幻獣士の王と呼ばれた男

瑠璃垣玲緒

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第3章

資金提供

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密猟者達から野生で暮らすのが困難な者を、計画の協力者や冒険者ギルドや商業ギルドなどで一時的に預けられていた幻獣達を、レナードのところへ移管させるに当たって、治療のための仮住まいの小屋ではいけないときちんとした幻獣舎を作ることが決まった。
これには精霊王や幻獣王達も賛同し、幻獣舎に必要な分の素材に限り、各地の迷いの森で制限以上に持ち出すことを許可してくれた。
その代わりの条件として、精霊王達が事前に面談(?)し、森の出入りや素材の規定量以上の持ち出し許可の腕輪の貸与と、監視役の中精霊の派遣が提示された。
どうやって面談をするのか聞いたところ、会議室に候補者を集めて育成計画を担当している職員のいずれかが、質疑応答しているところを観察して決めるらしい。
素材の持ち出しは腕輪を付けた人間のマジックバックだけ制限の緩和がされるが、他の者は従来通りであるが、同行者全ての量が必要な素材分と今回設定した日当分以外は持ち出せない。
腕輪の人間の量は他の同行者の持ち出し分が日当分を大幅に越えたら減るということになる。
以前から友好的だった種族は、元々必要分だけしか採取しないため、同行者に居ても除外される。

レナードが今回の保護に必要な費用のことで悩んでいることをピュードルから聞いた精霊王達は、幻獣舎を含めた費用分を迷いの森の素材を使用することを決め、レナードにトラヴァーへの出頭を求めた。
レナードはピュードルとアルバを連れて、スティードに乗り急いでトラヴァーに向かう。
この頃には成体になったスティードは、レナードの乗せて移動出来るようになっていた。
スティードを森の入り口に残し、ネーベルに付いて行く。
霧が晴れたら目の前に4人と4体が居た。
トラヴァーで会ったオンディーヌとフェンリル、レナードの家に来たアスピドケローネは知っているが、あとは知らない。
《良ク来タ。今回ノ同族ノ治療及ビ保護ニ、感謝スル。
戻ッタ者達ハ皆、喜ンデオル》
《紹介ハ後デスルトシテ、幻獣達ノタメニ費用トヤラガカカルト聞イタゾ。
ソコデレナードニ提案ガアル》
《今カラノ話シハ口外シテハナラヌ》
フェンリル、オンディーヌと続き、見知らぬ褐色の肌の中性的な人物が念話して来た。
《ここにいる者以外には言ってはいけないということですね》
《ソウダ》
《分かりました》
炎の色の鳥類が人型になって話しかけて来た。
《迷イノ森ハ我ラガ幻獣達ガ結界ヲ張リ、アラユルモノノ出入リヲ制御シテイル。
ソシテソノ森ニ住ム幻獣ノ種族ヤ植物ナドニ因ッテ、素材ノ種類ガ変化スルノダ》
《そんな重要な話しを私如きが聞いて良い《オヌシダカラ話スノジャ》》
オンディーヌに被され、レナードの発言は遮られた。
《故ニカリュプス鋼の森ハ消エタ》
と褐色の肌の人物が続ける。
《ソコデ我ラハ考タ、森ニ帰レヌ者ヤ、帰ル場所ガナイ者ヲ、人間ト契約シテ居場所ヲ作ッテヤッテハドウカト》
《それは幻獣使いの従魔になってもらうということでしょうか?》
《ソレモアルガ、御主ノ庭ニ他ノ森デ暮ラセナイ者達ノ新タナ小サナ森ヲ作リ、ソコカラノ素材ヲ今後モ増エルダロウ幻獣達ノ資金源ニト》
《えっ!そんなこと出来るんですか?…って出来るから言っているんですよね?
資金面では嬉しいですが、庭に森を作られても困るのですが》
《デハ、ドコナラ良イノダ?》
《近くの森はカリュプスに近いところにありました。
そこの一角だと生態系が崩れるので、その森と我が家の間ではどうでしょう?》
相談しているのかしばらく沈黙した。
《良イダロウ。何カ望ムコトハアルカ?》
《可能ならば、一定の条件の合う者以外不可視に出来れば有り難いですね。
人間は見えると欲しがりますが、見えないものには無意識に怖がりますから》
《フム、色々互イニ話シ合イガ必要ノ様ダナ》
その後、精霊王、幻獣王、レナードがそれぞれ意見を出し合いがなされた。
最終的に幻獣士の素案に近いものになり、初めての不可視の迷いの森がレナードの近くの森の手前に出来ることになり、その人間側の入り口の一つとして、保護した幻獣専用の幻獣舎を建てることが決まった。
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