幻獣士の王と呼ばれた男

瑠璃垣玲緒

文字の大きさ
198 / 220
第9章

困惑

しおりを挟む
「この前の契約の話しから、数が増える事は想定したのだろう?」
「ですが、その数さえも一部の種族が若い成体まで居て想定以上もいましたよ」
「その顔だと増えた種族が問題かのぅ?」
麻痺をさせる事が出来る種族、毒植物の蜜や花粉を採取出来る種族、栽培には人が受粉するしかなかった植物の受粉が出来る種族、幻覚を見せる幻鳥など特殊能力を持つ個体などを告げる度に、聞いていた者達の眉間に皺が寄り沈黙した。
 お茶会中に残った幻獣士ギルドの幹部は竜人族の助けを借りて、『幻獣の卵』の事務局やギルド本部のケイシー代表やリベルタの両ギルド長に極秘伝文を送っていた。想定した数の増加以外に想定外の種族が増えた事を、お茶会での相談次第では水晶による極秘会合をする旨を最後に書いたものを。
「依によって養蜂業と薬草園に関する種族とは」
「麻痺のが問題じゃゾ」
「養蜂業は既に棲み分けが出来て居るし、薬草園は閉鎖的過ぎて話しを聞く事さえしないだろう」
「毒植物の養蜂は我々ドワーフが引き受けても良いゾ。我等は酒の材料の一つとして作るために味や品質にはこだわるが、業としてこだわる者達は少ない筈だし、他にはない素材という方に魅力を感じるだろうからな」
「確かに良いかもしれん。ドワーフなら他の種族の養蜂業の苦情も、取り合わんだろうし、揉めたら外部に出すのは蜂蜜酒だけにするなどやりようはあるな」
「まぁ一存では決められんが、前向きに検討するって事で一旦保留で頼む」
「受粉に関しては人手が足りない小さな薬草園で実績を出せば、聞く耳を持つのではないか?」
「その場合は契約するのはその園だと問題だろう」
「専属契約か家族契約で、薬草園に派遣するのはどうじゃ?」
などと議論が次々にされていく。しかし此処にいるのは幻獣士以外には人間以外の人族の責任者のみ。一番問題なのはほぼ人間である。
「養蜂業以外は此処だけでは話しが無理じゃな」
 そこへ執事のヘンリクが主人竜人族のバルタサール王の耳元に告げた。
「場所を変えて続きを話し合おうではないか」
目配せで別室で極秘会合をするのだと悟った面々が立ち上がる。
どういうことか分からないレナードの元にヘンリクの言葉を聞いたピュードルが教えてくれた。
《水晶会合の準備が出来た》と。

「幻獣や精霊絡みは問題ばかりですね」
と挨拶後にリベルタの商業ギルド長エドウィンが苦笑する。
とりあえずお茶会での相談で、毒植物の養蜂業についてはドワーフが引き受け予定で、正式の返事は後日だと伝える。それ以外は出た意見を述べて、人間側の意見待ちだと説明。
「受粉に関しては、人手不足の薬草園のリストアップ後に個別に打診して反応を見てから再度議論で良いと思います」
「そうじゃな、試してくれるところが無ければ話しにならん」
ということで、それぞれがリストアップ後に、専属などの時の様に精査した後にそれぞれの種族で打診し、結果を『幻獣の卵』事務局長に報告することになった。
「迷いの森でしか育たない植物の養蜂については、どの種族になっても問題なので、平等に種族毎の冒険者一家というのはどうでしょうか?」
とケイシーからの提案に、毒植物があるからとドワーフは辞退し、エルフ族から分けてもらうということにし、人間、竜人族、エルフ族連合、獣人族の4家族のみに決まった。もし増やすとしても参加種族の多いエルフ族連合と多種多様な種族がいる獣人族、または混血として、揉める種を減らそうということで合意した。
まぁどんな取り決めも自分達に有利じゃないと文句を言うのは、人間の帝国や王国や、儲ける事しか頭にない商人などだが、
麻痺については先ずは効果を検証をしないとこれ以上は議論が出来ないということになり、他も意見がまとまらずそれぞれで検討して再度議論することで終了となった。
 今現在の話しをピュードルから精霊王達に報告してもらい、問題などが無いか確認してもらうため送り出した。
 

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生ちびっ子の魔物研究所〜ほのぼの家族に溢れんばかりの愛情を受けスローライフを送っていたら規格外の子どもに育っていました〜

幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
高校生の涼太は交通事故で死んでしまったところを優しい神様達に助けられて、異世界に転生させて貰える事になった。 辺境伯家の末っ子のアクシアに転生した彼は色々な人に愛されながら、そこに住む色々な魔物や植物に興味を抱き、研究する気ままな生活を送る事になる。

元・神獣の世話係 ~神獣さえいればいいと解雇されたけど、心優しいもふもふ神獣は私についてくるようです!~

草乃葉オウル ◆ 書籍発売中
ファンタジー
黒き狼の神獣ガルーと契約を交わし、魔人との戦争を勝利に導いた勇者が天寿をまっとうした。 勇者の養女セフィラは悲しみに暮れつつも、婚約者である王国の王子と幸せに生きていくことを誓う。 だが、王子にとってセフィラは勇者に取り入るための道具でしかなかった。 勇者亡き今、王子はセフィラとの婚約を破棄し、新たな神獣の契約者となって力による国民の支配を目論む。 しかし、ガルーと契約を交わしていたのは最初から勇者ではなくセフィラだったのだ! 真実を知って今さら媚びてくる王子に別れを告げ、セフィラはガルーの背に乗ってお城を飛び出す。 これは少女と世話焼き神獣の癒しに満ちた気ままな旅の物語!

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  二月から週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

転生能無し少女のゆるっとチートな異世界交流

犬社護
ファンタジー
10歳の祝福の儀で、イリア・ランスロット伯爵令嬢は、神様からギフトを貰えなかった。その日以降、家族から【能無し・役立たず】と罵られる日々が続くも、彼女はめげることなく、3年間懸命に努力し続ける。 しかし、13歳の誕生日を迎えても、取得魔法は1個、スキルに至ってはゼロという始末。 遂に我慢の限界を超えた家族から、王都追放処分を受けてしまう。 彼女は悲しみに暮れるも一念発起し、家族から最後の餞別として貰ったお金を使い、隣国行きの列車に乗るも、今度は山間部での落雷による脱線事故が起きてしまい、その衝撃で車外へ放り出され、列車もろとも崖下へと転落していく。 転落中、彼女は前世日本人-七瀬彩奈で、12歳で水難事故に巻き込まれ死んでしまったことを思い出し、現世13歳までの記憶が走馬灯として駆け巡りながら、絶望の淵に達したところで気絶してしまう。 そんな窮地のところをランクS冒険者ベイツに助けられると、神様からギフト《異世界交流》とスキル《アニマルセラピー》を貰っていることに気づかされ、そこから神鳥ルウリと知り合い、日本の家族とも交流できたことで、人生の転機を迎えることとなる。 人は、娯楽で癒されます。 動物や従魔たちには、何もありません。 私が異世界にいる家族と交流して、動物や従魔たちに癒しを与えましょう!

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

処理中です...