は、母親が住んでいる実家へ皆んなで集まった。
うちの両親は幼い頃に離婚しているから、父親の方へは別日に行くことになっている。
それぞれの家に行けるくらいには良い関係を築けている。
◇
──久しぶりの家族の再会。
夕食も食べ終わり、奥さんの千里さんが、拓真を寝かしつけに部屋を出た。
兄貴と一緒にソファに座りながらビールを飲んでいたときに「まだ飲むの?」と、母に聞かれた。
「兄貴、どうする?まだ飲む?」
「そうだなー、もう少し飲むか」
「俺たち、まだ起きてるわー」
「はいはい、じゃあ軽く片付けておいてね」
そう言って母親は部屋を出た。
何となく付いているテレビの音の中、久しぶりに兄貴と酒を飲む。
特に会話も無く、缶の飲み口に口を付けながらただボーっとしていた。
程よく酔いが回り、最近の出来事と、昔の記憶が交互に短くフラッシュバックする。
──その全ては、ツキでいっぱいだった。
「……なぁ兄貴」
「ん?どした?」
「……俺、都希くんに会ったわ……」
少し間を開けてから「……いつ?」と、聞かれた。
「あいつ、元気にしてた?」
「うん。変わってなかったよ」
「そっか……」
兄貴の顔を見なくても、その返事の声色から表情が分かってしまう。
けど、兄貴が今、都希くんに対してどんな気持ちでいるのかは分からない。
「もし、また会うことがあったら宜しく言っといてよ」
「……わかった」
兄貴からは、過去を懐かしむような声がした。
(「兄貴がよろしくって言ってたよ……」なんて、言えるはずも無い。……だって、俺が弟だってことすら言えてないんだから……)
「わかった」何て言ったくせに、本当のことを言えない現実に胸がザワついた。
……それ以上、兄貴とは都希くんの話をしなかった。
◇
久しぶりに、実家の自分のベッドで眠る。
ツキに……無性に会いたくなった。
スマホを手に取り、アプリを開くとすぐに出て来る『ツキ』の名前をタップする。
今までのメッセージのやり取りを眺めた。
(全部、返事みじかっ)
素っ気ないツキからの返信が、今更ながら笑えた。
0時も回り、遅い時間だと分かっていたけど、新年の挨拶をまだ送っていなかったことをダシに《今年もよろしく》とだけ送った。
すると、すぐに既読が付いた。
予想外のことに驚いていると、可愛い祈願新年のスタンプの後に、同じように《よろしく》と返信が来た。
たったそれだけのことなのに、酔いが回っているせいなのか、唐突に涙が溢れそうになった。
《次はいつ会える?》
そう送ると《今日》と返事が来た。
《夜そっち行く》
《分かった》
すぐに会う約束が出来たことが幸せで、早く時間が過ぎ去って、明るくなって、すぐに暗くなって欲しくなった。
──ツキに会える。
それだけで、胸が焼けるように熱くなった。
◇
朝になり、「俺が拓真見てるからたまにはデートしてこいよ!」と兄貴達に声を掛けて甥っ子の拓真と家で遊んだ。
(都希くんの子どもだったら絶対に溺愛しちゃうな……まあ、産めないけど)
そんな不可能な妄想をしてしまうくらい、夜が楽しみで仕方なかった。
◇
お昼寝の時間、拓真は兄貴達がいないことを寂しがって愚図ってしまい、母親に手伝ってもらいながら、なんとか寝かしつけた。
(俺って無力だ。ちびっこ一人でこんなに大変なのに、ツキは保育園で働いてるのすげーな)
拓真の寝顔を見ながら、ツキのことばかり考えてしまっていた。
《拓真ねたよー》
兄貴にメッセージを送る。
《ありがとな》
すぐに返事が来た。
◇
「俺、用事出来たから帰るよ!」
「随分急ね。またゴールデンウィークにでも顔見せなさいね」と言われた。
「はいはい、気が向いたらね」
帰り際、「千景くん、拓真と遊んでくれてありがと!」
「千景、またな」
兄貴と千里さんに声をかけてもらい、兄貴に抱っこされながら拓真も手を振ってくれた。
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