21 / 22
20話 初めてのお揃い sideジュリ
しおりを挟む
【side:ジュリ】
クリスマスになると、働いているお店のイベントと重なっちゃうし、忙しくなる前にツキと久しぶりにデートをする約束をした。
ツキは、私からの誘いを優先してくれる。
──でも
ここ最近、顔色が悪いことや、会ってもエッチが出来ないことが多い。
今までそんなこと無かったのに。
ツキに、何か起きてるの……?
ツキが申し訳なさそうに、口ごもりながら話してくれる内容は、今あまり体調が良く無いこと……あと、事情があって、違う人を優先しなくてはいけないことだった。
このセフレという関係の中で知ったツキのこと。
2人でした約束。
【ツキのセフレには嫉妬しないこと】
ツキは眠る為に私を使う。
私も寂しさを埋める為にツキを使っている。
でも、私とツキの違いは、ツキには私以外にも一緒に寝る相手がいること。
気持ち悪いとか思わない。
私だって他に相手がいても良いかと思うけど、いないだけだし、正直、清廉潔白に好きな相手を想い続けるのは辛い。
だからその寂しさをツキという人が解消してくれている。
ただそれだけ。
友達以上、恋人未満のようなセフレ関係。
私達はセフレであり協力者同士の関係。
◇
ツキと身体の関係はあるけれど、私の本命は違う人。
好きな相手はお客さんだ。
彼は1ヵ月に数回しか来ない。
──そして左手の薬指には指輪をしている……
その指輪を見つけた瞬間、笑うしかなかった。
私の恋は、最初から『参加賞』すらないゲームだった。
思い通りに進まない恋愛だとしても、良いとすら思えるくらい「好き」だと思った。
枕は誰ともしていない。
むしろ、私は可愛いから、もとからそんなことをする必要が無い。
そこら辺の男達よりは確実に稼いでいるし、仕事へのプライドもある。
私にはツキが傍にいる。
ツキに会ったあの日から、初めは似たような孤独を持つ人間同士だった。
だけど今はそれだけじゃない……ツキをとても大切な存在に感じている。
始めは、全く乗り気じゃなかったツキを無理やりセフレにした負目が正直あった。
でも彼と関係を持つにつれて、私の我儘を受け入れてくれた綺麗で寂しい人を甘やかしてあげたい気持ちになった。
ツキ、大好きだよ。
どんな貴方にも、ずっと、ずーっと好きを言葉で伝えるよ。
◇
待ち合わせ場所へ着くと、私がコーディネートした綺麗めカジュアルな服装でスマホをいじりながらツキが立っていた。
(あ、ゲームしてる)
ツキを見つけただけで顔がほころんだ。
ヒマさえあればゲームをしてるけど、今では立ち姿だけでわかってしまう。
チラチラ通り過ぎる人たちに見られているのも全く気にする様子も無く、パズルゲームに夢中になっているツキに近づきながらファッションチェック。
今日の髪型は一つ結びなのね……
普通の一つ結びすら愛しい。
普段のバーの制服姿はカチッとスタイルなのにピアスは派手カッコ良い。
でも外で会う時は私に合わせてシンプルな物を付けてくれる。
(遠くからでも分かるこのカッコ可愛さ!さすが私のツキ♡)
「ツーキ、お待たせ♡」
外で会えることが嬉しくて声が弾んだ。
「うん。おはよ。今日はどこ行きたいの?」
よし、今日は顔色も良い。
ここ最近、ツキはちゃんと質問をしてくれるようになった。
今までは殆ど無かったのに。
そんな些細なことでもツキの変化が嬉しい。
「今月はクリスマスだし、今日はお買い物デートをしまぁーす♡クリスマス本番はイベントで忙しくなっちゃうから、その前に1日お休みもらったの!」
とびきりの笑顔で答えた。
「わかった。ジュリの好きなとこに行こ」
(普段はボーっとしているのに、私のこと考えてくれるツキ好き!)
ツキと手を繋ぎ、ウキウキしながら目的のお店へ向かった。
◇
洋服屋さんに入るだけなのに、すっごく楽しい。
「ねぇ、これどう?」
「可愛いよ」
洋服を自分に当てながらツキへ見せても「可愛い」としか言わない。
以前、一緒に買い物に来た時と同じ反応だ。
うーん、やっぱり失敗。
確かに自分に似合う物しか『どう?』とは聞いていないけど……
元気が無かったツキをどうにかツキを喜ばせてあげたかった。
──!
神様のお告げのような閃きが私の中に舞い降りてきた。
「ねぇねぇ、何かお揃いのやつ買おう!」
「うん。いいよ」
「やったぁー!お揃いってまだ無いもんね!」
「──?まぁ、そうだね」
「えーっと、あっ!パジャマとかどう??一緒にいる時用♡」
「じゃあ、そうしようか」
私は知っている。
ツキはふわふわサラサラの手触りが好きなのだ。
ツキが気持ちよく眠れるように、ツキの自宅の毛布は私が揃えた。
途中カフェに寄ってランチ休憩。
ツキと一緒にサンドイッチを食べる。
「ジュリ、口の横にソース付いてるよ」
紙ナフキンで拭いてくれた。
「ありがとう♡ツキ、なんかお兄ちゃんみたい」
「ふふ、僕の方がだいぶ歳上だから確かにお兄ちゃんだね」
「お兄ちゃんとデートとか憧れてたの!」
「ジュリが楽しそうで良かった」
「ツキは?楽しい?」
「楽しいよ」
「良かったー♡」
ツキが柔らかく微笑んだ。
◇
「あー美味しかった♡次に行こー!」
手を繋ぎながら人気ブランドショップへ入っていく。
店内に入った私の目に飛び込んできたのは、最新の頬ずりしたくなる柔らかさがポイントのルームカーディガンだった。
丁度ネイビーとベージュとグレージュ、ピンクのカラー展開がされている。
ツキがこれを着ている姿を想像してみると似合い過ぎてキュンとした。
絶対にこれだと思いつつ、ツキにちょっとしたイタズラをしてみた。
「ねぇツキ、ツキにはこれが似合うよ!」
勢いよくド派手なヒョウ柄のパジャマをツキの胸に当てがった。
「え?これ?」
珍しく驚いた表情のツキになった。
「ウソだよー」
「ははっ」
ツキが声を上げて笑っていた。
「ツキ!これ!どう?!」
「あ、気持ちいい」
しっかり両手でなでなでしている、そんなツキの仕草で年上に見えなかったりする。
(あ、これ気に入ったやつだわ)
確信した。
「これにしたい!」
「そうしよ」
ツキもやはり即決だった。
購入したのはツキがネイビーで、私がピンク。
「帰ったら一緒に着てみたい!」
「うん」
プレゼントはツキが買ってくれた。
「“お兄ちゃんからのいつものお礼”」そう言って笑っていた。
◇
部屋に帰り、買ったばかりのカーディガンを一緒に着てみる。
「お揃いー♡嬉しー♡」
そう言いながらツキに抱き付くと「そうだね。」と微笑んでくれた。
「次は一緒に着ようね。私は毎日着るけど!」
「うん」
(ツキ、大好き)
「イベント終わるまでツキに会えない…。でもお客さんもたくさん来てくれるから寂しいけど頑張るね!稼ぐぞぉーーー!!!」
「僕もバーでイベントだよ。お互い頑張ろうね」
ツキは、抱きついたままで気合いを入れている私の頭をポンポンと、撫でてくれた。
いつも疲れた顔をしているツキが今日はたくさん笑ってくれている。
それだけで最高のクリスマスプレゼントだった。
──ツキと抱き合う特別な時間。
いつまでも笑っていて欲しいと思った夜だった。
◇
「ツキぃーまたねー」
そう言って玄関でツキを見送った。
(ありがと)
次に会う時だって、最高の笑顔で迎えたい。
「さぁ、お仕事、お仕事!」
そう自分を鼓舞して、有限の時間を楽しみに来るお客様の為に、私はいつもの可愛いジュリに変身する。
クリスマスになると、働いているお店のイベントと重なっちゃうし、忙しくなる前にツキと久しぶりにデートをする約束をした。
ツキは、私からの誘いを優先してくれる。
──でも
ここ最近、顔色が悪いことや、会ってもエッチが出来ないことが多い。
今までそんなこと無かったのに。
ツキに、何か起きてるの……?
ツキが申し訳なさそうに、口ごもりながら話してくれる内容は、今あまり体調が良く無いこと……あと、事情があって、違う人を優先しなくてはいけないことだった。
このセフレという関係の中で知ったツキのこと。
2人でした約束。
【ツキのセフレには嫉妬しないこと】
ツキは眠る為に私を使う。
私も寂しさを埋める為にツキを使っている。
でも、私とツキの違いは、ツキには私以外にも一緒に寝る相手がいること。
気持ち悪いとか思わない。
私だって他に相手がいても良いかと思うけど、いないだけだし、正直、清廉潔白に好きな相手を想い続けるのは辛い。
だからその寂しさをツキという人が解消してくれている。
ただそれだけ。
友達以上、恋人未満のようなセフレ関係。
私達はセフレであり協力者同士の関係。
◇
ツキと身体の関係はあるけれど、私の本命は違う人。
好きな相手はお客さんだ。
彼は1ヵ月に数回しか来ない。
──そして左手の薬指には指輪をしている……
その指輪を見つけた瞬間、笑うしかなかった。
私の恋は、最初から『参加賞』すらないゲームだった。
思い通りに進まない恋愛だとしても、良いとすら思えるくらい「好き」だと思った。
枕は誰ともしていない。
むしろ、私は可愛いから、もとからそんなことをする必要が無い。
そこら辺の男達よりは確実に稼いでいるし、仕事へのプライドもある。
私にはツキが傍にいる。
ツキに会ったあの日から、初めは似たような孤独を持つ人間同士だった。
だけど今はそれだけじゃない……ツキをとても大切な存在に感じている。
始めは、全く乗り気じゃなかったツキを無理やりセフレにした負目が正直あった。
でも彼と関係を持つにつれて、私の我儘を受け入れてくれた綺麗で寂しい人を甘やかしてあげたい気持ちになった。
ツキ、大好きだよ。
どんな貴方にも、ずっと、ずーっと好きを言葉で伝えるよ。
◇
待ち合わせ場所へ着くと、私がコーディネートした綺麗めカジュアルな服装でスマホをいじりながらツキが立っていた。
(あ、ゲームしてる)
ツキを見つけただけで顔がほころんだ。
ヒマさえあればゲームをしてるけど、今では立ち姿だけでわかってしまう。
チラチラ通り過ぎる人たちに見られているのも全く気にする様子も無く、パズルゲームに夢中になっているツキに近づきながらファッションチェック。
今日の髪型は一つ結びなのね……
普通の一つ結びすら愛しい。
普段のバーの制服姿はカチッとスタイルなのにピアスは派手カッコ良い。
でも外で会う時は私に合わせてシンプルな物を付けてくれる。
(遠くからでも分かるこのカッコ可愛さ!さすが私のツキ♡)
「ツーキ、お待たせ♡」
外で会えることが嬉しくて声が弾んだ。
「うん。おはよ。今日はどこ行きたいの?」
よし、今日は顔色も良い。
ここ最近、ツキはちゃんと質問をしてくれるようになった。
今までは殆ど無かったのに。
そんな些細なことでもツキの変化が嬉しい。
「今月はクリスマスだし、今日はお買い物デートをしまぁーす♡クリスマス本番はイベントで忙しくなっちゃうから、その前に1日お休みもらったの!」
とびきりの笑顔で答えた。
「わかった。ジュリの好きなとこに行こ」
(普段はボーっとしているのに、私のこと考えてくれるツキ好き!)
ツキと手を繋ぎ、ウキウキしながら目的のお店へ向かった。
◇
洋服屋さんに入るだけなのに、すっごく楽しい。
「ねぇ、これどう?」
「可愛いよ」
洋服を自分に当てながらツキへ見せても「可愛い」としか言わない。
以前、一緒に買い物に来た時と同じ反応だ。
うーん、やっぱり失敗。
確かに自分に似合う物しか『どう?』とは聞いていないけど……
元気が無かったツキをどうにかツキを喜ばせてあげたかった。
──!
神様のお告げのような閃きが私の中に舞い降りてきた。
「ねぇねぇ、何かお揃いのやつ買おう!」
「うん。いいよ」
「やったぁー!お揃いってまだ無いもんね!」
「──?まぁ、そうだね」
「えーっと、あっ!パジャマとかどう??一緒にいる時用♡」
「じゃあ、そうしようか」
私は知っている。
ツキはふわふわサラサラの手触りが好きなのだ。
ツキが気持ちよく眠れるように、ツキの自宅の毛布は私が揃えた。
途中カフェに寄ってランチ休憩。
ツキと一緒にサンドイッチを食べる。
「ジュリ、口の横にソース付いてるよ」
紙ナフキンで拭いてくれた。
「ありがとう♡ツキ、なんかお兄ちゃんみたい」
「ふふ、僕の方がだいぶ歳上だから確かにお兄ちゃんだね」
「お兄ちゃんとデートとか憧れてたの!」
「ジュリが楽しそうで良かった」
「ツキは?楽しい?」
「楽しいよ」
「良かったー♡」
ツキが柔らかく微笑んだ。
◇
「あー美味しかった♡次に行こー!」
手を繋ぎながら人気ブランドショップへ入っていく。
店内に入った私の目に飛び込んできたのは、最新の頬ずりしたくなる柔らかさがポイントのルームカーディガンだった。
丁度ネイビーとベージュとグレージュ、ピンクのカラー展開がされている。
ツキがこれを着ている姿を想像してみると似合い過ぎてキュンとした。
絶対にこれだと思いつつ、ツキにちょっとしたイタズラをしてみた。
「ねぇツキ、ツキにはこれが似合うよ!」
勢いよくド派手なヒョウ柄のパジャマをツキの胸に当てがった。
「え?これ?」
珍しく驚いた表情のツキになった。
「ウソだよー」
「ははっ」
ツキが声を上げて笑っていた。
「ツキ!これ!どう?!」
「あ、気持ちいい」
しっかり両手でなでなでしている、そんなツキの仕草で年上に見えなかったりする。
(あ、これ気に入ったやつだわ)
確信した。
「これにしたい!」
「そうしよ」
ツキもやはり即決だった。
購入したのはツキがネイビーで、私がピンク。
「帰ったら一緒に着てみたい!」
「うん」
プレゼントはツキが買ってくれた。
「“お兄ちゃんからのいつものお礼”」そう言って笑っていた。
◇
部屋に帰り、買ったばかりのカーディガンを一緒に着てみる。
「お揃いー♡嬉しー♡」
そう言いながらツキに抱き付くと「そうだね。」と微笑んでくれた。
「次は一緒に着ようね。私は毎日着るけど!」
「うん」
(ツキ、大好き)
「イベント終わるまでツキに会えない…。でもお客さんもたくさん来てくれるから寂しいけど頑張るね!稼ぐぞぉーーー!!!」
「僕もバーでイベントだよ。お互い頑張ろうね」
ツキは、抱きついたままで気合いを入れている私の頭をポンポンと、撫でてくれた。
いつも疲れた顔をしているツキが今日はたくさん笑ってくれている。
それだけで最高のクリスマスプレゼントだった。
──ツキと抱き合う特別な時間。
いつまでも笑っていて欲しいと思った夜だった。
◇
「ツキぃーまたねー」
そう言って玄関でツキを見送った。
(ありがと)
次に会う時だって、最高の笑顔で迎えたい。
「さぁ、お仕事、お仕事!」
そう自分を鼓舞して、有限の時間を楽しみに来るお客様の為に、私はいつもの可愛いジュリに変身する。
0
あなたにおすすめの小説
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
ハンターがマッサージ?で堕とされちゃう話
あずき
BL
【登場人物】ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ハンター ライト(17)
???? アル(20)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
後半のキャラ崩壊は許してください;;
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる