318 / 500
第一部「ハルコン少年期」
37 研究所の長い一日_16
しおりを挟む
* *
「カルソン教授、どうやらウイルスの除去に成功できたようです。なので、我々もこの重苦しい防護服を脱ぐとしましょう!」
「了解です」
ハルコンの言葉を聞き、その場のスタッフ達は互いに頷き合うと、それぞれ防護服を脱ぎ始めた。
「おぉっ、ホンとに子供だったのか!?」
すると、隊商のリーダー格の男が、こちらを見て驚いた表情を浮かべている。
「えぇ、まぁ。それが普通の反応ですよね?」
ハルコンもまた照れ笑いをして応じると、患者達は皆、ホッと安堵の表情を浮かべた。
さて、……と。
ハルコンは、当初の指示どおりにファルマに患者達全員に触れさせると、リモートで簡易的な診断を行った。
そうすることで、ハルコンの頭の中には、MRIで検査したように、様々な角度からの人体の断面図のイメージで、その患者の全身をサーチすることができるのだ。
しかも、体内成分の略式表記までされるので、とても心強いのだ。
うん、パーフェクト!
ちゃんとハルコンAが効いていて、全身隈なく見たけど、病気の気配すらないねっ!
思わずハルコンがニンマリと笑ったところ、毎度ながらカルソン教授も冷ややかに「ククッ」と笑った。
「おやぁ、カルソン教授。どうしましたか?」
「いいえぇ、所長が何をどうやったか、あれだけの診断を行ってしまうのに、仕草がまだまだ子供っぽいのがとてもおかしいものでして、……」
「そうですよぉ。私はまだ子供ですからねぇ」
「クッ、ククッ」
「プッ、アハハハ」
そう言って、お互いに笑い合う。
すると、先ほどまで特別隔離室の雰囲気はとても緊張していたにも拘らず、あっという間に穏やかに和み始めた。
「ハルコン所長、この度は大変感謝します。貴重なハルコンAまで使って頂き、言葉もありません!」
隊商のリーダー格の男が胸元に手を当てて軽く会釈すると、他のメンバー11人も同様に頭を下げた。
その際、「ありがてぇありがてぇ、……」とか「これで、サスパニアに帰ることができる!」とホッとした様子だ。仲間内で笑顔で話し合っているのを見て、ハルコンは今回の件も無事解決してよかったと思った。
そんな感じでホッと胸を撫で下ろしていると、ファルマがススッと傍に寄ってきて、顔を近づけてくる。
「今回も、ちゃんと回収できましたか?」
耳元にそう囁いてくるため、ハルコンはこくりと頷く。
「いつもありがとう、ファルマさん!」
「はいっ」
ハルコンがニッコリと微笑むと、ファルマもまた上機嫌な様子で鼻歌を歌いながら、診断に使った器材を手際よく片付け始めた。
「カルソン教授、どうやらウイルスの除去に成功できたようです。なので、我々もこの重苦しい防護服を脱ぐとしましょう!」
「了解です」
ハルコンの言葉を聞き、その場のスタッフ達は互いに頷き合うと、それぞれ防護服を脱ぎ始めた。
「おぉっ、ホンとに子供だったのか!?」
すると、隊商のリーダー格の男が、こちらを見て驚いた表情を浮かべている。
「えぇ、まぁ。それが普通の反応ですよね?」
ハルコンもまた照れ笑いをして応じると、患者達は皆、ホッと安堵の表情を浮かべた。
さて、……と。
ハルコンは、当初の指示どおりにファルマに患者達全員に触れさせると、リモートで簡易的な診断を行った。
そうすることで、ハルコンの頭の中には、MRIで検査したように、様々な角度からの人体の断面図のイメージで、その患者の全身をサーチすることができるのだ。
しかも、体内成分の略式表記までされるので、とても心強いのだ。
うん、パーフェクト!
ちゃんとハルコンAが効いていて、全身隈なく見たけど、病気の気配すらないねっ!
思わずハルコンがニンマリと笑ったところ、毎度ながらカルソン教授も冷ややかに「ククッ」と笑った。
「おやぁ、カルソン教授。どうしましたか?」
「いいえぇ、所長が何をどうやったか、あれだけの診断を行ってしまうのに、仕草がまだまだ子供っぽいのがとてもおかしいものでして、……」
「そうですよぉ。私はまだ子供ですからねぇ」
「クッ、ククッ」
「プッ、アハハハ」
そう言って、お互いに笑い合う。
すると、先ほどまで特別隔離室の雰囲気はとても緊張していたにも拘らず、あっという間に穏やかに和み始めた。
「ハルコン所長、この度は大変感謝します。貴重なハルコンAまで使って頂き、言葉もありません!」
隊商のリーダー格の男が胸元に手を当てて軽く会釈すると、他のメンバー11人も同様に頭を下げた。
その際、「ありがてぇありがてぇ、……」とか「これで、サスパニアに帰ることができる!」とホッとした様子だ。仲間内で笑顔で話し合っているのを見て、ハルコンは今回の件も無事解決してよかったと思った。
そんな感じでホッと胸を撫で下ろしていると、ファルマがススッと傍に寄ってきて、顔を近づけてくる。
「今回も、ちゃんと回収できましたか?」
耳元にそう囁いてくるため、ハルコンはこくりと頷く。
「いつもありがとう、ファルマさん!」
「はいっ」
ハルコンがニッコリと微笑むと、ファルマもまた上機嫌な様子で鼻歌を歌いながら、診断に使った器材を手際よく片付け始めた。
76
あなたにおすすめの小説
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@2025/11月新刊発売予定!
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
《作者からのお知らせ!》
※2025/11月中旬、 辺境領主の3巻が刊行となります。
今回は3巻はほぼ全編を書き下ろしとなっています。
【貧乏貴族の領地の話や魔導車オーディションなど、】連載にはないストーリーが盛りだくさん!
※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
ちくわ
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜
伽羅
ファンタジー
【幼少期】
双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。
ここはもしかして異世界か?
だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。
ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。
【学院期】
学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。
周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる