幻獣士の王と呼ばれた男

瑠璃垣玲緒

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第3章

日常

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トーレさんがリベルタへ向かって馬車で去った後、数日は特に来客もなく、のんびりと過ごした。
火蜥蜴が産まれた時はソルとルナにベッド役を頼んだが、1ヶ月は夜はレナードの部屋でクレドが担当し、日中のお昼寝を狼犬達に担当してもらうことにした。
アルバは本契約後は皆と同じ家族になれたと活動的になり、幻獣種の兄弟分として火蜥蜴のクリーニングなどの日々の世話を担当も張り切ってやっていた。
レナードはようやくヘンルーダの森の素材を使った薬作りに着手した。
足りない材料は納品の時に仕入れようとリストにした。
火蜥蜴の餌は当分はトラヴァーに行く前に、留守番組が採取した物を中心に順番に与えてみた。
ピュードルのアドバイスにより、半年ほどは朝晩2食とおやつを2回与え、1回目のおやつと2、3日に1回動物性の餌を与え、あとは植物や果実を与えることに決めた。
近くの森に行く時はスティードの背に籠を固定して移動し、アルバとスティードが森で遊ぶ時だけ籠の中で過ごす。
2匹が休憩中はスティードのお腹の上に乗りアルバに舐めてもらっていたり、アルバの体で冒険をした。
お昼寝タイムはソルかルナが担当し、クレドと片方が周囲の警戒をする。
そんな風に新しい習慣が出来ていった。
コッコの雛も順調に育ち、雌雄が判別すると数匹を残して一部を交換、残りを冒険ギルド経由で出荷する。
コッコの売上は乾燥餌や藁などにしてもらっている。
繁殖や食用などが目的ではないため、有精卵をルゼに頼んである程度調節してもらっているため。
餌は庭で自力で採取してもいるので、多くは必要がないという事もある。
治療する動物以外は魔物の血が入った牛達以外居なかった悠々自適な薬師の生活が、
今では本業が幻獣使いになったのかと、揶揄われるくらいの家族が出来た。
更に冒険ギルドのみ報告の居候の妖精と精霊と、借り受けている精霊もおり、実は幻獣士なのだがレナード本人に自覚がなく、あくまでも自分は『薬師で幻獣使い』だと思っている。

トーレが無事育成計画の参加資格を得て、レクチャーを受けたようだ。
ただ、まだヘンルーダでは職員も研修中でフォロー体制が出来ていないため、トーレさんの家で変異種用の設備や受け入れ体制が整うまで預かってくれないかと頼まれた。
レナードはスペース的には余裕があるので問題がないが、本人達の気持ちを確認したかった。
「トーレさん、馬車を轢いている2頭はこの仔の両親りょうおやですか?」
「あぁそうだ。雌が他の馬を繋ごうとしたら邪魔して来るから仕方なくだが」
「なるほど、ではちょっと聞いてみます」
母屋を出て幻獣舎へ向かう。
《この前は乗せてくれてありがとう。
飼い主はこの仔を新しい育て方の準備が出来るまでここに預けたいと言っているが、許可してくれるだろうか?》
《コノコハカシコイガヨワイ》
《トテモヨワイカラシンパイ》
《そうだね。でも新しい育て方だと辛い時間を短く出来るから、成体になれるかもしれないんだよ》
《セイタイニナレルナライイ》
《ツライジカンヘルナライイ》
《成体になれるかはこの仔次第だけど、弱って苦しむ時間は短く出来ると約束するよ。
改めて聞くよ、飼い主が準備出来るまで預かって良いかな?》
《コノコガゲンキニナルナラ》
《ありがとう。うちの子馬も同じなんだよ》
スティードを呼ぶと魔馬達を紹介した。
《ウン、僕モトッテモ弱カッタノ。
デモレナードガ苦シンデイル時ニ手助ケシテクレタノ。ダカラ僕元気ニナッタヨ》
《ボクモゲンキニナリタイ!》
《じゃあ責任を持って預かるよ》
《ヨロシクタノム》
《オネガイシマス》
《ヨロシク》
「トーレさん、3頭共納得してくれましたよ。
しっかり準備が出来るまで預かりますので安心して下さい」
「急なことなのに引き受けてくれて助かった。
レクチャーは受けたものの、リベルタと違って知識不足だから心配でな。
家族の説明や新しい餌の手配など、帰ったらやる事がいっぱいだよ!」
表情はとても嬉しそうだった。




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