幻獣士の王と呼ばれた男

瑠璃垣玲緒

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第7章

提言

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全員が食べ終えて寛ぎ始めたが、何処となく緊張感が漂っている。
いつアルバの居場所が分かっても出かけられる様に臨戦態勢の感じが伺える。
《皆んな食べ終わったな。
さて、相談というか、考えて欲しいのは新しく仲間になったスライムの名前だ。今は種族名の一時的な仮契約をしているが、名前を付けたきちんとした名前を付けたい》
《新しい仲間の名前も大切だけど、アルバを探す方が…》
《アルバ探す方が大切》
《そうだよ!少し休憩したら行こうよ》
《スティード、ソル、ルナ。この前も言っただろう?
手掛かりが見つかるまでは探しに行けないと。
ヒュードルでさえ行方が分からないんだ。
今出来ることはいざという時に動ける様に体調を整え、見逃すことが無いように気持ちを落ち着かせることしかないんだよ》
《ナンデ駄目ナノ》
食事が終わった後にレナードの肩に乗っていたシャンスが質問した。
《それはね、精霊王様でさえアルバの居場所を感知出来ないんだよ。だから物凄く遠くにいるか、何処かの知られていないダンジョンや洞窟などにいるらしいんだと説明しただろう?》
《それでも探しに行きたい!》
《クレド、飛べる君は特にそう思うだろうね。成鳥になって随分遠くまで飛べるからだろうけど、もしかしたら本気で飛んでも1日で行けないくらい離れている可能性が高いのに、方向も分からず闇雲に飛び続けられないだろう?》
《ぅん》
《それにどうせ探しに行くなら一度家に帰ってしっかりと準備してからにしないか?
留守番している子達も行きたいかもしれないだろう?》
《うん家に帰る》
とスティード
《準備する》
とソル
《他の子も行く》
とルナ
《好物持って行く》
とクレド
《早く帰る》
とシャンス
《その前にスライムこの子の名前を決めよう。家に帰ったら出発準備が完了する前にちゃんと契約をしたい。皆んなと繋がったらきっと協力してくれるよ》
生まれて間もなく、名付けの仮契約でないために今は最低限の意思疎通しか出来ないが、本契約はもしかしたら小さ過ぎて無理かもしれないが、名付けの仮契約だともっとしっかり繋がるし、シャンスの様に他の子と繋がると成長する気がするからだ。
《せっかくならアルバと早く会えるような名前が良い》
一番仲間思いのルナの提案に急に皆んなのテンションが上がる。
《スライムは成長すると分裂するから、分裂した子の名前に困らない様な名前が良いな》とレナードが提案するとそれぞれが一生懸命考え始めた。
何故かソルが脱線して強そうな言葉ばかりあげたり、途中から参加した精霊や妖精達が自分達の仲間の名前を羅列したりと迷走した事もあったが、最終的に後々のことを考えて色・花・宝石のどれかで決める事に落ち着いた。
期待と希望の意味を持つ
花の中から
 フォアゼィーティーレンギョウ
 イリス菖蒲etc
色ではライム、ミントetc
石でオパールやターコイズetc
など色々な案が出たが、最終的に意味合いと体色が似てることから『タンザナイト』になった。
長くて呼びにくいので普段は『タンザ』と呼ぶ事になった。
正式な名付けの仮契約は帰宅後に幻獣士ギルドで行うが、名前が決まった事を手のひらに乗せて皆が見える様にして告げるとスライムは喜んで激しくふるふると震えていた。
アルバが居なくなってから、名前を決めている間だけでも楽しそうに過ごせたのは良かった。
しばらく皆と過ごした後は帰宅に向けての準備のために宿を出た。


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