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第4章
アイシャ
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アイシャは薬師見習いで、薬草を採取する仕事を任されて近くの森へ仲間と一緒に行った時に、兎用の罠に嵌って衰弱していたイタチ型幻獣を助けた。
茶色だったから『まろん』と名付けた。
それから気持ちを知りたくて幻獣術を頑張って取得した。
なんとかまろんと意思疎通が出来るようになった頃、レナードという薬師が本業であるという人が、幻獣や野生の動物を治療するために幻獣使いになったという噂を聞いて感動した。
「私も見習いだけど薬師だし、まろんのおかげで幻獣使いだもん、変異種とか動物の怪我とか病気の事を聞いてあげれるよね?」
近隣の村に通りかかった時に牧場から牛達が突然集団で柵を破ろうとするのを見て声をかけた。
まろんが助けてあげてと言ったから。
《落ち着いて!どうしたの》
《コウシ、サラワレタ》
《大変!直ぐに飼い主さんに知らせるね》
一緒にいた大人に事情を説明し、近くに居た番犬に兄弟の匂いを嗅いでもらい追いかけてもらうように頼んだ。
獣や魔物ではなく人間だったので直ぐに捕まり、それから飼育動物や家畜の治療時の通訳として活躍した。
見習い期間が終わったらレナードさんに会いに行きたいと思っていたが、まろんが大型の鳥類に襲われて死んでしまい落ち込んでいた。
そこに数千年ぶりの幻獣士がレナードと知って、両親や師匠を説得してようやく挑戦することが出来たのだ。
森への道ではかつての相棒が目の前で襲われた時の映像や恐ろしい獣型の幻獣に襲いかかられる幻影を見せられた。
またまろんが襲われる姿を見せられたのは辛かったが、怪我で興奮して暴れる姿には慣れていたので挑戦を止めようとは思わなかった。
「前は偶然助けた子だったけど、今度はレナードさんのように一緒に素材探しが出来る子が良いな」
まろんも愛嬌があって可愛いかったけど。
「出来れば可愛い子か、綺麗な子が良いな。でも私は戦えないから強い子が良いのかなぁ?
強くて綺麗な子も良いね」
歩き疲れたので休憩して水筒の水を飲む。
「私はおばあちゃんが豹獣人だったから木登りや瞬発力はある方けど、獣人の人に比べたら体力もないし移動が大変かも!
乗って行けるとしたら大型や中型の幻獣かなぁ?」
立ち上がって草や埃を払って歩き始める。
「でも素材を探すのに嗅覚が鋭い子も良いよねぇ。
可愛い子と綺麗な子と2匹っていうのも素敵ね」
気が向くままに歩きながら独り言を続ける。
「う~ん、悩むなぁ。
でもどんな子でも大切にする!
ただ来た子によっては私も頑張って強くならないといけないかもね」
最早幻獣を探すために森の中にいることを忘れているような様子で歩いていた。
「綺麗で強くて乗れる子と、嗅覚が鋭い可愛い子だったら最高だね」
薬師の習性で木々や草花を目で追いながら進む。
カサカサッと音がした方を向くとそこには銀狐の幼体が転がり出た。
「クー」
勢いがつき過ぎて出てしまったらしい。
「くぅ~、可愛い過ぎる~」
流石に治療を手伝う幻獣使いだけあって、急に動いたりはしない。
攻撃の意思がないことを示すためにゆっくりと近付いて膝をつく。
起き上がった子狐は目の前に人間がいることにびびって尻尾を後ろ足の間にしまい、小さくなって震えながら後退りした。
アイシャは知らないのだが、この子狐は本来は保護エリアにいるはずなのだが、良い匂いに誘われて生活エリアに出てしまったのだ。
だから見た事ない人間ということもだが、皆んなに怒られると思って両方の意味で震えていたのだった。
まだ幼い銀狐は他の子達と違い1匹だったので無条件で寄り添えたり甘える相手が欲しかった。
《大丈夫、傷付けないから落ち着いて》
パニックになった子狐は小さく丸まって震えていた。
《大丈夫だよ》
優しく話しかけながら音を立てない様に気遣ってゆっくりと近付く。
その時、子狐の後ろから何かが音を立てて近付いて来て、その音に驚いた子狐がアイシャに向かって飛んで来た。
咄嗟に受け止めて優しく抱きしめたアイシャ。
音はそのまま姿を見せないまま遠ざかる。
茶色だったから『まろん』と名付けた。
それから気持ちを知りたくて幻獣術を頑張って取得した。
なんとかまろんと意思疎通が出来るようになった頃、レナードという薬師が本業であるという人が、幻獣や野生の動物を治療するために幻獣使いになったという噂を聞いて感動した。
「私も見習いだけど薬師だし、まろんのおかげで幻獣使いだもん、変異種とか動物の怪我とか病気の事を聞いてあげれるよね?」
近隣の村に通りかかった時に牧場から牛達が突然集団で柵を破ろうとするのを見て声をかけた。
まろんが助けてあげてと言ったから。
《落ち着いて!どうしたの》
《コウシ、サラワレタ》
《大変!直ぐに飼い主さんに知らせるね》
一緒にいた大人に事情を説明し、近くに居た番犬に兄弟の匂いを嗅いでもらい追いかけてもらうように頼んだ。
獣や魔物ではなく人間だったので直ぐに捕まり、それから飼育動物や家畜の治療時の通訳として活躍した。
見習い期間が終わったらレナードさんに会いに行きたいと思っていたが、まろんが大型の鳥類に襲われて死んでしまい落ち込んでいた。
そこに数千年ぶりの幻獣士がレナードと知って、両親や師匠を説得してようやく挑戦することが出来たのだ。
森への道ではかつての相棒が目の前で襲われた時の映像や恐ろしい獣型の幻獣に襲いかかられる幻影を見せられた。
またまろんが襲われる姿を見せられたのは辛かったが、怪我で興奮して暴れる姿には慣れていたので挑戦を止めようとは思わなかった。
「前は偶然助けた子だったけど、今度はレナードさんのように一緒に素材探しが出来る子が良いな」
まろんも愛嬌があって可愛いかったけど。
「出来れば可愛い子か、綺麗な子が良いな。でも私は戦えないから強い子が良いのかなぁ?
強くて綺麗な子も良いね」
歩き疲れたので休憩して水筒の水を飲む。
「私はおばあちゃんが豹獣人だったから木登りや瞬発力はある方けど、獣人の人に比べたら体力もないし移動が大変かも!
乗って行けるとしたら大型や中型の幻獣かなぁ?」
立ち上がって草や埃を払って歩き始める。
「でも素材を探すのに嗅覚が鋭い子も良いよねぇ。
可愛い子と綺麗な子と2匹っていうのも素敵ね」
気が向くままに歩きながら独り言を続ける。
「う~ん、悩むなぁ。
でもどんな子でも大切にする!
ただ来た子によっては私も頑張って強くならないといけないかもね」
最早幻獣を探すために森の中にいることを忘れているような様子で歩いていた。
「綺麗で強くて乗れる子と、嗅覚が鋭い可愛い子だったら最高だね」
薬師の習性で木々や草花を目で追いながら進む。
カサカサッと音がした方を向くとそこには銀狐の幼体が転がり出た。
「クー」
勢いがつき過ぎて出てしまったらしい。
「くぅ~、可愛い過ぎる~」
流石に治療を手伝う幻獣使いだけあって、急に動いたりはしない。
攻撃の意思がないことを示すためにゆっくりと近付いて膝をつく。
起き上がった子狐は目の前に人間がいることにびびって尻尾を後ろ足の間にしまい、小さくなって震えながら後退りした。
アイシャは知らないのだが、この子狐は本来は保護エリアにいるはずなのだが、良い匂いに誘われて生活エリアに出てしまったのだ。
だから見た事ない人間ということもだが、皆んなに怒られると思って両方の意味で震えていたのだった。
まだ幼い銀狐は他の子達と違い1匹だったので無条件で寄り添えたり甘える相手が欲しかった。
《大丈夫、傷付けないから落ち着いて》
パニックになった子狐は小さく丸まって震えていた。
《大丈夫だよ》
優しく話しかけながら音を立てない様に気遣ってゆっくりと近付く。
その時、子狐の後ろから何かが音を立てて近付いて来て、その音に驚いた子狐がアイシャに向かって飛んで来た。
咄嗟に受け止めて優しく抱きしめたアイシャ。
音はそのまま姿を見せないまま遠ざかる。
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