幻獣士の王と呼ばれた男

瑠璃垣玲緒

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第9章

回答

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 改めて座り直て質問する。それに対して傭兵隊隊長は胸を張って答えた。
「聖獣のユニコーン様だ。結界で弱い者達や重要なものを守ってもらい、負傷した場合には応急処置をしてもらいたいからだ。守りが安全ならば心置きなく戦えるからな」と。
 部隊長2人は攻撃力の強化や食材調達を理由に金獅子で、実務担当者2人は資金源と飼いやすさなどでラーマをということだった。この質問ではどの幻獣を選びかより、何故選んだかが重要となる。何より口に出していない部分も判断される。光の大精霊からも5名共に私利私欲で他の利用方法などを考えていないということも確認した。
「それぞれが立場に応じて隊を思う気持ちなどは回答によって問題ないことが分かった。しかしこの計画はあくまでも精霊王様や幻獣王様達と、幻獣士を中心とした人族の代表とが話し合いの末に決めたルールを基に行っている」
「裏切りや悪用を防ぐために厳格だと聞いている」
「ではそちらも明日の同じ時間までに、考えられる防止案などを提示して欲しい。こちらもどうするかを話し合って来る」
傭兵隊の5人を幻獣士ギルド内の宿泊施設に案内し、隣接する個室部屋を話し合い用に貸し出した。
 一方幻獣士ギルド側は精霊と幻獣達と話した結果、条件付きでならば受け入れても良いという意見になった。レナードは光の大精霊に『幻獣の卵』事務局に転送してもらい、幻獣は試練の森に戻された。水の大精霊は精霊王達へ、土の大精霊は幻獣王達のところへ相談に向かった。
翌日同じ時間に同じ場所で話し合いが再開された。
「結論から言えば、正式な返事は改めてするとして、概ね条件次第では加入させても構わないという意見になった。その前に審査期間を設けるべきだという意見も出た」
「こちらも信頼を得るために先ずは監査をして、不正行為をした者達がいないかと、幻獣術や従魔術の登録や取得状況を調べることにした」
「最低限やってもらいたい事でしたのでそのままお願いします。それとは別に仕事に困っているということなので、幻獣士ギルドから審査を兼ねて依頼をしたいと思うのだがどうだろう?」
「どういう内容かお聞きしても?」
「幻獣目的の密猟者達の調査と幻獣の保護、または人族によるルール外の行動による重症の幻獣を保護した者達の輸送の警護を頼みたい」
「承知した。もし加入が出来ないとしても、正直なところ依頼だけでも助かる」
「では先ずは依頼について正式な話し合いは実務担当者との概案が決まった時点で契約しよう。その間に上層部と条件などの話し合おう。
こちらの審査前にお願いしたい事は、幻獣に関わる予定の者には最低限従魔術を取得して欲しいということだ」
「それは見習いや非戦闘員もか?」
「幻獣の世話をする者や幻獣を見張り番をするならば。幻獣の大まかな気持ちさえ分からなければ、危険や容態の急変に気付くのが遅れるからだ」
「なるほど、最大限善処しよう」
その後も話し合いは続き、具体的な日程の調整などの方法や場所などを取り急ぎ必要な内容を確認して解散になった。
 傭兵部隊では帰還後すぐに一斉監査をしてあらゆる不正行為を早急に排除し、仕事を討伐と警護のみに限定すると発表し、不満がある者達は出て行った。幻獣士を目指す傭兵達を支援し、見習いにも非戦闘員にも従魔術の取得を支援し、幻獣士ギルドの依頼を受ける頃には一定数の従魔士が誕生していた。そして全所属員に、近い将来に傭兵部隊を解体し新たな部隊としたいと伝え今後の展望として『人族同士の戦争には一切参加しない』ことをを公表した。
 『幻獣の卵』も審査期間としての依頼を通して活動や存在を認め、計画に加入させるためにどういう条件をつけるべきかなどが活発に議論される様になった。

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