天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生

西洋司

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第一部「ハルコン少年期」

44 サスパニア出張旅行 その7_03

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「……、ふむ。ならばメリッサ姫殿下としては、イッシャラーらがいなくなった後、ハルコン殿をサスパニア国の皇配として迎え入れるのではなく、新たに皇帝としてサスパニア国を統治して欲しい、……。そう申すのだな?」

「はい。私は、今は平民の身。ハルコン殿を迎え入れるのに、こちらから制限を設けることなどございません!」

「ふむ、……」

 メリッサ姫殿下の意志を改めて確認した後、ラスキン国王陛下は私(ハルコン)の方をじっとご覧になられた。

「して、ハルコン殿はどうされるおつもりか?」

「そうですねぇ、……」

 私の目に、ラスキン国王陛下は若干不機嫌そうに見受けられた。
 まぁ、……それはそうだろう。愛娘のシルファー先輩を私に嫁がせることで、ファイルド王家の今後の繁栄を期待していたら、コリンド皇族のステラ殿下、更には今度サスパニアのメリッサ姫まで手を上げ始めているのだから、……。

 そこは王族権限で、シルファー先輩を特別に優遇したいのも山々なのだろうけど。
 でも、ファイルド国は現在「善隣外交」を国是として進めているところだからなぁ、……。

 私としては、小国サスパニアを今後統治して欲しいと石原中佐さんから依頼された際、特に負担には感じなかったよ。

 このサスパニアという国は、そもそも日本のG馬県ほどの面積しかなく、……。海洋のない山岳に囲まれた盆地の中に街や村が存在する、そんな素朴な国家だった。

 確かに、首都エドモンドの夜景はとても美しかったけどね。
 まぁ、それは石原中佐さん達がこの中世レベルの文明世界に、近現代の地球の技術や知識を惜しみなく投入したから可能だったワケだ。

 おそらく、地球から異世界転移させられた石原中佐さんらをメリッサ姫殿下が受け容れなかったら、この今のサスパニアの繁栄はなかったんだろうなぁと私は思う。

「陛下、……。私はまだ子供の身でございます。田舎貴族の3男坊で、国を統治するノウハウが、そもそもございません。ですので、しばらくの間はメリッサ姫殿下の統治の下、ファイルド王宮と連携していくのがよろしいのではないかと思われます」
 
 私がグイグイと前面に出たら、その意志ありと勘繰られる恐れがある。
 一学者の私が国の統治、国の運営に色気を出したら、良からぬ派閥が新たに生まれ、好ましくない結果になることも予想される。
 
 だから、ここはファイルド王宮に花を持たせて、一度身を引く方が無難なように思われた。

「ふむ、……。そこなのだ、ハルコン殿!」

 顎髭をいじりながら、ラスキン国王陛下はじっとこちらの目の色を見てきた。

「はい?」

「ふむ、ハルコン殿は、どうも欲がなさ過ぎる。我が娘シルファーについてもそうなのだが、こちらのメリッサ姫も相当な美貌の持ち主だ。なのにだ。ハルコン殿、貴殿は『男』としての欲に、少々疎いように感じられるぞ!」

「……」

 そりゃぁ、そうだよ。そもそも私の本分は薬学者であって、それ以上でも以下でもないんだからね。良好な研究資源と環境さえあれば、もうそれで満足だったりするんだよ。
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