幻獣士の王と呼ばれた男

瑠璃垣玲緒

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第6章

行方不明

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念話で何度も話しかけても応答がない。
「アルバに何かあったのか?」
今までも何かに夢中になっていて返答が遅かった事はあったが、返事はなくとも強い感情なら伝わって来た。
アルバが全力疾走して30分程の距離でも通じることは確認済みのため、いくら夢中になっていてもそろそろ返事が来るはずなのに、今は感情すらも感じられない。
『ウェントゥス、アルバを最後に感じたところまでクレドと一緒に行って様子を見て来て欲しい』
『行ッテ来マース』
『見つけて来る』
軽い返事をしたウェントゥスと、アルバを連れて来ようという意思を感じる力強い返事をしたクレド。
あっという間に奥に続く道の1つへ消えて行った。
探索ではレナードの幻獣達の中で最強メンバーだ。
物理的な移動速度で最速のクレドと、自身はクレドほどは早く飛べないが風を操ったり、風の精霊同族に協力を求めて情報収集出来るウェントゥス。
目的地点に近付くに連れてダンジョン生物の気配が少なくなっていくのに気付いたクレド。
《クレド、変ナ気配ガスルノ》
《ダンジョン生物の気配が減っている》
《何故カ知ッテル様ナ、知ラナイ様ナ気配ガ気ニナルノ》
2人でそんな風に念話で会話をしながら目的地点へ疾走する。
どこにも隠れる場所のない広い場所の中程で痕跡がぷつりと途切れた様に感じたウェントゥス。
先程までクレドの頭に乗っていたがウェントゥスは途切れた辺りをぐるぐると回って最後の位置をクレドに教えた。
《クレド、アルバ居ナイノ》
クレドも周囲を念入りに捜査するもアルバが居そうな場所さえ見つけられない。
《主人、アルバが居ない》
クレドから戸惑った様な念話が届き、その内容を理解出来ずに言葉が出ない。
いや理解したくなくて脳が拒絶していた。
すぐにでもクレド達のところに向かいたいが、意識がない状態の人間と従魔のスライムだけを置いて探しに行く訳には行かない。
《主人、変ナ気配ガアルノ》
とりあえずルナをクレドのところに向かわせ、クレドには戻ったら救助要請の手紙を届けてもらうことにした。
クレドは連絡用の従魔としての登録をしてあるし、何より早いからだ。
《ルナ、ウェントゥスと一緒に安全な場所で罠などがないか探して欲しい》
《分かった》
《ウェントゥスはルナの身体に乗ってアルバの気配をもう一度探ってみて欲しい》
《頑張ル》
《こちらの手配が済んだら直ぐに行くから無理はしない様に》
レナードはもう一度水魔法で治療をしてからスライムに主人を包む様に指示した。
1階層上の安全セイフティエリアに運ぶために。
穴を出て先程の様にスティードの背に怪我人を乗せる。
先頭はソルで、レナードが殿しんがり兼怪我人の観察だ。
ちなみにシャンスも役立ちたいというので、レナードの頭の上で後ろを見てもらっている。
本来なら更に上の1階層か、入り口に近い安全エリアへ怪我人を運ぶべきなのだが、少しでも早くアルバを探しに行きたいため一番近いところに運んだ。
流石に浅い階層での救助要請だったので、先発隊の3人は怪我人を下ろし終わる頃に駆け付けてくれた。
「従魔による救助要請で怪我人がいるとのことだがどんな様子か?」
「従魔のスライムが主人を保護していて、一応目に見える怪我の応急処置の治療は終わってます。ただまだ意識が戻らないのでポーションや薬を飲ますことが出来ず、内傷に関しては本人から聞けてないので分かりません」
「初期治療を終えているのは助かる。治療出来る者が来るまで医療パックで対処出来る程度か不安だったのだ」
「私は薬師なので一通りのポーションや薬は持参していますが、契約した子が居なくなって探しに行きたいので呼びました。
医療パックで足りない物があれば使ってもらって、余ったらギルドに預けて下さい。
では私達は急ぎますので」
そう言って薬類が入っている小さなマジックポーチを手渡す。
「初期対応感謝します。怪我人の事はお任せ下さい」
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