幻獣士の王と呼ばれた男

瑠璃垣玲緒

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第6章

出立

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レナードが学園都市リーベルタースにあるパラディへ視察を兼ねて、学園近くにある金剛石 アダマースや道中にあるダンジョンなどに行くことになった。
混血の牛達やコッコ一家のいつもの留守番組に加え、レナードの家から離れたくないという火の下級精霊 フォティア土の下級精霊 ティエラ以外が旅のお供だ。
エンサージョからリーベルタースへ行くには、スタークツやアデッソが鋼の森カリュプスを2分割したために、スタークツやアデッソを一切通らずに行くルートは1つしかなくエルフの森や魔法会議の参加資格のない小国群を通ることになる。
先ずは国境の山脈を越えコンティノアール国へ。
国境の街スドエステパソで、同行の竜人族の幻獣士ギルド幹部のベルティルとランヴァルドに連れられて冒険者ギルドへ立ち寄る。
竜人族の慣習ルールでコンティノアール内で狩りや採取をするには、冒険者登録がなくても予備登録をしておくことで、冒険者ギルドでの買取額や一般では販売しない情報も予定するルート周辺という制約があるものの優遇が受けられる。
特に今回は帰路でダンジョンに寄る予定なので、国に帰る2人に案内してもらい、予備登録などこの国コンティノアールで必要と思われる手続きを済ませてしまう事にしたのだ。
ダンジョンは実力がなければ許可が下りず、実力テストと申請の保証人の確認などで発行に時間がかかるため、実力テストは宿泊予定のこの街で予め済ませるのだ。
ダンジョンの受付所で許可申請書の提出だけして、ベルティルに許可証の受け取りと保管をお願いし、ダンジョン攻略直前に訪ねる予定だ。
移動を優先しルート上で効率良く手続きをすためにわざわざ2人と日程を合わせた。
ベルティルはダンジョンの隣街に住んでいるため、ダンジョンの受付後に別れた。
その後ランヴァルドとはコンティノアール国の王都までだったが、何故か王族との非公式のお茶会に招待されており、その案内役も兼ねている。
ランヴァルドは国王直属の親衛隊専属の幻獣使いの長であった。
部下を幻獣士にするのに必要なことを知る為に自ら進んで挑戦に来たらしい。
「王に大手を振って帰還出来て良かったよ」
今回の会場である王族直轄地の離宮へ向かう際に門にいた同期の当番の門番が会場まで誘導している時に並んで話していた。
会場の温室の入り口前で門番は帰り、代わりに温室の前には執事服を着た男がいた。
「私は王家執事のヘンリクと申します。
こちらにお入りになる前に武器やマジックバックをお預かりいたします」
「いや、武器は採取に行く時以外は持ち歩いていないし、マジックバックも置いて来た。
これは身分証など貴重品が入っているだけの普通の腰袋だが、良ければ確認してくれ」
「有難う御座います。確かに。お返し致します」
ランヴァルドは親衛隊の長剣を執事に渡していた。
「では、中へどうぞ」
扉をくぐると温かく、仄かな香りがした。
肩に火蜥蜴シャンスを乗せ、麒麟アルバを従えて奥に進む。
同行の幻獣は珍しい種族と精霊だけと指定されたので、変異種の子は宿に預けて来た。
風の下級精霊ウェントゥスは頭の上辺りに浮かんでおり、水の中級精霊ヒュードルは近くにいるが、基本的に呼ぶまで姿を現さない。
竜人族は華美で鑑賞目的だけの濃厚なむせかえる様な香りのする花々を集める趣味はないようだ。
品種改良をしない自然の美しさが、丁寧に手入れをされて整然と植えられていた。
こうやって見ると普段良く見る草花でも花壇に似合うなぁと思いながら先に進む。
開けた視界の先には優美なデザインのテーブルと椅子に座っている何人かの人影が見えた。
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