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第3章
休憩
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トラヴァーの森からヘンルーダまでは少し距離がある。
来る時と同様に野営候補地として推薦した洞穴に立ち寄った。
育ち盛りの火蜥蜴の餌やりを兼ねて、ちょっとした休憩のために。
火蜥蜴には蜂蜜を、自分とアルバとクレドには水をマジックバックから取り出す。
それぞれの器に入れて、レナードが一口飲んだところで声をかけられた。
「よう、レナードさんじゃないか。またトラヴァーに行ったらしいな」
行きに立ち寄った人に聞いて戻って来たところだった。
「ラザロさん、お久しぶりです。
火蜥蜴が孵化して育て方で分からないことがあったので来ました」
「無事生まれて良かったな。
食べてるというより泳ぎ出そうとしているように見えるが、元気はあるようだ」
言われて火蜥蜴の様子を見て、確かにそう見える状況だった。
何故か皿の端から舐めていたはずが、夢中になって皿の中に半身が浸かっていた。
全身が入るのも時間の問題のような勢いで舐めている。
「元気だし、魔素をたっぷり浴びて機嫌も良い。
まだ生まれたばかりだから感情の起伏が激しくて、微笑ましいくらいだよ」
「あっちの子も元気そうだな」
目線の先にあるのは麒麟の子だった。
「あぁ、そのことなんだけどちょっとだけ時間があるかな?」
「レナードさんに会うために戻って来たんだから少しならあるぞ」
洞穴の横の見張りから離れたところへ連れて行く。
「ここだけの話でお願いします」
「それって前回みたいな感じか?」
「詳細はここでは話せないんですが、この前の大精霊より大物にに会ってしまいまして、麒麟の子と本契約を結ぶことになってしまいました。
その代わりというか、監視役に中級の精霊を付けられて、密猟者の取り締まりなどに尽力しないといけなくなってしまいました」
「はぁ?
色々聞きたいところだが、ここじゃあ不味いわな。
かと言って勝手に交代も出来ないし」
「せっかく直接会えたので、今も密猟者達の調査に尽力している幸運なる蒼き仲間達のみなさんには、先に少しでも知らせておこうと思いまして。
本格的に協力関係を築けるかどうかは、今後の活動次第ってことになってしまい、申し訳ないなと」
「色々突っ込みたいところはあるが、俺達はお前さんと一緒にあの現場に居合わせた。
一部とはいえ迷いの森の幻獣達を助ける手助けが出来たのは僥倖だったよ。
俺達は迷いの森の資源を手に入れたいが、ああいう不当なことをする奴らの所為で、要らぬ幻獣達の怒りを買ったから攻略が難しくなったんだ。
この手で捕まえて、相応しい罰を与えたいとあの現場を見て思ったんだ」
「そんなあなただからこそ、ギルドからの統制された情報じゃないところを伝えたいと思ったんです」
《ヒュードル、この人に君の姿を見せてあげたい》
《ハナシキイタ、ヨイヒトダカライイ》
レナードの肩の辺りが水色に光って、小さな女の子が現れた。
「この子が中級精霊だ。
幻獣達の救出に必要な時には出来ることは協力してくれるらしい」
《モリノナカマノタメナラ》
「森の仲間のためなら協力してくれると言っている」
コクコクとジェスチャーで肯定している。
「可愛いらしい協力者だなぁ。
よろしく頼むよ」
ラザロは軽く頭まで下げてくれた。
よほど嬉しかったらしく、また空中で一回転していた。
これがこの子の嬉しい表現らしいが、可愛いらしくて仕方がない。
「この子は普段は姿を隠しているから、発見の魔道具とか、魔法がない限りは安全だと思う」
「見えないのなら心配は要らないのか」
「上の存在がわざわざ付けてくれたから、中級でも頭が良いだろうから安心している」
「それもそうか」
「森に迎えが来るからそろそろ出発するよ。
今度町で会った時に詳しい話をするよ」
「あぁ、楽しみにしているよ」
食器を魔法で軽く洗って、マジックバックにしまう」
何故かアルバの上で、火蜥蜴が寛いでいたが、人目に触れると不味いのでお腹のポケットに入ってもらう。
来る時と同様に野営候補地として推薦した洞穴に立ち寄った。
育ち盛りの火蜥蜴の餌やりを兼ねて、ちょっとした休憩のために。
火蜥蜴には蜂蜜を、自分とアルバとクレドには水をマジックバックから取り出す。
それぞれの器に入れて、レナードが一口飲んだところで声をかけられた。
「よう、レナードさんじゃないか。またトラヴァーに行ったらしいな」
行きに立ち寄った人に聞いて戻って来たところだった。
「ラザロさん、お久しぶりです。
火蜥蜴が孵化して育て方で分からないことがあったので来ました」
「無事生まれて良かったな。
食べてるというより泳ぎ出そうとしているように見えるが、元気はあるようだ」
言われて火蜥蜴の様子を見て、確かにそう見える状況だった。
何故か皿の端から舐めていたはずが、夢中になって皿の中に半身が浸かっていた。
全身が入るのも時間の問題のような勢いで舐めている。
「元気だし、魔素をたっぷり浴びて機嫌も良い。
まだ生まれたばかりだから感情の起伏が激しくて、微笑ましいくらいだよ」
「あっちの子も元気そうだな」
目線の先にあるのは麒麟の子だった。
「あぁ、そのことなんだけどちょっとだけ時間があるかな?」
「レナードさんに会うために戻って来たんだから少しならあるぞ」
洞穴の横の見張りから離れたところへ連れて行く。
「ここだけの話でお願いします」
「それって前回みたいな感じか?」
「詳細はここでは話せないんですが、この前の大精霊より大物にに会ってしまいまして、麒麟の子と本契約を結ぶことになってしまいました。
その代わりというか、監視役に中級の精霊を付けられて、密猟者の取り締まりなどに尽力しないといけなくなってしまいました」
「はぁ?
色々聞きたいところだが、ここじゃあ不味いわな。
かと言って勝手に交代も出来ないし」
「せっかく直接会えたので、今も密猟者達の調査に尽力している幸運なる蒼き仲間達のみなさんには、先に少しでも知らせておこうと思いまして。
本格的に協力関係を築けるかどうかは、今後の活動次第ってことになってしまい、申し訳ないなと」
「色々突っ込みたいところはあるが、俺達はお前さんと一緒にあの現場に居合わせた。
一部とはいえ迷いの森の幻獣達を助ける手助けが出来たのは僥倖だったよ。
俺達は迷いの森の資源を手に入れたいが、ああいう不当なことをする奴らの所為で、要らぬ幻獣達の怒りを買ったから攻略が難しくなったんだ。
この手で捕まえて、相応しい罰を与えたいとあの現場を見て思ったんだ」
「そんなあなただからこそ、ギルドからの統制された情報じゃないところを伝えたいと思ったんです」
《ヒュードル、この人に君の姿を見せてあげたい》
《ハナシキイタ、ヨイヒトダカライイ》
レナードの肩の辺りが水色に光って、小さな女の子が現れた。
「この子が中級精霊だ。
幻獣達の救出に必要な時には出来ることは協力してくれるらしい」
《モリノナカマノタメナラ》
「森の仲間のためなら協力してくれると言っている」
コクコクとジェスチャーで肯定している。
「可愛いらしい協力者だなぁ。
よろしく頼むよ」
ラザロは軽く頭まで下げてくれた。
よほど嬉しかったらしく、また空中で一回転していた。
これがこの子の嬉しい表現らしいが、可愛いらしくて仕方がない。
「この子は普段は姿を隠しているから、発見の魔道具とか、魔法がない限りは安全だと思う」
「見えないのなら心配は要らないのか」
「上の存在がわざわざ付けてくれたから、中級でも頭が良いだろうから安心している」
「それもそうか」
「森に迎えが来るからそろそろ出発するよ。
今度町で会った時に詳しい話をするよ」
「あぁ、楽しみにしているよ」
食器を魔法で軽く洗って、マジックバックにしまう」
何故かアルバの上で、火蜥蜴が寛いでいたが、人目に触れると不味いのでお腹のポケットに入ってもらう。
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