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第5章
衝撃
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翌朝、ピュードルに時間の確認のため試練の森へ行かせた。
本部ではいつでも出発出来るように、ギルド長室の隣の会議室にて軽い朝食を取っていた。
「昨日は凄かったですね。
あの威圧感の中、良くあれだけスムーズに話せるなんて流石学園長というところでしょうか?」
「とんでもない。最初は怒らせない様に必死で、途中からは学園のことを知っていただきたいと必死でしたよ」
食事を終えて話しているとピュードルが来て、今からでも良いというので昨日と同じメンバーで試練の森に向かう。
昨日の広場に着くとサラマンドルが開口一番に
《面倒ナ挨拶ハ不要ダ》
と言ったので皆で黙礼のみをした。
《昨日ノ事ダガ、マダ全てノ幻獣達ガ幻獣士ヲ認メテイル訳デハナイ。ダガレナードノ事ハ、本部ノアル森ノ魔獣や魔物、動物達ガ信用シテイルカラ相談セズトモ即答ガ出来タ》
レナード本人さえ聞かされてなかった事だ。
《迷イノ森ハ我等ガ作リ、幻獣達ト植物ナド森ニ生キル生物ニヨッテ長イ年月ヲカケテ独自ノ進化ヲスル。
試練ノ森ハ人族ニヨリ戻レナイ者ヤ、逸レタリ、弾カレタ者達ガ暮ラス場所ト、レナードヤ志シヲ同ジ者トノ窓口トシテ作ッタ》
レナードを除く人族は驚愕して口をあんぐり開けている。
《レナードニ頼マレタ場所ニ、コノ森へノ入リ口ヲ増ヤス約束ハシテイタガ、昨日ノ話ヲ聞キ幻獣達ニモ人族ヲ知ルタメノ場所ヲ用意スルノモ良イト言ウ事ニナッタ。
アダマースニモ新タナ森ヲ作ル許可モ得テ来タ》
真っ先に反応したのはレナードだった。
「森のことは秘匿ではないのですか?」
《誓約ノ術デ、コノ森ヲ離レルト忘レル。記憶ニアルト盗マレルガ、コノ事ヲ話サズ魂マデ納得サセル事ハ出来ヌカラナ。
未来ノ森ト名付ケヨウ》
他の者はまだ困惑しているが、どんどん話しは進んでいく。
《学園都市内ニ良イ場所ハアルカ?》
「理事長、学園長、質問されてますよ」
「あぁ、すまない。ちょっと整理させて欲しい」
「ノーム様、急に提案されて皆戸惑ってます。直ぐに思いつかないそうなので、学園の皆様と一度少し離れた場所で検討させて下さい」
《チト急ギ過ギタカノゥ、マァ良イヮ》
少し離れた場所で力なく座り込む。
「ようやくギルド長が言った意味が分かりました。これは確かに海千山千の商業ギルド長でも疲労困憊するはずだ。
想定外など生易しいレベルではないな」
「我が種族に話せないことが歯痒い」
「ですな。精霊王様や幻獣王様の偉大さを我々は記憶出来ないなんて」
「そんなことより早く回答しないと!
どうします?」
「人族至上主義の国に知られた時に困るから、都市内のが良いが…」
「ギルド長お尋ねしますが、此処はどうなってますか?」
事務局長から質問された。
「此処は私の自宅の近くの森の入り口にあります。私の要望で不可視の結界で覆われ、ギルド本部に隣接していますね」
「そういうことですか。理事長、学園長、だとしたら、今ある森の様な場所を、同じく不可視の結界覆ってもらって、専用の建物から地下道を通って出入りするのはどうでしょうか?」
「そうだな。ダンジョンの様に定期的に道を変えることは可能だったな」
「都市の外だとその場所に近い国から横槍が入ります」
「よし、場所はともかく都市内だ!」
「私から忠告です。学園側の連絡係を決めた方が良いですよ。
出来れば幻獣術か従魔術か召喚幻獣がいる者が。
連絡兼監視役の中位精霊を付けられるはずで、精霊と会話出来ないとすれ違って暴走されたら大変ですから」
「この場にはジョイン、該当者は君だけだな」
「そうですね。承知しました」
《マダ決マラヌカ!》
「お待たせしました。都市内にお願いします。ただ直ぐに場所を指定するのは難しいので、決まり次第連絡します」
《良カロウ》
この場で決められる事は全て終えた。
計画の立案に関係する者には精霊が付けられるはずが、何故か事務局長だけは妖精が付く事になった。
森の話はギルド本部の事務所以外では記憶が消えるため、数日泊まって連日会議をした。
本部ではいつでも出発出来るように、ギルド長室の隣の会議室にて軽い朝食を取っていた。
「昨日は凄かったですね。
あの威圧感の中、良くあれだけスムーズに話せるなんて流石学園長というところでしょうか?」
「とんでもない。最初は怒らせない様に必死で、途中からは学園のことを知っていただきたいと必死でしたよ」
食事を終えて話しているとピュードルが来て、今からでも良いというので昨日と同じメンバーで試練の森に向かう。
昨日の広場に着くとサラマンドルが開口一番に
《面倒ナ挨拶ハ不要ダ》
と言ったので皆で黙礼のみをした。
《昨日ノ事ダガ、マダ全てノ幻獣達ガ幻獣士ヲ認メテイル訳デハナイ。ダガレナードノ事ハ、本部ノアル森ノ魔獣や魔物、動物達ガ信用シテイルカラ相談セズトモ即答ガ出来タ》
レナード本人さえ聞かされてなかった事だ。
《迷イノ森ハ我等ガ作リ、幻獣達ト植物ナド森ニ生キル生物ニヨッテ長イ年月ヲカケテ独自ノ進化ヲスル。
試練ノ森ハ人族ニヨリ戻レナイ者ヤ、逸レタリ、弾カレタ者達ガ暮ラス場所ト、レナードヤ志シヲ同ジ者トノ窓口トシテ作ッタ》
レナードを除く人族は驚愕して口をあんぐり開けている。
《レナードニ頼マレタ場所ニ、コノ森へノ入リ口ヲ増ヤス約束ハシテイタガ、昨日ノ話ヲ聞キ幻獣達ニモ人族ヲ知ルタメノ場所ヲ用意スルノモ良イト言ウ事ニナッタ。
アダマースニモ新タナ森ヲ作ル許可モ得テ来タ》
真っ先に反応したのはレナードだった。
「森のことは秘匿ではないのですか?」
《誓約ノ術デ、コノ森ヲ離レルト忘レル。記憶ニアルト盗マレルガ、コノ事ヲ話サズ魂マデ納得サセル事ハ出来ヌカラナ。
未来ノ森ト名付ケヨウ》
他の者はまだ困惑しているが、どんどん話しは進んでいく。
《学園都市内ニ良イ場所ハアルカ?》
「理事長、学園長、質問されてますよ」
「あぁ、すまない。ちょっと整理させて欲しい」
「ノーム様、急に提案されて皆戸惑ってます。直ぐに思いつかないそうなので、学園の皆様と一度少し離れた場所で検討させて下さい」
《チト急ギ過ギタカノゥ、マァ良イヮ》
少し離れた場所で力なく座り込む。
「ようやくギルド長が言った意味が分かりました。これは確かに海千山千の商業ギルド長でも疲労困憊するはずだ。
想定外など生易しいレベルではないな」
「我が種族に話せないことが歯痒い」
「ですな。精霊王様や幻獣王様の偉大さを我々は記憶出来ないなんて」
「そんなことより早く回答しないと!
どうします?」
「人族至上主義の国に知られた時に困るから、都市内のが良いが…」
「ギルド長お尋ねしますが、此処はどうなってますか?」
事務局長から質問された。
「此処は私の自宅の近くの森の入り口にあります。私の要望で不可視の結界で覆われ、ギルド本部に隣接していますね」
「そういうことですか。理事長、学園長、だとしたら、今ある森の様な場所を、同じく不可視の結界覆ってもらって、専用の建物から地下道を通って出入りするのはどうでしょうか?」
「そうだな。ダンジョンの様に定期的に道を変えることは可能だったな」
「都市の外だとその場所に近い国から横槍が入ります」
「よし、場所はともかく都市内だ!」
「私から忠告です。学園側の連絡係を決めた方が良いですよ。
出来れば幻獣術か従魔術か召喚幻獣がいる者が。
連絡兼監視役の中位精霊を付けられるはずで、精霊と会話出来ないとすれ違って暴走されたら大変ですから」
「この場にはジョイン、該当者は君だけだな」
「そうですね。承知しました」
《マダ決マラヌカ!》
「お待たせしました。都市内にお願いします。ただ直ぐに場所を指定するのは難しいので、決まり次第連絡します」
《良カロウ》
この場で決められる事は全て終えた。
計画の立案に関係する者には精霊が付けられるはずが、何故か事務局長だけは妖精が付く事になった。
森の話はギルド本部の事務所以外では記憶が消えるため、数日泊まって連日会議をした。
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