幻獣士の王と呼ばれた男

瑠璃垣玲緒

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第8章

ギルド本部

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 ギルド本部の商業ギルドエリアで祭りの翌々日に代表幹部が会議室に集まっていた。表向きはドワーフの商業ギルドの件だった。会議室はあらゆる盗聴対策がかけられた。
まずは集まってもらった経緯と代表のケイシーに人間の代表として約1週間後に幻獣士ギルド長とエルフの代表2人と共に7精霊王達との話し合いに出て欲しい事を伝えた。冒険者ギルドからは事前に承諾済みであるとも伝えた。
「幻獣士ギルドや迷いの森の件では事後承諾だったが、今度は直接交渉出来るのだな」
幹部の1人が満足そうに発言した。
「交渉ではありません。妥協点を話し合うんです」
「それじゃあ代表が行く意味がないではないか!」
と別の幹部。
「対応を間違えたら、関わった者は全て罰せられるのをお忘れですか?」
「何だと!」
「あくまでも『幻獣ファースト』です。幻獣が納得しなければ我々人族の元へ来てくれないでしょう。それだけ信用されない事を過去に人間が繰り返したのです」
「しかし薬草や毒草の濃縮や解毒薬、病気の治療魔法などとは、利権をギルド本部が独占すべきではないか!」
「独占や利権争いで幻獣達を人間が監禁や酷使させる事は明らかです。そうなればギルド本部が崩壊させられるでしょう。
出来る限り公平に平和的に利用するための話し合いです。だから代表にお願いしたいんです」
それまで黙って聞いていたケイシーが呟く。
「そうか、そのつもりで臨めば良いのだな」
追記事項として精霊王達との話し合いの前に懸念事項やルールの概案を考え、4日後に4人と各種族の代表が集まって擦り合わせをする事になっている事を伝える。
その後ここでの事は人族での話し合いが終わるまではここにいる者以外への一切漏らさない様に強く念押し、違えた場合には精霊達から罰せられると伝えられた。

 一方で同じ頃冒険者ギルド代表幹部の会議では、リベルタのサイモン副ギルド長から別件の報告の際にとある代表に伝えられた件についての話し合いがされていた。
最初に改めて精霊王や幻獣王に人間の価値観や階級は通用せず、能力の伴わない主義主張は通じない事を説明した上で、主に人間の支配者階級や宗教関係者、利益至上主義の者達の争いの種になりそうな懸案と、薬師ギルドには条件付きで情報を伝える予定だと報告。
冒険者ギルドわれわれは交渉権をレナードさんと商業ギルド代表に委ね、その代わりに人族での話し合いの際には必ず参加させてもらうことを以前から合意している。今回集まってもらったのは、今回の有用な幻獣達の我がギルドでの扱いや懸念される事の対応や対策などの概要を決めるためだ」
「冒険者にとって毒や怪我は避けられないリスク。だが今までは一部の国や差別などで治療出来なかったり、足元を見られ高額な請求に耐えるしかなかった。だが今回の件は精霊王や幻獣王絡みのため如何なる組織の独占が難しい。逆を言えば我々にとっては行幸」
「精霊も幻獣も不正や悪意を嫌う。だからシンプルに重傷度や緊急度だけで依頼し、治療対象にすれば良いのでは」
「だが身分もランクも高く、プライドも高い連中が反発して妨害して来る可能性があるのでは?」
「幻獣のランクによっては見下す態度を取ったり、無理やり契約しようと目論む者も居るのではないか?」
と色々話しが飛び交う。だいたい出尽くし、似たような議論に移り始めたため議長が宣言して終了となった。
「本日は概要だけだ。精霊王達との話し合いが終わらないと決めることは出来ない。次回までに各自でルールと懸念や対策などの素案を考えて欲しい。最後に今回の議題と幻獣の能力については、当面はここに居る者と、議題で名が出た者以外には秘匿だ。信頼する部下や家族にもだ、以上」

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