幻獣士の王と呼ばれた男

瑠璃垣玲緒

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第5章

収入源問題

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保護施設や保護エリアに必要な幻獣や変異種の幼体などの費用に関しては、以前精霊王や幻獣王達の提案により試練の森の素材採取で賄うことで合意している。
それには施設の保全や常駐職員の最低給などはっきりと分かる間接費用も含まれる。
幻獣王や精霊王のいずれかが気に入れば、常駐職員の臨時賞与や昇給もある。
但しもれなく妖精か、精霊が付けられる。
しかも本人には知らされずに。
更に付いている妖精や精霊に気に入られれば、嫌なことに遭った時に仕返しいたずらしてくれるが、自分もされることもある。
要は精霊達や幻獣達が自分達に関係あると思えば無尽蔵に資金提供される。
幻獣に認められない部分の幻獣士ギルドの主な収入源は、本来なら迷いの森での素材を他のギルドへの売却益や仲介手数料だが、まだ日が浅いためほとんどない。
幻獣士登録の諸費用もほとんどが事務手続きに必要な経費で僅かなもの。
そこでレナード考案の幻獣にも効く怪我の軟膏や動物用ポーションが現在の主な収入源になっている。
まだ認知度が低いため周辺地域しか需要がない。
ただそれだけでは正直なところ足りないため、軟膏やポーションの販路開拓と、新たな収入源の開発が幻獣士ギルドの最重要課題である。
そこへ遠方からの素材を採取し、帰郷しながら売り歩いていたトーレがレナードに挨拶をしに立ち寄った。
「レナード、久しぶりだな。以前約束の薬草を採取して来たゾ!」
「トーレさんお久しぶりです。あちらに行かれたんですか?
ちょうど新しい素材を探していたところなので助かります。」
「また新しい商品開発か?」
「いえ、改良版ですね。動物用ポーションを開発してたのを覚えていますか?」
「あぁ、少し前に近隣で販売開始したと話題になったよ。」
「それだと小型種や中型種でも小柄な個体しか思った程の効果がなくて。
濃縮しても効果は変わらず、飲まないよりはマシ程度なので、手持ちの素材で試行錯誤しているところだったんですよ。」
「でしたら今ある商品で持っていない物があれば見本で置いていきましょう。
今何があるか教えてもらっても?」
話し合いの結果、在庫に余裕のある物は1つ買取、少ない物は見本として最低限の量を譲ってもらった。
効果がある物と、もう少し量が欲しい物は実験後に注文することで話しが決まった。
「見本分の代金代わりに、幻獣にも効く軟膏をいただいてかえって申し訳ないな。」
「いえいえ、いつもトーレさんにはこの辺りで手に入らない物を届けていただいて感謝してます。使用して良かったら宣伝していただけるという下心もありますしね。」
「なるほどな、使用した者の言葉には説得力がありますからね。そういう時ことならもう少しいただいても?
追加の分は売れたら、その分を次回の仕入れ価格と相殺でってことで。」
「良いのですか?助かります。
まだ認知度が低いので販路拡大に苦慮しているんですよ。
幻獣士の行商人や冒険者で伝手がある者に頼んでいますが、新たなに幻獣士見習いに、素材専門の行商人になりたい行商人見習いが加入したので、その子も使えないかと検討するくらいなんですよ。」
「ほぅ、その子は何の行商人見習いなんだ?」
「確か両親が食料が主体の行商人で、他所に修行に行く前の親の手伝いで見習いになったと聞きました。なので反対する者も居て…。」
腕を組んで難しい顔で唸っているトーレさんを見ながら説明した。
「でしたら私がしばらく預かって素材専門の行商人の見込みがあるか判断してみるというのはどうでしょう?
もちろんご両親とお話しした上でですが。」
「そんなつもりでお話しした訳ではないのですが。」
「貴方の助けになることは協力を惜しまないと言いましたし、この話しは私にも弟子というか従業員候補というメリットがあります。素材専門の行商人は商売の技術だけでなく、素材に関する知識や採取の能力など、専門ならではの部分が左右します。
中々なり手が居ないんですよ」
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