幻獣士の王と呼ばれた男

瑠璃垣玲緒

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第1章

ファンタム マスターシステム

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 のちに『幻獣士の王』と呼ばれることになる幻獣士の青年と、とある幻獣の幼体が出逢い、絆を結んだことで出来た新しいシステム

-ファントムマスターシステム-

 そのシステム以前は
幻獣士とは同じ個体を長く使役出来る者であり、
幻獣使いは短い間使役を出来る者であった。
 システム以後は
幻獣士は幻獣士ギルドに所属し、迷いの森にも同伴出来る者を言い、
幻獣使いは仮契約を結び、迷いの森以外で同伴、使役出来る者を言う。
幻獣士以外でのペットに関しては個々の同意によるもののため、特に名称はない。

 人族の争いや欲のために絶滅から守るため、そして新たな人族と幻獣との付き合い方のルールとして試行錯誤の末に作られた。
国や宗教などの権力に左右されない幻獣や森を守るための罰則でもある。

 迷いの森で幻獣の主人マスターになり、幻獣と共に暮らし、迷いの森を行き来出来る存在であり、迷いの森の素材を持ち帰られることを許される者と、
人族を主人マスターとして契約し共に暮らし、迷いの森の内外を自由に行動出来る幻獣の公式の手続きで絆を結ぶことを指す。
 ファンタムマスターシステムで幻獣を得たマスターは『幻獣士』とも呼ばれ、自分の魔力と相棒の力を合わせて、迷いの森の素材をいつでも自由に持ち帰ることが出来る。
 基本的には幻獣が持ち帰る素材の場所へと案内し、種類によって決められた量か、持てる重さまでなら好きなだけ持ち帰ることが出来る。
ただアイテムバックはどんなに高機能であっても、以前と変わらず森の中の物は幻獣士本人が持ち上げれる重さ以外は持ち出せない。
幻獣や魔獣は、直接または相棒の幻獣を通して、その個体が了承した場合に限って連れ出すことが出来る。
 決められたルールさえ守っていれば、素材を売ったり、使用して儲けることも認められているし、ペットとして愛玩することも、相棒として一緒に仕事をさせることも出来る。
大抵は小さな妖精や小さな聖獣はペットにするものが多く、大きな身体や特殊な能力を持つ種族は相棒となる。
 例外として迷いの森以外で生まれ育ったものや、森から出て生活する個体は、仮契約をして人族と共にいることがあるが、幻獣士ギルドに登録している限りは悪意ある者から守られている。

 幻獣士や幻獣使いは、幻獣の能力による使役が出来るが、種族によって異なり、6割の幻獣士は迷いの森と拠点を行き来することによって収入源を得ているが、残りの幻獣士や幻獣使いはその能力によって収入を得ている。

例えば
ペガサスや竜種の一部は速さを生かして郵便や人や荷物を運ぶ仕事
大型の竜種やグリフォンなど獰猛な種族は魔獣や増殖しすぎた獣の討伐
妖精や精霊達は精霊術で日常や様々な場面での手助け
など、それぞれの幻獣達の得意な分野を担当する。討伐以外のほとんどは子供や老体、または温和な種族や個体として臆病だったり、優しい性格のものが種族を問わずなっているものもいる。
中には商会やクランを作って活躍する者達もいる。

 幻獣士になれたとしても私利私欲が強くなれば、持ち帰られる素材の量や質が変わる。
そして行き過ぎれば相棒である幻獣が弱り、幻獣王が迎えに来て連れ帰ってしまう。
もし幻獣を酷使して消滅させてしまえば、怒った幻獣王がマスターである幻獣士だけでなく、関わった悪意ある全ての人に復讐する。
脅迫されて否応がなく手伝わされた者は、ギルドにより内容や状況を精査した上で、悪心がなく罪悪感が強ければ、記憶の書き換えなど軽微で済まされる。
 ただ幻獣を虐待したり、利益重視で酷使した場合の罰則などは、一般の人にはほとんど知られていない。
幻獣士ギルドがまだ世界中に認知されていない初期にはあったが、浸透する頃には意識も変わり規則も整備されていき、幻獣を取り上げられることも少なくなったからだ。
ギルド職員や幻獣士は、登録時の確認必須の規約書類や、昇級書類に記載されていることから知っているが、幻獣使いや愛玩や飼育している者の中には、最後まで読んでいなかったり、忘れてしまう者も多かった。
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