幻獣士の王と呼ばれた男

瑠璃垣玲緒

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第9章

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 とりあえず元々の予定だった集団生活をする種族の中で、生活拠点を迷いの森から離れても大丈夫な種類を環境や能力でリストからピックアップし、各種族の幻獣士の幹部か、『幻獣の卵』の所属の商業ギルド職員が個別に打診を重ねた。辺境地域のみ冒険者ギルド職員のところもあったが。
 中でも迫害されていた遊牧民は一族を守れる力が手に入るならばと全てが即答。
鋼の森カリュプスの崩壊の件で散り散りになった獣人族いくつかは、行方の分からない同族を見つけたら増えた群れを分けたり、新たな種族を迎えることが出来るならなど条件付きで同意。他には家族全員で冒険者をしている2組。流石に全部の集団が幻獣術を取得させるのは時間的に難しいため、従魔術を持っている者を集め1日講習を実施。見込みがあった者を幻獣士候補とし、環境面での受け入れ準備が調うギリギリまで習得させた。
 早々に受け入れ準備が整った3組がギルド本部に到着、5日貸切にしてマッチングが行われた。3~5組揃う毎に同様に実施する方が、他の幻獣士の挑戦に影響が少ないということでその後も同じ形で行われる事になった。
 昆虫類など小型種が大半のため、受け入れ可能な種族が毎回参加した。人族側も一族など5人以上いる場合には幻獣士候補者以外に、相談や交渉をする者が同行することも特別に許された。
 今回は人族側はそれぞれ距離を置き、開けた場所で幻獣士候補に精霊と会話出来る粉をかけてもらい、幻獣側はそれぞれのグループに数個体ずつ人族と少し距離を置く形で行われた。
 人族側が対応出来ること、出来ないことを精霊に提示する。環境面での妥協が出来ない種族は他のグループ、または待機スペースに移動。残った種族と人族側がそれぞれ交渉するという方法を取った。
 今回参加した一番人数の少ない遊牧民は季節毎に移動する毒を体表に滲ませ身を守る昆虫系と、遊牧民を守り助ける犬系種族の兄妹と偵察や通信を担う鳥系の番。
 長距離移動速度が速い星豹獣人族は点在する餌を探しながら移動し、廃棄する巣が薬の材料となる小鳥系と。
 冒険者一家は餌が未開の地や採取困難な場所で、一部に天敵が餌場近くにいる薬の万能傷薬の希少薬草を濃縮する事が出来る小型の鼠系と仮契約を結ぶことが出来た。
 先ずはこの3組がお試し期間を一緒に行動して制度の問題点を確認しながら運用する。合わせて受け入れ可能な団体の開拓と支援を出来る限り優先的に行った。
 一度仮契約が出来た種族が出た後は幻獣達が落ち着き、幻獣士候補の術の習得度がある程度になるまで待ってくれる様になった。
《悲願ノ自由ニ外ニ出ラレタノハ嬉シイガ、習得中ノ幻獣術デハ、コチラノ言イタイ事ガ伝ワラナイ事ガアリ歯痒イ》
という不満が待機中の幻獣達に伝わったからだ。今までは希望もなくただ人間が前の保護地付近から撤退するのをただ待つしかなかった。それが元の生活に近い環境で自由に生活出来る可能性があるという希望が出来た。だったら数年くらいなら待てると。そのせいで頑なだった中年世代まで希望を持つ者が現れ、別の問題で幻獣側も人族側も頭を抱えることになるのは、もう少し先の話。
 この事で幻獣士の人気度が上がり、今まで人間と距離を置いていた幻獣も、動物しか使役していなかった職種も、幻獣士ギルド本部に接触する数が増えた。その中に小型の鼠系と仮契約を結んだ冒険者一家と親しい傭兵部隊がおり、以前より廃業を考えていたが、一部の傭兵向きの優秀な者や、スカウトが来ている者以外の再就職先で悩んでいて、血は繋がらないが家族同然だから参加出来ないだろうかと尋ねて来た。
直ぐに近隣にいる幻獣士ギルド幹部と大精霊をを緊急で呼び出し、傭兵部隊にも相談に来た隊長だけでなく、人事権のある他の人も呼び出す様に頼んだ。
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