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第5章
新たな問題
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当初幻獣の居ない幻獣使いや新たに幻獣士を目指す者は少ないと思われたが、希望者が予想を遥かに越えており、保護した幻獣や移動して来た幻獣よりも数倍も多い事が判明した。
そこで面接をして絞った上で5人1組で送り出し、1組目が3人、2組目が2人挑戦し、挑戦しなかった者も含めて全員帰還していた。
しかし3組目に5日経っても相性が合う幻獣が居ないせいで帰還出来ない候補生がいることが判明した。
この3組が一期生として、全員帰還したら次の面接をすることになっていたので計画を延期した。
相棒となる幻獣を得ないと出ることは出来ないということにはなってはいたが、性格に問題がなく、欲に塗れていたり、態度が悪くなければ幻獣に嫌われることがなく帰って来れるはずだった。
ところが第一関門も問題もなく、性格なども問題ないと思われた者が、第二関門である幻獣の接触が一切なかったらしい。
アイシャが成体を探すために5日になってしまったのも想定外ではあったが、もし成体が見つからなくとも幼体とは出会えていたので、実は出ることは出来たのだ。
だが、幻獣エリアにいる全ての幻獣が興味を示さないために帰れないというのは、精霊王や幻獣王でさえ考えていなかった。
新たな幻獣が移動してくるか、生活エリアや保護エリアの幻獣が移動するのを待つしかないため、幻獣王の名を告げた者と同様に迎えに行った妖精に移転石に案内させ試練の森の外周部の一角に転送させた。
確認のためレナードと幹部のエルフが会いに行った。
「初めまして、私は幻獣士ギルド長のレナード。彼女が幹部のインニェイェルドだ。」
「初めまして、挑戦者のウェッブだ。」
「確か君は幻獣使いとしての経験があったはずね。」
インニェイェルドが調書を見ながら言う。
「そうだ、本業は織物工で付与士だ。」
「ということは蜘蛛型の幻獣や変異種の糸を使う方ですか」
「あぁ、間違いない」
「もしかして相棒の希望は蜘蛛型のような特殊な糸を吐き出す昆虫類の幻獣や変異種ですか?」
「そうだが、その口調だといないのか?」
「はい、まだ新しく迷いの森になったばかりだそうで、餌になるどこの森にもいるような昆虫しか定着してないそうです。
そもそも植物自体がありふれて、環境の変化で独自の進化などがないそうで、幻獣はほぼ保護した者か、他の迷いの森から移動して来た者で、この森で産まれ種族はまだどんな種類も居ないんです。」
レナードが申し訳そうに説明する。
「その保護された中に昆虫以外に布になりそうな幻獣は居ないのか?」
「う~ん、毛皮のために密猟された者か、希少種か、運搬用か、愛玩用ですね。
移動して来た種は把握して居ないので分かり兼ねますが、昆虫系は居ないと聞いてます。」
「まいったなぁ、ウチの工房の変異種が全滅してしまったんだ。
妖獣に襲われて唯一の幻獣も殺されてしまって、残った変異種もとうとう寿命がなくなってしまってな。」
「希望する幻獣が居なかった場合を想定していなかったのでどうするかなぁ」
「欲しい幻獣がいる場所に行くための幻獣を選ぶのでは駄目なんですか?」
インニェイェルドの言葉にハッとしたウェッブ。
「そうか、迷いの森以外でもダンジョンとかにいると聞いたことがあるな。
でもどういう能力の幻獣が良いのか俺では分からないんだが?」
「他の者と相談して来ますので、ここでお待ち下さい。」
本人の戦闘や探索など冒険者に必要な能力があまりないことから、人を乗せて移動が出来て、戦闘能力のある中型以上の犬系か猫系などか、移動に特化し、かつ主人を守る能力が高い種類の馬系が良いのではという案を伝えた。
「そうだな。本業が荷運びや移動が多いなら馬系だろうが、そうではないからなぁ。
逆に羊やら山羊やらを飼う可能性を考えると、牧羊狼が良いかもしれん。」
と言って再度試練の森に挑戦し、白狼のリーダーを相棒にして帰還した。
ウェッブはリーダーだけと契約したが、その配下も3匹はリーダーと契約していたので付いて来た。
以後、5日間試練の森の中で幻獣からの接触がないために帰還出来ない場合のみ、相談の上再挑戦するか、そのまま帰還出来ることになった。
そこで面接をして絞った上で5人1組で送り出し、1組目が3人、2組目が2人挑戦し、挑戦しなかった者も含めて全員帰還していた。
しかし3組目に5日経っても相性が合う幻獣が居ないせいで帰還出来ない候補生がいることが判明した。
この3組が一期生として、全員帰還したら次の面接をすることになっていたので計画を延期した。
相棒となる幻獣を得ないと出ることは出来ないということにはなってはいたが、性格に問題がなく、欲に塗れていたり、態度が悪くなければ幻獣に嫌われることがなく帰って来れるはずだった。
ところが第一関門も問題もなく、性格なども問題ないと思われた者が、第二関門である幻獣の接触が一切なかったらしい。
アイシャが成体を探すために5日になってしまったのも想定外ではあったが、もし成体が見つからなくとも幼体とは出会えていたので、実は出ることは出来たのだ。
だが、幻獣エリアにいる全ての幻獣が興味を示さないために帰れないというのは、精霊王や幻獣王でさえ考えていなかった。
新たな幻獣が移動してくるか、生活エリアや保護エリアの幻獣が移動するのを待つしかないため、幻獣王の名を告げた者と同様に迎えに行った妖精に移転石に案内させ試練の森の外周部の一角に転送させた。
確認のためレナードと幹部のエルフが会いに行った。
「初めまして、私は幻獣士ギルド長のレナード。彼女が幹部のインニェイェルドだ。」
「初めまして、挑戦者のウェッブだ。」
「確か君は幻獣使いとしての経験があったはずね。」
インニェイェルドが調書を見ながら言う。
「そうだ、本業は織物工で付与士だ。」
「ということは蜘蛛型の幻獣や変異種の糸を使う方ですか」
「あぁ、間違いない」
「もしかして相棒の希望は蜘蛛型のような特殊な糸を吐き出す昆虫類の幻獣や変異種ですか?」
「そうだが、その口調だといないのか?」
「はい、まだ新しく迷いの森になったばかりだそうで、餌になるどこの森にもいるような昆虫しか定着してないそうです。
そもそも植物自体がありふれて、環境の変化で独自の進化などがないそうで、幻獣はほぼ保護した者か、他の迷いの森から移動して来た者で、この森で産まれ種族はまだどんな種類も居ないんです。」
レナードが申し訳そうに説明する。
「その保護された中に昆虫以外に布になりそうな幻獣は居ないのか?」
「う~ん、毛皮のために密猟された者か、希少種か、運搬用か、愛玩用ですね。
移動して来た種は把握して居ないので分かり兼ねますが、昆虫系は居ないと聞いてます。」
「まいったなぁ、ウチの工房の変異種が全滅してしまったんだ。
妖獣に襲われて唯一の幻獣も殺されてしまって、残った変異種もとうとう寿命がなくなってしまってな。」
「希望する幻獣が居なかった場合を想定していなかったのでどうするかなぁ」
「欲しい幻獣がいる場所に行くための幻獣を選ぶのでは駄目なんですか?」
インニェイェルドの言葉にハッとしたウェッブ。
「そうか、迷いの森以外でもダンジョンとかにいると聞いたことがあるな。
でもどういう能力の幻獣が良いのか俺では分からないんだが?」
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逆に羊やら山羊やらを飼う可能性を考えると、牧羊狼が良いかもしれん。」
と言って再度試練の森に挑戦し、白狼のリーダーを相棒にして帰還した。
ウェッブはリーダーだけと契約したが、その配下も3匹はリーダーと契約していたので付いて来た。
以後、5日間試練の森の中で幻獣からの接触がないために帰還出来ない場合のみ、相談の上再挑戦するか、そのまま帰還出来ることになった。
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