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第9章
慰問
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大人達が根回しなどに奔走している間に、想定される暮らしの体験をさせようと赴任予定地域に一番近い孤児院を訪問させた。運営もきちんとしているところで、貴族の子女や裕福な商人の子女が奉仕で訪れている場所でもあった。
ひと通り案内されて院長室のソファに座った弟王子と王女。今は他には侍従1人と乳母、乳兄弟が1人居るだけ。
「ばあや、本当にあんな狭い場所にあれだけの子が寝ているの?」
「ここは身寄りのない孤児達を集めているため大勢いますが、小さな村ではこの部屋くらいの小さな家に家族で住んでいる者もいます」
「家族でこの広さ?裕福で偉大な王国の民なのに?」
「貴族と言えど領地も権力もない名誉職の者もいます。王国の民といえども下位の職種の者達はこの様な狭い場所に住んでおります」
トントン
「失礼します。お待たせいたしました、食事の時間になりましたので食堂へどうぞ」
乳母の言葉に反応しようとした時にノックの音でハッとして表情を変える。案内されるままに着いていく。食堂の大きなテーブルは自分達が晩餐をするのと同じくらいなのに隙間がないというくらい椅子が並んでいた。
運ばれて来たのは少し深目の皿に入ったシチューの様な具沢山のとろみのあるスープと黒パン1つ。今回は王子達はここを出た後にこの地の領主との食事会に行くので一緒には食べないが、民の暮らし向きを知るために見学だけさせてもらっているのだ。流石に一般家庭の食事の風景を見学だけする訳にはいかないからだ。
食事中の会話に『今日は豪華な日だね』というのを兄王子は聞き取った。これで豪華なのか?と思ったがその場では口にしなかった。少食で食べ残したものを食べ盛りの男子達が分け合って食べているのを見て驚愕した。そして小さな子の隣には必ず自分より年上に見える子が食事の世話をしているのを見て関心した。
食事中の視察にも慣れている様で誰も騒いだり、キョロキョロしたりしない。それより豪華な食事を味わう様にゆっくりと食べる者、パンを千切って1滴も残さずに食べようと皿を隅々まで拭っている者など、マナーなどなく自由に食べているのが印象に残った。
「明日は農作業の日なので朝早いので、体を拭いたらすぐに寝ること」
「はい」
小さな子の手を引いて順番に出て行く姿を驚きで愕然としいる王子達。全員が退室したのも気付かなかった様子で、園長が側に来たのに気付いて視察が終わった事を思い出す。
「今日は我が院をご視察いただき誠に感謝しております。いかがでしたか?」
「庶民の暮らしを初めて見たので驚きの連続でした」
「そうでしたか、それはさぞ驚かれたでしょうね。でも此処は支援して下さる方が多いので良い方ですよ」
「もっとひどい生活の者達がいるのか?」
「はい、私は此処より前は他領におりました。そこでは孤児院に入れない者達は廃墟に住んでおり、孤児院でさえも1日1食の日もありました」
「廃墟に住むとはスラム街と言う場所か?」
「良くご存知ですね」
孤児院は受け入れられる人数が限られており小さな子を優先して預かるが、争いが多い地域では戦いで親が居ない子が増え、卒園の年齢が下げざるを得ない。就職先の紹介も足りず、やむなく冒険者になる者が多い。でも日銭を稼ぐのが精一杯で宿の代金も足りなくなって野宿をせざるを得ないと。此処では冒険者の子は収入が安定するまでは、狩った肉や手伝いを利用料として提供することで寝泊まりをさせることが出来ているからありがたいと言っていた。
招待された晩餐のために孤児院を出て領主の館に向かう。
「ばあや、この王国でも院長が言った様に生活に格差があるのか?」
「豊かな領とそうでない領とでは随分生活の差があるとは聞いておりますが、わたくしでは詳しいことは分かりません」
「そうか」
「ただ身分や財産がないと差別をする貴族達もおり、その者達の治める地域では庶民が苦しんでいると聞いた事があります」
ひと通り案内されて院長室のソファに座った弟王子と王女。今は他には侍従1人と乳母、乳兄弟が1人居るだけ。
「ばあや、本当にあんな狭い場所にあれだけの子が寝ているの?」
「ここは身寄りのない孤児達を集めているため大勢いますが、小さな村ではこの部屋くらいの小さな家に家族で住んでいる者もいます」
「家族でこの広さ?裕福で偉大な王国の民なのに?」
「貴族と言えど領地も権力もない名誉職の者もいます。王国の民といえども下位の職種の者達はこの様な狭い場所に住んでおります」
トントン
「失礼します。お待たせいたしました、食事の時間になりましたので食堂へどうぞ」
乳母の言葉に反応しようとした時にノックの音でハッとして表情を変える。案内されるままに着いていく。食堂の大きなテーブルは自分達が晩餐をするのと同じくらいなのに隙間がないというくらい椅子が並んでいた。
運ばれて来たのは少し深目の皿に入ったシチューの様な具沢山のとろみのあるスープと黒パン1つ。今回は王子達はここを出た後にこの地の領主との食事会に行くので一緒には食べないが、民の暮らし向きを知るために見学だけさせてもらっているのだ。流石に一般家庭の食事の風景を見学だけする訳にはいかないからだ。
食事中の会話に『今日は豪華な日だね』というのを兄王子は聞き取った。これで豪華なのか?と思ったがその場では口にしなかった。少食で食べ残したものを食べ盛りの男子達が分け合って食べているのを見て驚愕した。そして小さな子の隣には必ず自分より年上に見える子が食事の世話をしているのを見て関心した。
食事中の視察にも慣れている様で誰も騒いだり、キョロキョロしたりしない。それより豪華な食事を味わう様にゆっくりと食べる者、パンを千切って1滴も残さずに食べようと皿を隅々まで拭っている者など、マナーなどなく自由に食べているのが印象に残った。
「明日は農作業の日なので朝早いので、体を拭いたらすぐに寝ること」
「はい」
小さな子の手を引いて順番に出て行く姿を驚きで愕然としいる王子達。全員が退室したのも気付かなかった様子で、園長が側に来たのに気付いて視察が終わった事を思い出す。
「今日は我が院をご視察いただき誠に感謝しております。いかがでしたか?」
「庶民の暮らしを初めて見たので驚きの連続でした」
「そうでしたか、それはさぞ驚かれたでしょうね。でも此処は支援して下さる方が多いので良い方ですよ」
「もっとひどい生活の者達がいるのか?」
「はい、私は此処より前は他領におりました。そこでは孤児院に入れない者達は廃墟に住んでおり、孤児院でさえも1日1食の日もありました」
「廃墟に住むとはスラム街と言う場所か?」
「良くご存知ですね」
孤児院は受け入れられる人数が限られており小さな子を優先して預かるが、争いが多い地域では戦いで親が居ない子が増え、卒園の年齢が下げざるを得ない。就職先の紹介も足りず、やむなく冒険者になる者が多い。でも日銭を稼ぐのが精一杯で宿の代金も足りなくなって野宿をせざるを得ないと。此処では冒険者の子は収入が安定するまでは、狩った肉や手伝いを利用料として提供することで寝泊まりをさせることが出来ているからありがたいと言っていた。
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