幻獣士の王と呼ばれた男

瑠璃垣玲緒

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第6章

演習場

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視察の後半は他の候補地でもあったいくつかの演習場や空き地などを、残りの幻獣士達に交代して見て周った。
幻獣との訓練には良さそうな場所はあったが、パラディに相応しい場所はレナードにはない様に思った。
何故候補地として挙げたのか疑問に思う場所もあった。
演習場の視察時には授業のとして一貫としての演習の風景も見ることが出来たが、教師役の幻獣が元の種族が肉食性や攻撃力が強い獣や猛禽類が多いせいか、物理的か魔術的かの違いはあれど、戦闘訓練ばかりなのが気になった。
確かに戦う時には幻獣との連携や指示も大切だが、もっと大事なことがある。
幻獣との絆と、幻獣自体のレベルアップだ。
絆を深めることがある意味ではレベルアップにも繋がるのだが、全て違う学科の違う授業の演習が、似たり寄ったりなのは幻獣を『相棒』としてではなく、『道具』としているのと同じ事。
それではマスターがいる幻獣としての能力を活かし切れていない。
ここの教師陣はその事を知らないのだろうか?
もし知らないのならやはり幻獣科の開設は無理だと言う事になる。
最後の演習の視察時に同行する幻獣士の教員に質問してみた。
「すみません、いくつか聞きたいことがあるのですが?」
「はい、なんでしょう?」
「幻獣科のための視察を受ける時に、幻獣使いや召喚士など幻獣を扱う学科で、違う授業内容になる様にお願いしたはずですが間違いありませんか?」
「はい、ご要望にお応えするために学年も学科も関係なく、違う授業内容になる様に組んだと聞いています」
「そうですか。演習以外で幻獣を授業で扱う内容はありますか?」
「もちろんあります。
例えば召喚科の召喚術や幻獣使いの幻獣術の実技などがありますね」
「では質問を変えます。
技術的なこと以外の授業や演習はありますか?」
「えっと、どういう意味でしょうか?
理論の学科と、実践の実技、その応用の演習が授業内容ですがそれ以外にもあるので?」
「そうですね、幻獣士になった教師や講師の方々が『幻獣士科』の創設を現状で授業では難しいと反対され廃案にしたと聞きましたが」
「そうです。この学園の卒科は士業で言えば士業取得が絶対要件ですが、幻獣士は学園での授業だけでは無理だと体験しましたし、幻獣使いや従魔士など似た職種の経験があったとしても難しいと感じたからです」
予定より随分早いがこれ以上演習を見ても意味がないので切り上げた。

これで表向きの幻獣士科の創設に関する視察を全て終了し、本来の目的のパラディの視察も終えた。
学園長に会議前に幻獣科の予定だった教職員と幻獣士を出来るだけ集めて話を聞きたいと打診した。
演習以外の内容は4日目以降の夜に連日2時間ずつ報告や議論をしていた。
演習初日の内容を見て思うところがあり、全てを見てからとしたのだが、それが的中した。
幻獣士科の廃案は妥当な判断だと確信した。
最終日の会議前の幻獣科の話し合いで、学園内で対応出来るか、または名称か規則を変えられるかによっては幻獣士の講座の創設ならば可能だろうだろう。
話し合いの準備ができるまでに疑問点をメモに書き出した。
幻獣士科の関係者は理事長と休暇などで都市の外に出ている者以外全て集められた。
「皆さまお集まり頂きありがとうございます。予定より多くの方に来て頂いたのは、今回の視察で学園内を色々見せて頂いた結果と、私と契約している精霊達の情報を伝えたいからです」
本来なら理事長以外の誓約メンバーのみの予定をしていたが、また聞きだと齟齬が生じてしまう可能性が高いとレナードは考えたのだ。
特に幻獣士の教員には直接伝える必要性がある。
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